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2016年10月22日

うつと抑うつ

「抑うつ」という言葉は、先日、抗不安薬の効能について書いた時にちらりと使った。

ネットで見てみると、抑うつは『うつを抑える』という意味だと思っていた(或いは違うの!?とびっくりしている)人が案外多い。
なるほどー。鬱を抑える、と読めるもんね。AJ自身は、「うつ病」という言葉と「抑うつ」という言葉を一緒に習ったので、そんな風に考えたことなかったけど、なんで「抑」ていう字を付けちゃったのかなー。

「うつ病」は病気の名前で「抑うつ」は症状の名前だから違う、というのは言葉の遊びで(笑)。
うつ病の典型的な症状のことを「抑うつ症状」ていうのだから、うつ=抑うつ、でいいでしょ。

「うつ症状」とか「うつ気分」と言えば済むものを、なんで「抑」を付けちゃったんだろ。察するに、英語の"depression"という言葉に近づけようとしたのかもしれない。wiki英語版ではうつ病も抑うつも、どっちもdepressionで、 括弧付で病気としての、とか症状(気分)としての、と補足が付いている。このやり方の方が分かりやすかったよね。
或いはせめて、みんなが知っている「憂鬱」とか「気鬱」といった既存の言葉を使えば、「鬱を抑えるんだから反対の意味だ」と思う人もいなかったのではないか。話をわかりにくい方向に持っていきたがるのは、業界用語の悪い癖。

抑うつ=うつ症状とはどんな症状かというと、要は気分が落ち込んでるってことだ。
不安症状がセンサー過敏な感じがするのに対し、うつ症状だとセンサー不感な感じ。前向きになれず引きこもったり、何も感じられず無味乾燥。
ほんとに全く何も感じなければ、周りはともかく本人はつらくない(つらさも感じない)のだが、たぶん、時々はそうじゃない時もあって、前向きになれない自分、何にも幸せを見いだせない自分に自分で傷ついてつらいんだと思う。 でもつらい気分にはいっそう蓋を固くしめてやり過ごす。センサーの動き方は反対に見えても、過剰な刺激にセンサーが耐え切れなくなって摩耗しちゃったとも考えられる。例えばっかりだな。

精神的な生理学というのは、まだまだ分かってないことも多いんだけど、いくつかわかってきた/わかったような気がしてきたこともある。

次回は、うつ病と関係が深いといわれている謎の(謎じゃないか)幸福物質、セロトニン他について。

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