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2012年10月28日

過去メモ(3:シリーズ以外 高校生)

永すぎた春(三島由紀夫):つまんない。コバルト文庫的。金閣寺を書いたのと同じ人とは思えん。つた子さんとか吉沢君とか面白かったのに。全体の筋がなってなーい。(ハッピーエンドが気に入らなかったらしい)
菜穂子(堀辰雄):あんまりおもしろくない。ロマンチック過ぎる。何とか文庫に較べればとても爽やかなのだけど(ハーレクインのことかな?)、しかしロマンチックしかない。もっと言いたいことはないのか!ラストは悪くないんだけどなんだかねー。
黒い雨(井伏鱒二):引きずり込まれて読みました。うまいねぇ。憤りでも愚痴でもない、ただひたすら生きていく人の美しさよね。胸にぐさりと来ないのは、僕が戦争に遠いからなんでしょう。だけど戦争の悲惨さを過去の遺物としてではなく、僕らの身の回りに見出せそうな、そんな気がしているのです。ではね。(ではねって何・・・)
クリスマスカロル(ディケンズ):童話童話した話だけど童話ではないので細かい道具立てはしっかりしています。感動的な物語なのだけど、新潮文庫の訳はいまいちだ。なんか回りくどいし固い。(たぶん童話にしては堅いという意味だと思う)
砂の女(安部公房):さすが世界に認められた作品。他の公房さんの作品よりずっと判りやすいっていうか即物的。しかし終わり方がいい!こんなこと他の一体だれが考えつくかね。崩れても崩れても、哀しいとか切ないとかそんなこととっくに乗り越えて、ただ砂をかき分ける男。黙々と生きる女。女の生活感と男の革命の夢と。これが人生なんだねぇ。穴の外の一握りの男たちも決して支配者ではない。みんな生きているだけ。何のために?ただ埋もれていかないために。何のために?なんのために?何のためでもなく、ただ生き続ける、暮らし続ける、ただの連続。
クロイツェル・ソナタ(トルストイ):感激。復活がなんだ!アンナカレーニナがなんだ!これがトルストイの最高傑作!(3冊しか読んでないけど)。無邪気な恋なんてありえないんだ。ほんとにそう思う(こんなことこんな時点で考えてたのか・・)。『ふたりはベートォヴェンのクロイツェルソナタを弾いたのです』と彼は続けた。『あなたは最初のプレストをご存知ですか?!』と彼は叫んだ。『ララ! ラララ!・・・恐ろしい曲ですね、あのソナタは。特にこの部分が』
水中都市(安部公房): 短編が7つ。「水中都市」と「棒」と「盲腸」が面白い。「なわ」と「鉛の卵」は、ラストはいいと思う。「透視図法」は好きじゃない。 「闖入者」は「友達」の方がいいと思った。
焼けたトタン屋根の上のねこ(T・ウィリアムズ):ブリック君サイコー。どうしてこのクールなラストを変えてしまう演出が存在するのか理解できない!
ばらの刺青(T・ウィリアムズ):・・・いやらしい文。わかるけど・・いやらしいよ。(そんなにイヤラシイ話ではない気がするんだけど)
異邦人(カミュ): 三無主義もここまで来ると絵になる。クールの域を外れてもう全く感覚がないんだよね。

どういう脈絡があって読んでたのかサッパリ。受験の頃に、「名作」を少し読まなきゃとか言って(実際は受験勉強がイヤで読書に逃避しただけなんだけど)読んだような。トルストイとかカミュはその線だと思うけど、自分勝手な読み方をしているから身になってないな。ま、読書は自分勝手でいいんだけどさ。受験勉強の足しにはなってないよ。

2012年10月21日

過去メモ (2:芥川龍之介シリーズ)

太宰シリーズの次に始めたのが芥川シリーズだったが、シリーズを読む前に既に芥川は好きだったので、最初から「うまいねぇ、龍之介君!」で始まっています。更に途中からは「龍さん」と愛称・・・全く女子高生ってやつは(笑)。太宰シリーズもそうでしたが、気に入った文章を抜き書きしているものが多い。
あと関係ないところで驚いたのが、「すごい上手い」を連発していること・・・「すごい+形容詞」って最近の若者言葉だと思ってたのに、自分が若者だった頃に使っていたとは・・・。

