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2016年11月3日

セロトニン

セロトニンという名前は、serum(血清)とtone(調整する)に由来する。血清の中に血管を収縮させる物質を見つけたので、その物質につけた。
実際には、血管を収縮させる働きがないわけじゃないけど、でも弱い。レニン-アンジオテンシン系の華やかな成功に比べると、全然、なのである。

ところが。
呼吸器や循環器への適用を期待して始めたのに、見つかったのがLSDだった。
LSDって若い人は知らないかもね、「サイケ」という言葉ともに死語になってるかも。
視覚的と言われる幻覚と多幸感をもたらす魔法の薬、LSDは、セロトニンと一部の化学構造がとてもよく似ている。 中枢神経のセロトニン受容体に、セロトニンの代わりにくっついてしまうために、幻覚が起きると考えられている。

するとセロトニンって何者!?
まだよくわからない、のが正直なところだと思う。脳の働きはヒトに特化している部分が結構あるし、健常人相手に出来る実験はとても限られる。
わかっているのは、セロトニン神経(=セロトニンを神経伝達物質として使っている神経。セロトニンの化学物質名から5-HT神経とも)は、眼が覚めている時ずっと活動状態にあって(=セロトニンが分泌されている)、寝てるときは低調、REM睡眠(深い睡眠)では寝ている、ということ。

どうも精神活動に関係が深そうだ。だったらこの神経系をどうにかすると、精神病の症状が改善されたり・・・したのである。

そりゃあそうだろう、と思うかもしれないけど、当時は精神症状は肉体とは別、と思われていて、えーと、ソフトバグはハード交換じゃ治らないだろ、的に考えられていたのだ。ところが、「幸せな気持ち」も、ハード操作で作り出せることが分かった。これはびっくり。

以前、気まぐれ読書メモで、ハクスリーの「素晴らしい新世界」について書いた。ハクスリー自身もLSDの経験者で、政府支給の幸せになれる夢の錠剤ソーマはLSDを下敷きに書いたと思われる。
今はLSDはそこまで安全じゃないし(でもたいていの薬よりは安全だったりして(笑))、何より十分に安くないので、規制の対象になっている。でもこれが十分に安くなったら。政府が無料支給したら。
案外戦争も殺人もなくなって、素晴らしい新世界が出来ちゃうのかもしれない。それが本当に素晴らしいことなのかは、とても悩ましいことなんだけどさ。。。

話が逸れた。
とにかく、セロトニン神経が「正常に」動作していることが、「精神的に正常な」状態にある、と考えることが出来そうだ(まだ断言できる状態にないけど)。
とりあえず、セロトニン神経の「正常な動き」を助けることで、「精神的に正常じゃない」状態を「正常な状態」に近づけることができる、ってことで、次回はようやく抗うつ剤について。

2016年10月30日

ジャンブル(?)

「家庭でできる和洋菓子」には、私が知らない名前のお菓子が結構存在するのですが、その一つが「ジャンブル」。『見たところの形はただ四角い平凡なものですが、口に入れると、とろけるようにおいしいビスケットです。』って言われても作ってみないと何だかわからないのだが、大ヒントがその次にあった。『これは一名アイスボックス クッキースといいます。』

アイスボックスクッキーなら知ってる。
クッキーと言われると、なぜか絞り出しクッキーを思い浮かべるAJですが、自分で作るとなるとほぼアイスボックスクッキー。 滅多に作りませんがね。
和洋菓子に載っていたのは四角いだけのクッキーですが、AJが自分で作るときはココア味と組み合わせるので、それに一番近いクッキーを買ってきた。イトウ製菓のコンフェッティというもの。イトウ製菓にしては高い。(失礼な)。
自分ではここまでチェックにはしないけどさ。2*2で作る。

アイスボックスクッキーは、バターをたくさん使うのでべとべとしていて型では抜けない。でも絞り出しクッキーよりは砂糖が少ないので、絞り出せるほど柔らかくもない。じゃあどうやって形作るかというと、冷蔵庫で冷やすのです。いったん生地をまとめてから冷蔵庫で冷やして、円筒型あるいは角筒形に整形してまた冷やす、焼く前に筒切りにして天板に並べる。つまり、クッキー型(クッキーカッター)も、絞り出し袋(クッキープレス)も要らないんです。
そして何よりお気に入りなのは、整形した状態で冷蔵庫に入れておいてあとで焼く、ということができる!クッキーに限らず、1回分だけのお菓子を作るのは難しいんですが(卵2/3個とか言われても)、アイスボックスクッキーなら生地をたくさん作っておいて、1回分だけ焼けるんですよ。

