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2016年10月30日

ジャンブル(?)

「家庭でできる和洋菓子」には、私が知らない名前のお菓子が結構存在するのですが、その一つが「ジャンブル」。『見たところの形はただ四角い平凡なものですが、口に入れると、とろけるようにおいしいビスケットです。』って言われても作ってみないと何だかわからないのだが、大ヒントがその次にあった。『これは一名アイスボックス クッキースといいます。』

アイスボックスクッキーなら知ってる。
クッキーと言われると、なぜか絞り出しクッキーを思い浮かべるAJですが、自分で作るとなるとほぼアイスボックスクッキー。 滅多に作りませんがね。
和洋菓子に載っていたのは四角いだけのクッキーですが、AJが自分で作るときはココア味と組み合わせるので、それに一番近いクッキーを買ってきた。イトウ製菓のコンフェッティというもの。イトウ製菓にしては高い。(失礼な)。
自分ではここまでチェックにはしないけどさ。2*2で作る。

アイスボックスクッキーは、バターをたくさん使うのでべとべとしていて型では抜けない。でも絞り出しクッキーよりは砂糖が少ないので、絞り出せるほど柔らかくもない。じゃあどうやって形作るかというと、冷蔵庫で冷やすのです。いったん生地をまとめてから冷蔵庫で冷やして、円筒型あるいは角筒形に整形してまた冷やす、焼く前に筒切りにして天板に並べる。つまり、クッキー型(クッキーカッター)も、絞り出し袋(クッキープレス)も要らないんです。
そして何よりお気に入りなのは、整形した状態で冷蔵庫に入れておいてあとで焼く、ということができる!クッキーに限らず、1回分だけのお菓子を作るのは難しいんですが(卵2/3個とか言われても)、アイスボックスクッキーなら生地をたくさん作っておいて、1回分だけ焼けるんですよ。

和洋菓子に書いてある作り方も、私の知っているアイスボックスクッキーのもの。違うのは、ラップじゃなくてパラフィン紙に包むと書いてあること。当時は冷蔵庫はなんとかあってもラップはまだなかったのかね。

アイスボックスクッキーをジャンブルっていうのか、とwikiで確かめてみると、違うらしい(笑)
wikiによると、オリジナルのジャンブル(jumble)は、中東かイタリア起源で、中世には既に西欧各地に広まっていたらしい。粉と卵と砂糖の他に、ナッツやら香辛料やらが入って、リングあるいはツイストあるいはロール状にして茹でる。ベーグルやプレッツェルに似ているけど、入ってるものが豪華すぎ。アラブの裕福な商人がラクダに積んでおやつにしたのかなぁ。
それが18世紀に入ってなぜか、普通の焼いて作るクッキー(rolledと書いてあるから型抜きクッキーのことだな) のことになった、とのこと。でもjumble cookiesで画像検索すると、元祖らしいパンぽいのがちらほらの他は、ありとあらゆるクッキーが参加している。型抜きよりもドロップ系が多い。

既にオリジナルとは違うものになっているので、アイスボックスクッキーをジャンブルと呼んでも間違いとは言えないだろうけど、アイスボックスクッキーの方が今では有名で誤解も少ないと思う。
英語では同じ icebox cookies か refrigerator cookies 。どっちも同じくらいのヒット数があるし、同じ画像がヒットする。ハズレもあるけど、殆どが私の考えるアイスボックスクッキーに見える。チェックも多いけど渦巻きも多いな。

2016年10月22日

うつと抑うつ

「抑うつ」という言葉は、先日、抗不安薬の効能について書いた時にちらりと使った。

ネットで見てみると、抑うつは『うつを抑える』という意味だと思っていた(或いは違うの!?とびっくりしている)人が案外多い。
なるほどー。鬱を抑える、と読めるもんね。AJ自身は、「うつ病」という言葉と「抑うつ」という言葉を一緒に習ったので、そんな風に考えたことなかったけど、なんで「抑」ていう字を付けちゃったのかなー。

「うつ病」は病気の名前で「抑うつ」は症状の名前だから違う、というのは言葉の遊びで(笑)。
うつ病の典型的な症状のことを「抑うつ症状」ていうのだから、うつ=抑うつ、でいいでしょ。