たね子の憂鬱:名文!ラストがすごいうまい。『いいえ、ひかれてしまってからも夢の中ではちゃんと生きているの。ただ体はめちゃめちゃになって眉毛だけ線路に残っているのだけれども・・・』 、「すると番茶はいつの間にか雲母に似たあぶらを浮かせていた。しかもそれは気のせいか、彼女の眉にそっくりだった。『・・・・・・』 たね子は頬杖をついたまま、髪を結う元気さえ起らずにずっと番茶ばかり眺めていた。」
古千屋:うまい。しかし悲しい。家康は実は哀しい人なのかも。「人生は彼には東海道の地図のように明らかだった。家康は古千屋の狂乱の中にも、いつか人生の彼に教えた、何ごとにも表裏のあるという事実を感じさせないわけにはゆかなかった。」 うまい!
冬:文才あるねぇ(当たり前だ!)。刑務所に入っているいとこに会うため六時ころまでじっと待っている間に、いろんな人が面会していく。灰色の風のぴゅうぴゅう吹くような冬。
手紙:なんですかねこれは。読みやすいけどよく判りません。
三つの窓:楽しい。ユーモアの中に男の優しさっていうのかな・・・(わかったように言うなって)。内容は実は暗いのだがからっとした明るい陽だまりの雰囲気。3人の死。静かな死と生に執着する死と、それに自殺。そうねぇ。3つしか死に方はないのかもねぇ。。
歯車:これやっぱり良いと思う!死への恐怖と憧れ。レインコオトの男、オオルライト、死んでしまった姉さんの夫、火事、スリッパ、義兄さんの肖像画のひげ、タクシー、復讐の神、狂人の娘、ドッペルゲンガー、光のない闇、ブラック&ホワイト、赤井、そしてラスト『ただなんだかお父さんが死んでしまいそうな気がしたものですから』、銀色の翼、とうめいな歯車、「しかし錯覚でないとすれば・・・」
闇中問答:ある声と僕。この問答で自分をさらけ出している。「僕は偉大さなど求めていない。欲しいのはただ平和だけだ」「うぬ惚れるな。同時に卑屈にもなるな。これからお前はやり直すのだ」
夢:モデルさんを殺してしまって、でも夢だったと思ったけれど、「-けれども夢の中でなかったとしたら・・・」 「ふといつか夢の中にこんなことに出合ったのを思いだした-それから先の夢の記憶は少しも私には残っていなかった。けれども今何か起これば、それもたちまち夢の中の出来事になりかねない心もちもした。」 怖い。でもわかる・・・
或阿呆の一生:「なんのためにこいつも生まれて来たのだろう?この娑婆苦の充ち満ちた世界へ」『あの子はあなたに似ていやしない?』『似ていません。第一・・・』『だって胎教ということもあるし』、Magic Fluteというのは魔笛のことだね。『あすこに船が一つ見えるね?』『ええ』『ほばしらの二つに折れた船が』。フランソア・ヴィヨンというのは、ヴィヨンの妻の旦那だな(そりゃそうか)。どんな本を書く人だったんだろう?「しかし神を信ずることは-神の愛を信ずることはとうてい彼にはできなかった」 。
機関車を見ながら:我々は機関車である、なるほど。線路の上を、有限の時間の上を走っていくだけだもんね。僕らは僕らの人生に手出しすることは許されない。ただひた走るのみ。何かしようとすれば脱線転覆。うむ。僕にもわからない。どこに行くのか誰と会うのか、何もわからないけど、線路の上を行き止まりまで走っていくと思う。そんな人生じゃイヤなんですか?神の愛が信じられないということになるのかなぁ・・・
凶:うまいなぁうまいなぁ。龍之介さん人間じゃないよ(どういう褒め方だよ)。太宰の暗さはセピアな暗さなんだけど、芥川のは真っ暗。何も見えないけど計算された闇。
鵠沼雑記:同じく闇。真っ暗なのに透明な闇。「歯イシャ」なくなっちゃった看板。ぞっとする思いを、ただ落ち着いて受け止めている。またか。。。って感じで。