和洋菓子に書いてある作り方も、私の知っているアイスボックスクッキーのもの。違うのは、ラップじゃなくてパラフィン紙に包むと書いてあること。当時は冷蔵庫はなんとかあってもラップはまだなかったのかね。

アイスボックスクッキーをジャンブルっていうのか、とwikiで確かめてみると、違うらしい(笑)
wikiによると、オリジナルのジャンブル(jumble)は、中東かイタリア起源で、中世には既に西欧各地に広まっていたらしい。粉と卵と砂糖の他に、ナッツやら香辛料やらが入って、リングあるいはツイストあるいはロール状にして茹でる。ベーグルやプレッツェルに似ているけど、入ってるものが豪華すぎ。アラブの裕福な商人がラクダに積んでおやつにしたのかなぁ。
それが18世紀に入ってなぜか、普通の焼いて作るクッキー(rolledと書いてあるから型抜きクッキーのことだな) のことになった、とのこと。でもjumble cookiesで画像検索すると、元祖らしいパンぽいのがちらほらの他は、ありとあらゆるクッキーが参加している。型抜きよりもドロップ系が多い。

既にオリジナルとは違うものになっているので、アイスボックスクッキーをジャンブルと呼んでも間違いとは言えないだろうけど、アイスボックスクッキーの方が今では有名で誤解も少ないと思う。
英語では同じ icebox cookies か refrigerator cookies 。どっちも同じくらいのヒット数があるし、同じ画像がヒットする。ハズレもあるけど、殆どが私の考えるアイスボックスクッキーに見える。チェックも多いけど渦巻きも多いな。

2016年10月22日

うつと抑うつ

「抑うつ」という言葉は、先日、抗不安薬の効能について書いた時にちらりと使った。

ネットで見てみると、抑うつは『うつを抑える』という意味だと思っていた(或いは違うの!?とびっくりしている)人が案外多い。
なるほどー。鬱を抑える、と読めるもんね。AJ自身は、「うつ病」という言葉と「抑うつ」という言葉を一緒に習ったので、そんな風に考えたことなかったけど、なんで「抑」ていう字を付けちゃったのかなー。

「うつ病」は病気の名前で「抑うつ」は症状の名前だから違う、というのは言葉の遊びで(笑)。
うつ病の典型的な症状のことを「抑うつ症状」ていうのだから、うつ=抑うつ、でいいでしょ。

「うつ症状」とか「うつ気分」と言えば済むものを、なんで「抑」を付けちゃったんだろ。察するに、英語の"depression"という言葉に近づけようとしたのかもしれない。wiki英語版ではうつ病も抑うつも、どっちもdepressionで、 括弧付で病気としての、とか症状(気分)としての、と補足が付いている。このやり方の方が分かりやすかったよね。
或いはせめて、みんなが知っている「憂鬱」とか「気鬱」といった既存の言葉を使えば、「鬱を抑えるんだから反対の意味だ」と思う人もいなかったのではないか。話をわかりにくい方向に持っていきたがるのは、業界用語の悪い癖。

抑うつ=うつ症状とはどんな症状かというと、要は気分が落ち込んでるってことだ。
不安症状がセンサー過敏な感じがするのに対し、うつ症状だとセンサー不感な感じ。前向きになれず引きこもったり、何も感じられず無味乾燥。
ほんとに全く何も感じなければ、周りはともかく本人はつらくない(つらさも感じない)のだが、たぶん、時々はそうじゃない時もあって、前向きになれない自分、何にも幸せを見いだせない自分に自分で傷ついてつらいんだと思う。 でもつらい気分にはいっそう蓋を固くしめてやり過ごす。センサーの動き方は反対に見えても、過剰な刺激にセンサーが耐え切れなくなって摩耗しちゃったとも考えられる。例えばっかりだな。

