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2016年11月27日

抗うつ薬(3) 四環系抗うつ薬

3つの輪っかがある三環系抗うつ薬に対して、4つの輪っかがあるのが四環系抗うつ薬。英語では、tetracyclic antidepressant・・・って略したらTCAになって、三環系抗うつ薬と区別できないんですけど。=>TeCAと略すらしい。Wikiにそう書いてある。

構造が似ている=効き方も似ているので、三環系抗うつ薬とひとくくりにされていることもある。

三環系よりも効き方がマイルド=副作用も少ないといわれている。眠気が出やすいけど、不眠傾向の人にはうってつけ。三環系と同じ時期に開発された=割と古めの薬。

4つの輪っかがある四環系抗うつ薬は
・ミアンセリン(テトラミド)
・マプロチリン(ルジオミール)
・セチプチリン(テシプール)

あれー、三環系と同じ「-プチリン」がある・・あっちは3だから「-トリプチリン」なのかな。だったらこっちは「-テトラプチリン」にしてくれれば覚えやすいのに・・・
他の二つはチリンとセリンかー。テトラミドは商品名に「テトラ」が付くけど一般名にはつかないんだな。ぶつぶつ。あまり見ないからテトラミドだけ覚えればいいかなぁ、ぶつぶつ。

wikiには余計なことが書いてある。ミルタザピンも科学的には四環系だと。化学構造はそうでも、効き方が違う(選択的に働く)から、普通は四環系とは言わないんだよ。だとすると四環系の定義って何?ってことになるよなー。困るよなー。ミルタザピンはとりあえず見なかったことにする。

2016年11月23日

抗うつ薬(2) 三環系抗うつ薬

三環系抗うつ薬。Tricyclic Antidepressants の頭文字を取って、TCAともいう。
名前の根拠は単純。化学式に三つの輪っか(ベンゼン環)が並んでるんだよ。AJ自身は、三環系化合物=抗うつ剤のイメージが強いけど、3つの輪っかがあれば何でも抗うつ剤になるわけでもない(当たり前)。抗うつ薬以外の薬もある。

例によってWiki(三環系化合物)を見てみると、最初は抗ヒスタミン剤として見つかって、なんか眠くなるねー、トランキライザーとして使えたりして→抗うつ剤としても使えるじゃんか、と仲間が増えてきたらしい。一番昔からある抗うつ剤なのだが、なぜ効くのかはわかっていなかった(笑)。今では、セロトニンやノルアドレナリンの「再取り込みを阻害する」ことによって、セロトニン他の幸せ物質の濃度が上がるため、と考えられている(仮説)。

要は、前回取り上げたSSRI(=選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の「選択的じゃないやつ」。

セロトニンと、ノルアドレナリンまではまぁいいのだが、同じく神経伝達物質であるアセチルコリンも阻害してしまう。いわゆる抗コリン作用、ってやつね。副作用が大きいといわれる原因の一つ。
抗コリン作用として有名なのは、便秘・口渇・排尿障害・悪心と言ったところ。下剤とセットで処方されてる場合も多いな。口が乾くように目も乾くから(大雑把な把握だな)、緑内障には禁忌。

薬剤名でいうと、
イミプラミン(トフラニール)、クロミプラミン(アナフラニール)、トリミプラミン(スルモンチール)、ロフェプラミン(アンプリット)
アミトリプチリン(トリプタノール)、ノルトリプチリン(ノリトレン)
アモキサピン(アモキサン)、ドスレピン(プロチアデン)

んー。SSRIほどバラバラではないけど、 覚えにくいな。―プラミンと―トリプチリンはいいとして、最後の二つは「ピン」だけじゃ、他の「ピン」と混ざってしまうぞ・・・


ロシアケーキ(食品番号:15100)/ロシア菓子(二)