或旧友へ送る手紙:「ぼんやりした不安」。気分的には判る気もするがしかし。こんなに明晰極まりない文章を書いているのに・・・だからこそ不安なんだろうけど。自殺なんてしてほしくないよ。
侏儒の言葉:すごいなぁ・・・どうしてこんなのに感想が書けるんだろう(友達が読書感想文を書いたのだった)。名文が多すぎて書く気しない。しかし会いたかったなぁ、何で自殺なんかしちゃったのかなぁ(自殺してなくても会えなかったと思う)。
西方の人/続西方の人:キリストの話だった。天上から地上への梯子。でも、あなたは既に地に落ちた一粒の麦、みんなの心を変えていくよ。
早春:わかるけどね。女と言うのはころころ変わるものではありますが、女の子が女に変わるのは明らかに男性のせいなんだから。「いつのまに変わった」とか「僕の知らない内に」とか言っても、あなたのせいなんだってば。好むと好まざるとにかかわらず。しかし肥っていると絵にならないとはね。まぁそうなんだけどさ。痩せている人には言われたくないよね。
馬の脚:面白い。馬の脚で生まれ変わって、というより復活してしまって、馬に対する掛け声で一緒に下がってしまったり。最後の方の、おくさんの常子さんの夫に対する愛情と馬に対する嫌悪の交錯がなかなか。
春:うまいなぁ。絶句。妹が変な虫に引っ掛かって、名状しがたい、嫉妬、好奇心、優越感と劣等感。うまいなぁ。この半分でいいから書けたらなぁ(無理だって)。
温泉便り:楽しい。でも可哀そうな半之丞。お風呂でじっとしていて死んじゃうなんて。『しかしどうも世の中はうっかりできません-『あいつももうしかたがないのですよ、青ペン通いばかりしているのですから』
海のほとり:筋らしい筋はないけどこれ好き。夢の中で、もしもしお願いがあるのですが、と言われて、はぁK君だと思ったけど違って、誰か僕のことを心配してくれる人らしい、それは誰だいと思いながらとんでいくと誰もいなくて、『ああ鮒が声をかけたんだ』僕はこう思って安心した」。すごいうまい。
尼堤:これ面白い。汚物を抱えた尼さんがお釈迦様を避けようと必死に角を曲がるんだけど、曲がるごとにやっぱり如来はゆうゆうと向かってくる。『長者よ、それはわたくしが悪かったわけではござりませぬ。ただどの路に曲がっても、必ずその路へおいでになった如来がお悪かったのでございまする』。うまい!
死後:『君が死ぬとは思わなかった』Sは扇を使いながらこう僕に話しかけた-『君は長生きをしそうだったがね』『そうかしら?』『僕らはみんなそう言っていたよ。ええと僕よりも5つ下だね』-『三十四か三十四ぐらいで死んだんじゃ』-それきり急に黙ってしまった。僕は格別死んだことを残念に思ってはいなかった。しかし何かSの手前へも羞かしいようには感じていた。-僕はちょっとSの顔を眺めた。SはやはりS自身は死なずに僕の死んだことを喜んでいる。-それをはっきり感じたのだ。」
湖南の扇:これは向こうで書いたんですかね。落ち着いていていい。
年末の一日:夏目先生のお墓を訪ねていくのですが、途中でお墓が見つからなかったりして
カルメン:『皿を壁へ叩きつけてね、そのまた欠片をカスタネットの代わりにしてね、指から血の出るのもかまわずにね・・・』 『カルメンのように踊ったのかい?』
三つのなぜ:智恵の美リンゴは、静物であり食い物であり金銭であり、拷問の道具、とはねぇ。ソロモンとシバの女王、自分より優れた人と一緒にいたい気持ちと自分が奴隷になるのを恐れる気持ち、それを喜ぶ気持ち。あるある。ロビンソンが猿を飼って「いつも猿を眺めてはものすごい微笑をうかべていた」。怖いねぇ。
春の夜:清太郎と雪さん。ある日清太郎君そっくりの男の子が来て、後ろから、姐さんお金をおくれよう。
点鬼簿:狂った母様。11月28日か。