精神的な生理学というのは、まだまだ分かってないことも多いんだけど、いくつかわかってきた/わかったような気がしてきたこともある。

次回は、うつ病と関係が深いといわれている謎の(謎じゃないか)幸福物質、セロトニン他について。

2016年10月16日

ラグデシャ

「家庭でできる和洋菓子」には、「ラグデシャ」って書いてあるんだけど、現代日本語では「ラングドシャ」ですな。甘くて薄くてほわっと口の中でほどけるクッキー。フランス語の langue de chatは、確かに「ラグデシャ」と聞こえる気がする。日本人が現地で使う分にはラグデシャの方がいいのかもだけど、外国人が日本語から元の言葉を想像するには、綴りに近いラングドシャの方が親切だろうね。

知っている人も多いと思うが、langue de chatは「猫の舌」という意味。たぶん猫の舌は薄いからだろうね。犬の舌も薄いような気がするけど。
本来は、猫の舌のような?長円形で、家庭でできる和洋菓子にも長円型のラングドシャが載っているのだが。。。探したけど見つからない。wikiには正しい形のラングドシャの写真が載っているので 思い浮かばない方はそちらを参考になさってください。


一番よく売られているラングドシャは、ラングドシャでチョコレートをサンドしたもの。Wikiにも載っている白い恋人が大ヒット作ですが、意識してか四角いやつが圧倒的に多い。
「ラングドシャ・サンド」と銘打っているものもあるけど、右写真のように単に「ラングドシャ」と書いてあるものが多く、チョコレートを挟んだクッキーをラングドシャっていうんだろう、と思う人も出てくるのではないか。何が「猫の舌」なのかどんどんわからなくなってしまう。。。

写真右手は、ラングドシャ生地を丸めたもので、シガール(葉巻)。こちらはヨックモックで売っているのが有名ですね。ラングドシャ生地は薄いし砂糖の分量が多いのですごく焦げやすい。周りに色が付いたくらいでオーブンから取り出して余熱で仕上げます(そうしないと焦げ焦げになる)。取り出したときは柔らかいので巻けるんですね。AJは一度だけラングドシャを焼いたことがある。取り出してケーキクーラーに乗せたらデロンとなったのを覚えている。

wikiには初耳なことも書いてあった。ドイツでは『猫の舌』というと、チョコレートのことになる。
あー!デメルの猫ラベルってそういう意味だったのか―。知らなかった。確かに猫の舌・・・ていうか、アイスについてきた木のスプーンみたいな形をしている。
フランスとオーストリア、近いのにたまたま別のものに「猫の舌」なんて変な名前を付けたとは思えませんね。たぶんどっちかが先にあって、「全然猫の舌に似てないじゃん、オレならもっと似ているお菓子を作るよ」と後から同じ名前で売り出したのではないか。

文字としての鬱

うつ病の鬱。読めるけど絶対書けない漢字。2010年に常用漢字に復活したんですね。そういえばニュースで読んだ。鬱に限らず書けないけど使える(=読めるし打てる)字は確かに常用できる時代なんだよね。

さて、鬱という漢字の字源は、wiktionaryによると「木に囲まれ、塞がった様子」。すると、鬱蒼と茂る、なんてのがオリジナルに近い使い方なんだな。現在の意義は「木がこんもりと茂るさま」「気が塞がること」
「鬱血」は血が流れていかずに溜まっている感じ、「鬱金」は金色が留まっている良い染料って感じかな。「鬱陶しい」は・・・なんだろう?ま、いいか。

英語だとdepression。これは覚えやすいなー。「塞がってる」というより、落ち込んでいる、圧力により低くなっちゃった感じが伝わる。不景気のこともdepressionていうことあるもんね。

中国語(簡体字)は郁。えええっ?日本語ではよく人名に使われるのに、鬱って意味だったのか―!?どうも鬱って漢字が難しいから、同じ読みの郁にしちゃったようだな。簡体字って時々こういう乱暴なことをするからなー。日本語みたいに平仮名があればよかったのにね。
同じ読みと書いたように、現在の中国語(北京語)の読みは「ゆう」。だけど、昔は「うつ」と聞こえる読みだったんだろう。「うー」或いは「うううう」「うぐぐ」な気分が伝わる読みではある。

よし、まず字の意味は覚えたぞ。書き方は覚えてないけど。

2016年10月15日

おせちの鉄人

通りがかりにいつもチェックするJTBのリアル店舗。
旅行パンフレットって、行く予定がなくても眺めるのが好き~。行きもしないツアーの内容に、ひとり突っ込みを入れてたりする。もちろん実際に旅行するときも参考にする。JTBで手配してもらうことも多い。安くはないけど、値段なりのイイコトがあったりします。

で、本日目に飛び込んできたのは、「エースJTBのおせちの鉄人」。
エースJTBで行く「おせちの鉄人」って、どこに行ってどんなおせちを食べるツアーなんだろう!
わくわくとリーフレットをもらって帰ってくると!