ロシアケーキって若い人は知らないのかもしれない・・・どんなものかはわかるけど、そういえばずいぶん食べてもいない。
と思ったんだけど、なんとヨーカドーの中に入っているケーキ屋で「ロシアケーキ詰め合わせ」を発見!今でも普通に売っているのね。これ買おうかと思ったんだけど、バラ売りがなく、とてつもなく大箱。値段もそれなりだが数が多すぎる。

どうせ買うなら!というわけで、ロシアケーキと言ったらやっぱりここだよね。じゃーん。村上開新堂のロシアケーキだよー!!
・・・あまり美味しそうに撮れてないな(笑)

食品成分表のロシアケーキの定義は、「ビスケット生地の上に、マカロン生地を絞り、焼いた後、ゼリージャム、マーマレード等で飾ったものである」。「なお、マカロンとは、ピーナッツ、アーモンド等の種実類を煎(い)ってつぶしたものに、砂糖を加えて再度焼き上げたものである」。原材料の表記は、「ビスケット〔小麦粉(薄力1等)60、砂糖(上白糖)20、ショートニング18.5、全粉乳1.2、食塩0.7、膨剤0.3〕、マカロン〔砂糖(粉糖)90、鶏卵(卵白)45、アーモンド45〕、クリーム〔ショートニング100、砂糖(上白糖)100〕」。

「家庭でできる和洋菓子」には、「ロシア菓子」が3種類載っていて、村上開新堂のに一番近いと思えるのが、「ロシア菓子(二)」。

まず土台になるビスケット生地を軽く焼く。ビスケット生地は、粉300gに対して砂糖100g=成分表の記述にぴったり!上に乗るのが甘いから、砂糖が少し控えめですね。成分表はショートニングでさくっと仕上げているが、和洋菓子のはバター120gと卵黄4個でしっとりめ。これを下焼きした上に、マカロン生地を絞り出す。
マカロン生地は、砂糖と卵白は一緒だけど、ピーナッツバターを混ぜている!当時はアーモンド粉が売っていなかったのかな。ピーナツバターは重たいけどコクがあって美味しいような気がする。

さて村上開新堂は何を使っているでしょう。原材料表示:小麦粉、砂糖、バター、卵、牛乳、生クリーム、ジャム、チョコレート、レーズン、ベーキングパウダー、香料、酸味料・・・
あれ!種実類がないよう!!!(大泣)

Wikiには、ロシアケーキとは「クッキーを一枚焼き、その上にメレンゲやマコロン、クッキー生地を絞り出して二度焼きし、台となるクッキーを作る」。と書いてあり、マカロン生地にこだわる必要はないように書いてはある。
でも、せっかく力を入れて買ってきたのに、食品成分表のと違うだなんて。ぶつぶつ。

気を取り直して問題です。ロシアケーキはロシアにあるか!
答え:なさそう。(笑)

wikiのロシアケーキには外国語リンクはひとつもない。russian cakeで検索してみると、それっぽいのはみんな日本語サイト。いろんな「普通のケーキ」がヒットする。russian cookiesだと、ブールドネージュ風の白い小さいのが多い。ロシアケーキ風はやっぱり日本語サイトだけ。

Wikiによると、ロシアケーキ発祥の地は中村屋であるらしい(またかー)。ロシア人シェフが作ってくれたケーキ、という意味では嘘ではなかったんだろうね。二度焼きした後からジャムを飾るなんて、手間がかかる割には、案外素朴な仕上がりなのが、ロシアぽいといえばロシアぽい。

村上開新堂のロシアケーキは、マカロン生地は乗っていなかったが、素朴でロシアの甘い紅茶に合いそうな優しい味だったよ。


2016年11月7日

抗うつ薬(1) SSRI

抗うつ薬の代表格っていうと、2016年現在、SSRIだ、と私は思うんだけど。
でもwikiによると、軽度から中等度のうつ病にはあんまり効かないらしい!意外だ。病院に来るような人はみんな重度なのかしら。そんなことないよね・・・