尻切れトンボだけど、以上


黒棒

和菓子というか駄菓子ですが(笑)。
たまに食べたくなる「黒棒」は、九州生まれのお菓子です。経歴は知らないけど(wikiでもよく判らないらしい)、佐賀銘菓、丸ぼうろの仲間の気がする。小麦粉+卵を重曹で膨らましてある焼き菓子。あ、もしかして丸くないぼうろって黒棒のことだったりして?

丸ぼうろは優しい甘さですが、黒棒はかなり甘い。昔からこの甘さだったとしたら、黒砂糖が豊富に手に入る南九州ならではの贅沢なお菓子だったんだろうな。それが白砂糖の登場により、駄菓子化しちゃったのかな。惜しい・・・

九州銘菓(ていうか駄菓子)としても売られていますが、スーパーにも普通に売っているので、食べたことない人は試してみてね。 甘いよ。

2012年10月14日

過去メモ (1:太宰治シリーズ)

地震で倒れたのを教訓に、もっと低い書棚の導入を検討しているのですが、まずは今あるものの整理から、その前に実家にある本の類を引き取って・・・っていったいいつ導入できることやら(笑)。

そんな「整理」の中で、主に学生の頃に書いていたノートが大量に見つかり、裁断処分の最中ですが、先日「読書ノート」を見つけた。そういえばこんなもの付けてたな、と思いながら読んだんだけど・・・笑える。昔からこんな性格だったのだなぁ。

1冊は高校生の時のもので、太宰治と芥川龍之介の固め読みが入っている。そうそう最初の固め読みは太宰だったんだよ。最初は「治さん」と呼びかけていて、そのうち「修治さん(太宰の本名)」、最後は「修治君」になっていました。もー、女子高生ってやつは・・・。題名が書いてあるだけとか、最後の方には「この間に安部公房シリーズがあったんだけど」とか書いてある場所も。読書の記録になっていないじゃんか。

もう1冊は大学生の頃。こちらには点数と採点基準が書かれていて、
・100点:すごい!さすが!これっきゃない
・95点:これ買う。愛読書にしたい。
・90点:近頃稀にみる名作
・85点:とてもよく書けています
・80点:あともう少しです
・75点:よく書けているんだけどいまいち
・70点:もう少し頑張りましょう
・65点:次の作品に期待します
・60点:ま、無難なんじゃないですか
・55点:もう少しうまく書けないんでしょうか
・50点:期待しません。こんなものでしょう
・40点:読了するに値しなかった
・30点:読まなければ良かった
・30点以下:何でこんなのを本にするのよー
・0点:燃やしてしまいたい
なんてエラそうなんでしょうか(笑)。15冊しか書いてないけど、最高点は92点。最低点は50点でした。