あれ?これっておせちの予約カタログでは・・・

なんでおせちカタログに「エースJTB」マークを付けるんだよう。orz

抗不安薬(2) 定義を決めた

抗不安薬の適応を見ると、「不安障害」という言葉がない!パニック障害とか不安障害の適応がある(主たる治療薬である)のは、抗うつ剤の仲間なのである。

えー?じゃ抗不安薬って何で「抗不安」て名前なんだよ!

適応を細かく読んでみると、「△△△(いろんな病気の名前)での、不安・緊張・抑うつ・・・(病気によって他にもいくつかある)」と書いてある。不安障害ではなくて(正確には、不安障害も含む)いろんな病気に起因する不安な気持ちを鎮める薬、ということらしい。
わかりにくいし、誤解を招く定義だと思うんだけど。抗不安薬=不安障害の薬、と紹介しているサイトも多い。不安障害に使わないわけではないので間違ってるとは言えないんだけどさ。

気を取り直して、抗不安薬に分類されるお薬についてみていく。
Wikiの定義では、抗不安薬の一番上にSSRIが来ている!SSRIって抗うつ薬じゃないですか。抗不安薬って抗うつ薬を含む定義なのか?そんなことないよね。SSRIしか入ってないし。
英語サイトに行ってみる。すると、SSRIどころか抗てんかん薬とかもろもろ入ってる!

えー?すると抗うつ薬の方の定義はどうなってるわけ?
再び日本語Wikiに聞いてみる。すると抗不安薬は抗うつ薬の増補薬(抗うつ薬の効果を助けるために一緒に処方される薬)の扱いになっており、要は抗不安薬と抗うつ薬は別物の扱い。

結局、どうも定義が曖昧だ、ということが分かっただけだった。
どうせ曖昧なんだから自分で定義しちゃおう!

抗不安薬は、ベンゾジアゼピンの類で睡眠薬じゃないやつ!これなら覚えやすいぞ。
セディールとグランダキシンについては、当面忘れることにしよう(笑)。

睡眠薬が、超短時間/短時間/中間/長時間に分類されたのと同じように、抗不安薬は短時間/中間/長時間/超長時間に分類される。主なお薬(製品名)は
短時間が、エチゾラム(デパス)、クロチアゼパム(リーゼ)。
中間が、アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)、ロラゼパム(ワイパックス)、ブロマゼパム(レキソタン、セニラン)。
長時間は、オキサゾラム(セレナール)、クロキサゾラム(セパゾン)、ジアゼパム(セルシン)
超長時間が、ロフラゼプ(メイラックス)。んー。主なものだけでもたくさんあるな・・・

「睡眠薬じゃないやつ」と書いたけど、抗不安薬は眠くならないというわけでもない。眠くなることがあるけど、眠くなり方(睡眠増強作用)がより少なくて、鎮静効果が多いやつが「抗不安薬」になる。

睡眠薬(3)で、昔の睡眠薬は依存性が高かったけど今のは安全、と書いた。ただし今のにも依存性がないわけではなくて、バルビツール系に比べれば格段にマシ、ということだ。
抗不安薬は、精神科(心療内科含む)でしか処方されない気がするけど、精神科では気軽に処方されているような…気がするなぁ。依存症や副作用の可能性があるから飲まない方がいい、と言うのは簡単だけど、不安で不安でつらい!という人に我慢しなさいとか不安の元凶を取り除く努力をしなさいと言って済ませるのもいかがなものか。それは不安のつらさを理解してないから言えることなんじゃないか。依存症や副作用が出ない可能性もかなりの高率であるわけで・・・

とはいえ、お薬を飲まずに済めば、それに越したことはないとは思う。どんな薬についても、そうは思う私なのだった。

さて、抗不安薬はさっさと片付けたぞ(これでいいのかね)。次は問題の抗うつ薬だ。これが種類が多くて全く・・・