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2018年11月24日

街はすっかりクリスマス

いつまでも暖かだったけど、AJ家でもとうとう炬燵が登場。昨日はクリスマス飾りも出しました。そろそろコートも出そうかね。すっかり冬らしくなってきた。

「ゼロ年代の50冊」は5冊/月のペースで何とか進んではいるのだが、重たい(物理的にも内容的にも)本が多くて、先が思いやられる。そうして、前に途中で挫けた光文社文庫のカント(7分冊)に再挑戦することにしたので、更にペースが落ちそうな予感。いいんだけど、別に。

こう読書がつらいと、面白い本が多いガーディアンを並行して始めちゃおうかな、新規ネタも書きたい気がするな、と落ち着かないのだった。まぁでも今年はこの調子で進めておこう。リストにあるから読まねばと言う気になっているけど、実際には読まなくたって誰も困んないんだしな(笑)。

バタバタしていた昨年にうってかわって、のんびり毎日を満喫していて幸せだ―。師走に走り回っている皆様には申し訳ないが。皆様がんばってね。応援くらいはするぞー。

ゼロ年代の50冊(2)

恐ろしくアカデミックな本が含まれるゼロ年代の50冊。さすが朝日新聞。読みにくい上に超厚い本が多くてなかなか進めないんですけど。ぶつぶつ。

(6) 木村蒹葭堂のサロン(中村真一郎/新潮社):幕末浪花の商人かつ文化人かつ画人の木村蒹葭堂が作ったコレクションとサロン。大阪っぽい。蕪村は大阪ではなく摂津なんだそうだ。ふーん。大阪は商都だったのがよくわかって面白いのだが、厚すぎるし内容が専門的過ぎてついていけないよう。

(7) 東京骨灰紀行(小沢信男/ちくま文庫):東京のお墓とか慰霊碑とかを巡る紀行。知っている場所が多かったこともあり、なるほどーと興味深かった。執筆当時の風景は既に失われつつあり、さらに変わっていくのだろう。著者は日本橋の生まれだそうだ。

(8) 孤独なボウリング(ロバート・D・パットナム/柏書房):副題は「米国コミュニティの崩壊と再生」。社会関係資本が鍵。豊富なデータで裏打ちされており、論文にしては読みやすいし、重要な問題提起だとは思うんだけど・・・量が多すぎ&例証がローカル過ぎ。例えば題名の「孤独なボウリング」の反対概念は、友達や職場仲間とのボウリングではなく、「地域のボウリングリーグ」に参加すること。米国人か米国文化に詳しい人ならいいのだろうけど全くピンとこないよう。一般人はこれを解説した本、或いはこれを元に日本の現状を分析した本を読むのがいいような気がする。

(9) トランスクリティーク(定本 柄谷行人集3/岩波書店):これも厚い&アカデミックで最初は辛かったが、後半は面白くなった。貨幣のフェティシズム。アソシエーションの可能性。資本主義=ネーション=ステートの三位一体。マルクスよりエンゲルスが分かりやすく感じたのはそういうことだったのか。放り出したままのカントも頑張って読まなくちゃと言う気になれたぞ。しかし一番びっくりしたのは、お気に入りパン屋の店名「シニフィアン・シニフィエ」が哲学(言語学)用語だったこと!

(10) 釋迢空ノート(富岡多恵子/岩波書店):「死者の書」(M075)の折口信夫の話だった。こういう背景があった(かもしれない)のか。なるほどと思う反面、本人が秘匿してたなら知りたくなかった気もする。否定する意味ではなくて。

2018年11月19日

総タンパク/アルブミン

総タンパク(Total Protein、TP)とは、血清中に含まれる全てのタンパク質の総量。全て、っていうけど、アルブミンとグロブリンの2種類と考えてイイ(硫酸アンモニアに混ぜると沈殿するものをアルブミン、しないのをグロブリンと呼ぶことになっているので)。基準値はだいたい6-8g/dl。

アルブミン(Albumin、Alb)は卵白を語源とするタンパク質。 albのところが白って意味だもんね。
待てよ、蛋白質って漢字は、卵の白身の質=アルブミンのことなのか?そうとは言えないらしい。卵白はタンパク質が主成分で、タンパク質の内の6割がアルブミンだけど、アルブミンじゃないタンパク質もある。英語(他)のProteinの方には、「卵」も「白」も含まれないのだが、Proteinの例として卵白があると書かれたのを、あー卵白の成分ねと思い込んで蛋白質という字を当ててしまったらしい。間違っているわけではないし、実体を思い浮かべやすくていいのかも。

アルブミンは血清タンパク質の5割から7割を占める主成分なのだが、肝臓に障害があると減ってしまう。なんでかというと、アルブミンは肝臓で合成されているから。アルブミンだけ多すぎる場合は肝臓が働き過ぎ(脂肪肝)を心配しなくてはならない。
タンパク質を食べると胃とか腸とかで消化されてアミノ酸に分解され、それが肝臓までやってきてアルブミンに合成されるわけだ。アルブミンは血液中で、いろいろ運搬したり、浸透圧やPH調整に役立っているのだそうだ。前回書いたビリルビンも、脾臓で出来た間接ビリルビンが肝臓に行くのに、アルブミンにくっつけて運搬してたりする。アルブミンの基準値は概ね、4-6g/dl。

アルブミンの量を測るだけでは、低い=肝臓が悪いのか?と思ってしまうが、そもそも原料であるタンパク質をちゃんと食べてない(=低栄養)と合成も出来ないわけで、総タンパクも測る必要がある。