全文をここに再録する気にはなれないけれど(恥ずかし過ぎ・・・)、裁断すると二度と思いだせないので、面白い範囲で記録。カッコ内は現在の追加感想。

右大臣実朝:なんと文才のあること。実朝のセリフがカタカナなのもいい。戦争に向かっていた時代背景もあるのでしょうか。破滅を受け入れる無邪気な覚悟、というか・・・。 同じ本に入っている「惜別」の方は感心しない。魯迅に見えないし、写真の裏に惜別、ていうのも感動しない。
人間失格:哀しい。自分の手記にしか読めないけど、自分の性格をこういう風に把握してしまうのは哀しいと思う。自分を傷つけることによってのみ完全な作品を書けるのだとしたら、それはとても哀しい。
狂言の神:これも哀しい。書くことによって生き通したんだね。それは読者にわかってもらうためなんかではなく、書きたかったからでもなく、書くしかなかったし書かなくちゃいけなかったんだね。
虚構の春:太宰宛ての手紙文で構成されている作品。自分で作った手紙文が相当あると思う。また構成を変えたり一部だけ抽出することで、他人の言葉で自分を捕まえようとしている。
雌について:切ない。情死なんかじゃない。道行でもない。誰も殺してなんかいない。
創世記:侘しい・・・のだと思うが、「侘しい」という感覚がまだ自分にはわからない。何か言いたいことがあるんだと思う。も少し経ってから読んでみなくちゃ。(もう十分経ったので読んでみなくちゃ・・)
喝采:わかんないよう・・・(何がわからなかったのか?これも読んでみなくちゃ)
二十世紀旗手:うますぎて感想がかけません。「それこそは世の中」「もいちど信じてだまって持たせてくれたなら」「一万五千円の学費使って学問してそうしておぼえたものは」「ああ、あざむけ、あざむけ」「しだいに哀しく、たそがれの部屋の隅で」と、気に入った文章を抜き書きしてある
HumanLost: これも書けない
トカトントン:うますぎ。「トカトントン」という響きもぴったり。これ「ポカポンポン」じゃ笑っちゃうし、「ドカドンドン」も違うよね。計算しつくされた作品だと思う。
苦悩の年間:抜群だ。プロレタリアの科学的ひがみ、うまい!「そしてやはり歴史は繰り返すのだろうか。私は歴史は繰り返してはならぬものだと思っている。」 大人だ!
思い出:後年の作品と内容は似ているが訴えるものが少ない
魚服記:秀作。描写が目に見えるようだ。
列車:まだるっこしい。ありそう。
地球図:割とつまんない。
猿が島:「ああ、この誘惑は真実に似ている。或いは真実かもしれぬ---否!」
道化の華:グサグサと心に刺さる。「ここを過ぎて悲しみの市」
猿面冠者:「あああ。あなた。仕合わせは外から?」
逆行:うまい。特に冒頭。どうしてこれが芥川賞に落ちるのかしら。ラストの遊びたい、の言葉に泣くところも素敵。こんな小説はとても書けない。(当たり前だ)
彼は昔の彼ならず:構想が良い。最後のどんでん返しが読者を見抜いている。
ロマネスク:そうだよね。嘘って増殖するんだよね。「うその三郎のうその火焔はこのへんからその極点に達した」。
ヴィヨンの妻:さっちゃん可哀そうだが、「人非人でもいいじゃないの」と開き直られるヴィヨンもつらいね。こんな目に合わせたいわけでは・・・
 桜桃:子供より親が大事、と内心思っていても言わないのが普通だというだけで、愛する能力に欠けているわけではないと思う
玩具:記憶じゃなくて完全創作なんじゃないかと疑いたくなるすごさ。『だるま寒くないか』『寒くない』すごく寒そう。
陰火:よく判らない。裏切られたと思いたくないってこと?
めくら草子:マツ子さんかわいい。どうしてこんな人も気に入らないのだ?「私は、死ぬるとも、巧言令色であらねばならぬ。鉄の原則」。何でなんだろう。「この水や、君の器にしたがうだろう」。27歳でここまで書ければ立派よね。(確かにそうだが17歳に言われたくない)
正義と微笑:面白いとは言わないが素晴らしい。充実しています。「微笑を持って正義を行え」。そうだそうだ!