SSRIとは、 Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:選択的セロトニン再取り込み阻害薬。

セロトニンは「神経伝達物質」なので、神経間の伝達に使われるんだけど、放出された全部が受け取られて=伝達に使われるわけじゃないらしく、余ったやつは次回の伝達に使われるように「再取り込み」される。この「再取り込み」を阻害=邪魔することで、セロトニンが神経間に余り易くする→セロトニンの濃度が高めに保たれる。
うつ病はセロトニンの濃度が低いためにおこると思われている(モノアミン仮説と言われる。まだ仮説)から、セロトニンの濃度が高くなれば、うつ症状治るのでは?→治った!ということなのだが。
でも軽度や中等度には効かないっていったい?軽度と重度では病の機序が違うんだろうか。謎。

「選択的」の名前は、セロトニンだけを選択的に再取り込み阻害するから。逆に言うと、非選択的にセロトニン以外も阻害しちゃうやつがいる。そっちについては次回。

薬の名前は統一性がなくて覚えにくいけど、
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)
名前が似てない=化学構造が似てないということだ。今は同じような動きをするから一緒くたに扱われているが、もしかしたら将来的にはよく見たら作用機序が違うじゃん、てことになるのかもね。

よく使われる(ような気がする)のは副作用が少ない(あくまで他の抗うつ薬に比べて、ってことだけど)からなのかも。あるいは案外、高価だから人気あるのかもなー。

2016年11月3日

セロトニン

セロトニンという名前は、serum(血清)とtone(調整する)に由来する。血清の中に血管を収縮させる物質を見つけたので、その物質につけた。
実際には、血管を収縮させる働きがないわけじゃないけど、でも弱い。レニン-アンジオテンシン系の華やかな成功に比べると、全然、なのである。

ところが。
呼吸器や循環器への適用を期待して始めたのに、見つかったのがLSDだった。
LSDって若い人は知らないかもね、「サイケ」という言葉ともに死語になってるかも。
視覚的と言われる幻覚と多幸感をもたらす魔法の薬、LSDは、セロトニンと一部の化学構造がとてもよく似ている。 中枢神経のセロトニン受容体に、セロトニンの代わりにくっついてしまうために、幻覚が起きると考えられている。

するとセロトニンって何者!?
まだよくわからない、のが正直なところだと思う。脳の働きはヒトに特化している部分が結構あるし、健常人相手に出来る実験はとても限られる。
わかっているのは、セロトニン神経(=セロトニンを神経伝達物質として使っている神経。セロトニンの化学物質名から5-HT神経とも)は、眼が覚めている時ずっと活動状態にあって(=セロトニンが分泌されている)、寝てるときは低調、REM睡眠(深い睡眠)では寝ている、ということ。

どうも精神活動に関係が深そうだ。だったらこの神経系をどうにかすると、精神病の症状が改善されたり・・・したのである。

そりゃあそうだろう、と思うかもしれないけど、当時は精神症状は肉体とは別、と思われていて、えーと、ソフトバグはハード交換じゃ治らないだろ、的に考えられていたのだ。ところが、「幸せな気持ち」も、ハード操作で作り出せることが分かった。これはびっくり。

以前、気まぐれ読書メモで、ハクスリーの「素晴らしい新世界」について書いた。ハクスリー自身もLSDの経験者で、政府支給の幸せになれる夢の錠剤ソーマはLSDを下敷きに書いたと思われる。
今はLSDはそこまで安全じゃないし(でもたいていの薬よりは安全だったりして(笑))、何より十分に安くないので、規制の対象になっている。でもこれが十分に安くなったら。政府が無料支給したら。
案外戦争も殺人もなくなって、素晴らしい新世界が出来ちゃうのかもしれない。それが本当に素晴らしいことなのかは、とても悩ましいことなんだけどさ。。。

話が逸れた。
とにかく、セロトニン神経が「正常に」動作していることが、「精神的に正常な」状態にある、と考えることが出来そうだ(まだ断言できる状態にないけど)。
とりあえず、セロトニン神経の「正常な動き」を助けることで、「精神的に正常じゃない」状態を「正常な状態」に近づけることができる、ってことで、次回はようやく抗うつ剤について。