すると、総タンパク、アルブミン、両者の比率、と言う三基準になりそうなものだが、そうではなくてグロブリンとの比率なんだよ。なんでかなー。
グロブリン及びA/G比については次回。

2018年11月16日

ビリルビン

ビリルビン(Bilirubin)は、赤血球に含まれるたんぱく質であるヘモグロビンの代謝物です。
より正確に言うと、古くなった赤血球からヘモグロビンが取り出され、ヘムとグロビンに分解されて、グロビンから鉄が切り離されたりしてビリルビンになる。ビリルビンは鉄を持ってないので赤くなくて黄色い色素。痣が赤や紫から黄色になるのは、ヘモグロビンが分解されてビリルビンになるから。血液中のビリルビンが多すぎると「黄疸」と言って、顔に限らず全身黄色っぽくなる。

検査値としては、「総ビリルビン(Total Bilirubin, T-Bil)、直接ビリルビン(Direct Bilirubin, D-Bil)、間接ビリルビン(Indirect Bilirubin, I-Bil)」という数値で表される。
赤血球からビリルビンへの分解は脾臓で行われるけど、この時点でのビリルビンを「間接ビリルビン」と呼ぶ。間接ビリルビンは肝臓に送られ、肝臓でグルクロン酸と抱合した状態のを「直接ビリルビン」と呼ぶ。「間接」と「直接」を足したものが「総ビリルビン」。

ビリルビンは肝臓の状態を表す値に分類されているけど、それはたいてい「直接ビリルビン」が多い場合の話。「直接ビリルビン」は本来、胆汁として肝臓から消化管側に排出される(回り回ってリサイクルされる)のですが、胆管が詰まったりしてうまく胆汁が出ていかないと、血液中(或いは尿中)の直接ビリルビンが多くなってしまう。肝炎とか肝臓がんとか。
「間接ビリルビン」が多い場合は、肝臓とか脾臓とかの病気よりもむしろ、赤血球の壊れすぎ(=溶血)が原因である場合が多い。

要するにどっちが多くてもダメ。少ないのは?いちおう下限値があるんだけど病名が出てこないな。これだけじゃ判断できないってことかな??
基準値は、総ビリルビンがだいたい1mg/dl、直接ビリルビンと間接ビリルビンは0.5mg/dl位。

2018年11月2日

光文社古典新訳シリーズ(20)

祝200タイトル読破!
今回は再読が結構多い。昔読んだものは勿論、最近読んだものでも光文社古典以外で読んだものについては光文社古典で読み直すのを、マイルールとしています。光文社古典は解説や後書きが充実しているので、解説を読んで読後の印象が変わる場合もあったりするのだった。

(191) 幸福について(ショーペンハウエル):哲学書というより人生訓。断然読みやすいのでお勧め!若い頃に読みたかった。でも若い頃読んでも納得できなかったかも・・。「幸せな生活とは、生存していないよりは明らかにマシな状態」。不幸じゃない状態を目指す。完全な幸せなんて夢の中にしかない。今となっては深くうなづけるのだが。

(192) 人生の短さについて(セネカ):幼いネロの家庭教師として知られる後期ストア派哲学者による人生訓。これも読みやすい。言ってることは限りなくショーペンハウエルに近いような・・・。理想は「自然」で、それって過不足がない感じなのかな。

(193) ゴリオ爺さん(バルザック):成り上がりのゴリオ爺さんは、女といっても実の娘達に全てをつぎ込んで極貧で人生を終えるのだった。姉妹とも不実&不身持。「人間喜劇」って大ドラマの一部にあたるのだそうだ。素直に面白く読みやすい。ゴリオ本当に可哀そう。

(194) マノン・レスコー(プレヴォ):恋に落ちて破滅まっしぐらの二人・・・なんでこうなるかな、破滅する必然性は客観的にはないのに。マノンは馬鹿だが性悪女ではないと思う。デ・グリュは輪をかけて馬鹿。どちらかがもう少し大人ならこうはならんのだが。まぁ物語なんだからいいのか。しかし恋に溺れてはいけないという教訓には全然なってないよ、プレヴォ神父さんよ。

(195) デーミアン(ヘッセ):H009(新潮文庫)の再読。印象はあまり変わらないな。BLかと思ったと訳者も書いていて笑った。やっぱりそう見えるよねー。でも違うんだって。

(196) 君主論(マキャヴェッリ):マキャヴェッリ語録(塩野七生)は読んだけど、君主論として読むのは初めて。当時の情勢も一緒に解説してくれるのがしみじみ親切な光文社古典。

(197) トニオ・クレーガ―(マン):H030(新潮文庫:トニオ・クレエゲル)の再読。印象は変わらないのになぜか評価が上がる(笑)。これ自伝を少しベースにしてるのね。リザヴェータさんいいな。こういうお友達いたらいいよね。

(198) 世界を揺るがした10日間(ジョン・リード):H016(岩波文庫)の再読。印象変わらず。解説でスターリンの影が薄いと書いてあって、やっぱりねと思った。この本のせいもあってトロツキーは追われたんだろうね。かっこよすぎだもん。

(199) 若草物語(オルコット):子供の頃に読んだきりで超久しぶり。やっぱりジョーが好き。これ南北戦争の銃後だったのね。「風と共に去りぬ」の敵、北軍の女性たちの肖像。

(200) ロビンソン・クルーソー(デフォー):子供の頃に読んだかな?初めてかも。船が難破して無人島に流れ着き、30年近いサバイバル生活を送る。読み物として面白くはあるけど、面白いだけかも。ロビンソンはドイツ系イギリス人の設定だがイギリス人にもドイツ人にも見えないぞ。