パンドラの匣:これも明るい話。ラストのどんでん返しが鮮やか。
燈籠:万引きの弁解がいい。ありそう。「変質の左翼少女、滔々と美辞麗句」か。ラストの電球を変える程度のしあわせ、というくだりもうまい。
女生徒:(これ相当好きだったんだけど。タイトルの下は1ページ丸々空けてあるだけ。、何か書こうと思ったらしいが・・・)
雪の夜の話:短編。意地悪なお兄様ですな。作者でしょうか。美しいものとそれ以上の汚いものを見てきた瞳。どんなに汚いものを見てきても、あなたの瞳は美しいと思うよ。
葉桜の魔笛:らしい。女心をよく理解してます。そして葉桜のかげから「軍艦マアチ」が聞こえてくる
秋風記:退廃美と言うか堕ちていくものの美しさと言うか、文の間からこぼれてしまう。「ところが、私、自由じゃない。両方とも」。うまい。
新樹の言葉:この「りんとして美しかった」兄弟は爽やかで素敵。私もこうありたい。力こぶを入れて応援する気持ちはわかる。しかし激情を醜悪に感じる必要はない。激情もまたよし・・・
愛と美について:楽しい。うまいし。5人兄弟のそれぞれ性格描写が楽しいが、ラストのイプセン先生のくだり、『おや、家の門のところに、フロック着たへんなおじいさん立っています』。お母さんてば、お茶目。
ろまん燈籠:上とおなじような形式。兄弟の恋愛論が爽やか。
女の決闘:うまい!想像力と表現力と観察力。素材を120%使う構成力と言ったら!ベースは鴎外の訳本。鴎外が好きだったのかね?ちょっと意外。
古典風:何が古典風なのか判らないが、ラストの1行、皮肉が効いています。
待つ:たったの3ページ!すごすぎる!!冒頭から惹きつけますが、終わり方もうまい。人は皆何かを待っていると思う。そして誰かに待っていてほしいと思っている。しかしうまい。(本作品がAJの一番のお気に入りです)
新ハムレット:現代版ハムレット。シェークスピアのは勧善懲悪単純だもんね。このハムレットやオフェーリヤは現実にいそうと思う。現実的でよいと思うが趣味ではないな。
乞食学生:構成が○。最後の方の麗しき幸福とそれをコロッとひっくり返すところ。
富岳百景:よく引用される「富士には月見草がよく似合う」。なかなか思いつきませんよ。桜とか菊とか華やかなものに行ってしまうところを月見草なんだもんな。うまいよね。でも一番気に入った個所は、写真を頼まれて「ただ富士山だけをレンズいっぱいにキャッチして、富士山、さようなら、お世話になりました、パチリ」。これ気持ちわかるー。
懶情の歌留多:エッセイ風。「に」に佐藤春夫が出てくる。「けれども某夜、君は不幸な男だね、と普通の音声でいっていた人、佐藤春夫である」。いいよね。文学を好きなので長生きして、カラマゾフ兄弟のようなのを書けるようになりたい、って書いてあるのに。何で自殺なんかしたんだよう。
八十八夜:この「一寸先は闇」いいなぁ。うまいよね。新しい言葉じゃないのに、切実にひとことで言い表している。私には自分の言葉がない、としみじみ思う・・・
畜犬談:おもしろーい。犬を憎み、犬を愛する不思議な気持ち。犬に媚を売ってしまう面白さ。
おしゃれ童子:前半はかわいい。後半は哀しい。感情は断ち切れても感覚を断ち切るのはむずかしいだろうなぁ。
俗天使:いいなぁ。こんな女の子になりたいが、もう年を取らないというわけにもいかないし。(女子高生らしい感想だ)
駈込み訴え:名作。そうだね。ユダはイエス様を誰よりも大好きだったから、受け入れてもらえなくて裏切ってしまったんだね。きっとそうだ、と思える。
東京八景:うまい。でも時々つらい。
老ハイデルベルヒ:なんでこれがアルトハイデルベルク?もう1回行くと変わってるから?ケイティーはどこにいった?
ダスゲマイネ:可哀そうな菊ちゃん。『僕は菊ちゃんだけを好きなんだ。誰もみんな嫌いです』。なかなかこうは言えないんだね。誰をも愛せない、着飾った苺の苦しみ。
満願:短いけどすがすがしい。白いパラソルをくるくると廻す奥さん。カワイイ。なんだかマネしたくなる。