「うつ症状」とか「うつ気分」と言えば済むものを、なんで「抑」を付けちゃったんだろ。察するに、英語の"depression"という言葉に近づけようとしたのかもしれない。wiki英語版ではうつ病も抑うつも、どっちもdepressionで、 括弧付で病気としての、とか症状(気分)としての、と補足が付いている。このやり方の方が分かりやすかったよね。
或いはせめて、みんなが知っている「憂鬱」とか「気鬱」といった既存の言葉を使えば、「鬱を抑えるんだから反対の意味だ」と思う人もいなかったのではないか。話をわかりにくい方向に持っていきたがるのは、業界用語の悪い癖。

抑うつ=うつ症状とはどんな症状かというと、要は気分が落ち込んでるってことだ。
不安症状がセンサー過敏な感じがするのに対し、うつ症状だとセンサー不感な感じ。前向きになれず引きこもったり、何も感じられず無味乾燥。
ほんとに全く何も感じなければ、周りはともかく本人はつらくない(つらさも感じない)のだが、たぶん、時々はそうじゃない時もあって、前向きになれない自分、何にも幸せを見いだせない自分に自分で傷ついてつらいんだと思う。 でもつらい気分にはいっそう蓋を固くしめてやり過ごす。センサーの動き方は反対に見えても、過剰な刺激にセンサーが耐え切れなくなって摩耗しちゃったとも考えられる。例えばっかりだな。

精神的な生理学というのは、まだまだ分かってないことも多いんだけど、いくつかわかってきた/わかったような気がしてきたこともある。

次回は、うつ病と関係が深いといわれている謎の(謎じゃないか)幸福物質、セロトニン他について。

2016年10月16日

ラグデシャ

「家庭でできる和洋菓子」には、「ラグデシャ」って書いてあるんだけど、現代日本語では「ラングドシャ」ですな。甘くて薄くてほわっと口の中でほどけるクッキー。フランス語の langue de chatは、確かに「ラグデシャ」と聞こえる気がする。日本人が現地で使う分にはラグデシャの方がいいのかもだけど、外国人が日本語から元の言葉を想像するには、綴りに近いラングドシャの方が親切だろうね。

知っている人も多いと思うが、langue de chatは「猫の舌」という意味。たぶん猫の舌は薄いからだろうね。犬の舌も薄いような気がするけど。
本来は、猫の舌のような?長円形で、家庭でできる和洋菓子にも長円型のラングドシャが載っているのだが。。。探したけど見つからない。wikiには正しい形のラングドシャの写真が載っているので 思い浮かばない方はそちらを参考になさってください。


一番よく売られているラングドシャは、ラングドシャでチョコレートをサンドしたもの。Wikiにも載っている白い恋人が大ヒット作ですが、意識してか四角いやつが圧倒的に多い。
「ラングドシャ・サンド」と銘打っているものもあるけど、右写真のように単に「ラングドシャ」と書いてあるものが多く、チョコレートを挟んだクッキーをラングドシャっていうんだろう、と思う人も出てくるのではないか。何が「猫の舌」なのかどんどんわからなくなってしまう。。。

写真右手は、ラングドシャ生地を丸めたもので、シガール(葉巻)。こちらはヨックモックで売っているのが有名ですね。ラングドシャ生地は薄いし砂糖の分量が多いのですごく焦げやすい。周りに色が付いたくらいでオーブンから取り出して余熱で仕上げます(そうしないと焦げ焦げになる)。取り出したときは柔らかいので巻けるんですね。AJは一度だけラングドシャを焼いたことがある。取り出してケーキクーラーに乗せたらデロンとなったのを覚えている。

wikiには初耳なことも書いてあった。ドイツでは『猫の舌』というと、チョコレートのことになる。
あー!デメルの猫ラベルってそういう意味だったのか―。知らなかった。確かに猫の舌・・・ていうか、アイスについてきた木のスプーンみたいな形をしている。
フランスとオーストリア、近いのにたまたま別のものに「猫の舌」なんて変な名前を付けたとは思えませんね。たぶんどっちかが先にあって、「全然猫の舌に似てないじゃん、オレならもっと似ているお菓子を作るよ」と後から同じ名前で売り出したのではないか。

文字としての鬱

うつ病の鬱。読めるけど絶対書けない漢字。2010年に常用漢字に復活したんですね。そういえばニュースで読んだ。鬱に限らず書けないけど使える(=読めるし打てる)字は確かに常用できる時代なんだよね。