シリーズの最後に、「修治君」への感謝の言葉と一緒に、ルソォの懺悔録もそのうちちゃんと読むから、と書いてある。が、読んでない・・・読みます、すみません・・・

歌舞伎揚げ(揚げ煎餅)

これって和菓子か?と内心思いつつ。洋菓子でも中華菓子でもないけど、和菓子というより日本のスナックよね・・・

砂糖醤油味で揚げてあるおかき。関西では、もっと小ぶりの丸いヤツでぼんち揚げっていうんだよね。関東では歌舞伎揚げ、というのでした。どっちも商品名で一般名称は「揚げ煎餅」だと思うけど、どっちも一般名詞的に使われているような気がします。

砂糖醤油の甘辛味にスナックの王道フライ味。日本版ジャンクフードの代表選手かも(悪い意味ではなく)。

このスナックの何が「歌舞伎」なのかというと、天乃屋のサイトにちゃんと書いてあるけど、このおせんべには歌舞伎の家紋が入っているのですよ。「歌舞伎の家紋」としか書いてないけど、四角いのは三升紋で市川団十郎ですね。丸いのは片岡仁左衛門なのかな?買って来たおせんべいをじっと眺めてみたけど、家紋がついているようには見えません。でもついているんだろうなぁ。

で、知っている人は知っていると思うが、この歌舞伎揚げ、歌舞伎座のお土産としても売られています。今は歌舞伎座お休みだけどね。東京駅のキャラクター通りに何故か(何故かってことないか)歌舞伎座もお店を出していて、そこで売られていました。いつの間にか歌舞伎座名物だから歌舞伎揚げ、なんてことになってしまったりするのかもなぁ・・・




期間限定のぱくぱく北海道

その1:オータムフェスト
連休の谷間を繋げただけで狙っていたわけはないのだけど、結果的に「さっぽろオータムフェスト2012」の開催期間にばっちりあたりました。さっぽろオータムフェスト、はビールが主体のオクトーバーフェストとは違って、食べ物が主体のイベント(飲み物もあるよ)。2008年から開始され、毎年9月下旬に大通公園にて開催されています。

平日もやってはいるんだけど、やっぱり人出の多い土日に美味しそうな出店が多いようだったので、行列覚悟で土曜日に出掛けました。面白かったし美味しかった!!カメラの電池が切れたので写真がないのだけど、まずワインとチーズ(実際はその前に大通公園の定番、焼きとうきび+じゃがバターを食べたんだけど)、Wさんのお目当てのエゾシカのサイコロステーキと、私のお目当ての厚岸の焼き牡蠣。もっといっぱい食べたかったのだが、突然雨が降ってきたのと、だんだんおなかいっぱいになったので、諦めてしまった。もっとお腹空かせていけば良かったかなー(笑)。

この時期に札幌に行かれる方には絶対おすすめ。平日夜もやってますので、出張のついでに覗いてみることもできるかも。私のように休日にしっかり食べに行くぞ!という向きには、屋台はいっぱいあるけど椅子席はとても少ないので、芝生で場所取りと買い出しに分かれられるよう、ある程度の人数で行くのが正解と思うな。雨が降ると痛いけどさ(笑)。

その2: JRタワーホテルのハッピーアワー
何故か現在のサイトには書いてないんだけど・・・内容的にはこれと一緒。札幌駅前(ていうか駅ビル?)のJRタワーに入っている日航ホテル35階のバーSKY Jのハッピーアワーは、ワンプレート+90分飲み放題で1800円!

JRタワーの38階には展望室があって入場料が700円。その3階下で、日航ホテルのお洒落なバーで90分飲み放題ですよ。平日で女性前提(男性は女性同伴が必要で、かつ2,300円)ではありますが、これお得だと思うなー。札幌市民にとってはそうでもないかもだけど、観光客にとってはとてもおすすめと思いました。

webに載ってないのに何で見つけられたかというと、小樽行の電車待ちの間に、暇つぶしに駅に置かれていたチラシを読んでいたのだった。ホテルに行ってみてもあまり宣伝はしていなかったけど、チラシを手に「これを利用できますか?」と聞いてみたら、バーに電話してくれて、大丈夫ですよ、ここからどうぞとエレベータを教えてくれた。とても居心地がよく、ついでにバーでご飯も食べて帰った。美味しかったー。夜景もきれいだった。私は食べてないが、バーなのにコース料理もあって夜景付と言うことを考えると決して高くないと思う。

webサイトに書いてないから自信はないのだが、持って帰ってきたチラシを見る限り、10月もやっている筈。お洒落かつロマンチックなので特にカップルで行く方にお勧め!
 
その3:北海道ガーデンショーのランチバスケット
10月8日まで十勝千年の森で開催されていた北海道ガーデンショー。園芸好きのWさんにお勧めのイベントではあるのだけど、私のお目当てはランチバスケット。
 「森のピクニック」という名前のお店で、ピクニックシート付と書いてあったので、本格的なピクニックバスケットを想像してわくわくしていたのだが、実際はお弁当が市場カゴみたいのに入れて渡されただけだった・・・
ま、でも美味しかったです。右上のクマがいるところは、パン(卵焼きではありません)が入っている袋(ワックスペーパーでちょっとお洒落)。 おかずもおしゃれなので、お店でグラスワインでも売っていると完璧なのになー。
監修したのは、きっと北海道のお洒落な郊外レストランだろうと思っていたのに、なんと東京それも職場の近所・・・・ううう知らなきゃよかったよ(涙)。


2012年10月8日

小樽の定番

札幌から1日小樽に足を延ばしてきました。小樽に行くのは2回目なんだけど、前に行った時はあんなお洒落ではなくて、かろうじて北市硝子があったくらいだった。
何だかちょっと原宿ぽいかな、と言うくらい若者向けのお洒落な街になっていました。

ともあれ小樽と言ったらお寿司でしょ。
私にしては少し張り込んで、店名のお寿司を頼んでみました。美味しかったー。

が、いつももっと安めのお寿司を食べているので、光ものがないのか・・・卵焼きもない・・・とかこっそり思っているのだった。いやいや美味しかったですよ。私の好きな寿司ネタが低級なのは自覚しており、高級なお寿司に文句はありません。カニのお味噌汁を付けてくれて、それも美味しかった。お茶は普通だった。

ガラス屋さんをあちこち眺めてお買いもの。お目当てはガラスの浮き球。前に来た時には大小いっぱい売っていた(ような気がする)んだけど、さっぱり見当たらない。実用として使われなくなって久しいと、お土産としても成り立たないってことかな・・・諦めたころ、浮き球風の瓶を発見!価格的に考えて日本製とは思えないけど、まいいや小樽っぽいし!と買って帰りました。


さてもう一つ小樽のお楽しみはスイーツ!
ローカルなお店で食べたかったのだが、行ってみたら定休日だそうで、もういいかとこれも諦めかけて駅に向かっていたら、駅前にルタオのショップがありました。イートイン付き。ルタオは東京でも売っている、と思ったけどチーズケーキじゃないものもたくさんあって、悩んだ末にチョコレートケーキ(クラシック・ショコラ)。
・・・美味しかったです。お気軽な雰囲気(たぶん本店だともっと本格的なカフェなんだろう)だったけど、これはこれで良かった。800円のケーキセットでこれくらい美味しいと幸せだよなー。

札幌のスイーツもレベルが高いが、小樽も高いね。全体に乳製品(クリームとかチーズとかバターとか)の質が違うように思う。特に現地で食べると美味しい。北海道に行ったら、スイーツも忘れずにね!

上生菓子

いろんな和菓子を取り上げているけど、「和菓子中の和菓子」である上生菓子は何で取り上げないのか?と聞かれて。そういえば確かに(笑)。私自身も「和菓子」と言われて思い浮かぶのは上生菓子なんだけど、「上生菓子」と言う名前が何だか取り上げる気がしなかったのかな。

秋の上生菓子を鶴屋吉信さんで。柿が割れているのは持ち運びの途中で壊したわけではなく、元々こういうのなので念のため。

「上生菓子」というのは、「上等な生菓子」の略なんだから、洋菓子に適用されてもおかしくはないのかもだけど、実際にはお茶席(お濃茶)で出される和菓子、を指すよね。和菓子の種類としては練りきりだったり羊羹だったりお饅頭だったり。今回の柿(落柿舎と言う名前)は先週取り上げた黄身しぐれで、お花(まさり草と言う名前。菊のことらしい。野菊かね?)は外郎です。

和菓子のイメージは上生菓子だとは思うし、文化としてなくなっては困ると思うけれどでも私は滅多に買いません。なんだかとっても敷居が高い(値段も高い)。私はやっぱり「並」が好き(笑)。
でも最近スーパーとかに「並」値段で上生菓子(風)が売っているのよね。ずっと売っているから誰か買っているのだろうな。並値段になると今度は有難味が足りなくてやっぱり買う気がしない・・・