さて、鬱という漢字の字源は、wiktionaryによると「木に囲まれ、塞がった様子」。すると、鬱蒼と茂る、なんてのがオリジナルに近い使い方なんだな。現在の意義は「木がこんもりと茂るさま」「気が塞がること」
「鬱血」は血が流れていかずに溜まっている感じ、「鬱金」は金色が留まっている良い染料って感じかな。「鬱陶しい」は・・・なんだろう?ま、いいか。

英語だとdepression。これは覚えやすいなー。「塞がってる」というより、落ち込んでいる、圧力により低くなっちゃった感じが伝わる。不景気のこともdepressionていうことあるもんね。

中国語(簡体字)は郁。えええっ?日本語ではよく人名に使われるのに、鬱って意味だったのか―!?どうも鬱って漢字が難しいから、同じ読みの郁にしちゃったようだな。簡体字って時々こういう乱暴なことをするからなー。日本語みたいに平仮名があればよかったのにね。
同じ読みと書いたように、現在の中国語(北京語)の読みは「ゆう」。だけど、昔は「うつ」と聞こえる読みだったんだろう。「うー」或いは「うううう」「うぐぐ」な気分が伝わる読みではある。

よし、まず字の意味は覚えたぞ。書き方は覚えてないけど。

2016年10月15日

おせちの鉄人

通りがかりにいつもチェックするJTBのリアル店舗。
旅行パンフレットって、行く予定がなくても眺めるのが好き~。行きもしないツアーの内容に、ひとり突っ込みを入れてたりする。もちろん実際に旅行するときも参考にする。JTBで手配してもらうことも多い。安くはないけど、値段なりのイイコトがあったりします。

で、本日目に飛び込んできたのは、「エースJTBのおせちの鉄人」。
エースJTBで行く「おせちの鉄人」って、どこに行ってどんなおせちを食べるツアーなんだろう!
わくわくとリーフレットをもらって帰ってくると!

あれ?これっておせちの予約カタログでは・・・

なんでおせちカタログに「エースJTB」マークを付けるんだよう。orz

抗不安薬(2) 定義を決めた

抗不安薬の適応を見ると、「不安障害」という言葉がない!パニック障害とか不安障害の適応がある(主たる治療薬である)のは、抗うつ剤の仲間なのである。

えー?じゃ抗不安薬って何で「抗不安」て名前なんだよ!

適応を細かく読んでみると、「△△△(いろんな病気の名前)での、不安・緊張・抑うつ・・・(病気によって他にもいくつかある)」と書いてある。不安障害ではなくて(正確には、不安障害も含む)いろんな病気に起因する不安な気持ちを鎮める薬、ということらしい。
わかりにくいし、誤解を招く定義だと思うんだけど。抗不安薬=不安障害の薬、と紹介しているサイトも多い。不安障害に使わないわけではないので間違ってるとは言えないんだけどさ。

気を取り直して、抗不安薬に分類されるお薬についてみていく。
Wikiの定義では、抗不安薬の一番上にSSRIが来ている!SSRIって抗うつ薬じゃないですか。抗不安薬って抗うつ薬を含む定義なのか?そんなことないよね。SSRIしか入ってないし。
英語サイトに行ってみる。すると、SSRIどころか抗てんかん薬とかもろもろ入ってる!

えー?すると抗うつ薬の方の定義はどうなってるわけ?
再び日本語Wikiに聞いてみる。すると抗不安薬は抗うつ薬の増補薬(抗うつ薬の効果を助けるために一緒に処方される薬)の扱いになっており、要は抗不安薬と抗うつ薬は別物の扱い。

結局、どうも定義が曖昧だ、ということが分かっただけだった。
どうせ曖昧なんだから自分で定義しちゃおう!

抗不安薬は、ベンゾジアゼピンの類で睡眠薬じゃないやつ!これなら覚えやすいぞ。
セディールとグランダキシンについては、当面忘れることにしよう(笑)。

睡眠薬が、超短時間/短時間/中間/長時間に分類されたのと同じように、抗不安薬は短時間/中間/長時間/超長時間に分類される。主なお薬(製品名)は
短時間が、エチゾラム(デパス)、クロチアゼパム(リーゼ)。
中間が、アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)、ロラゼパム(ワイパックス)、ブロマゼパム(レキソタン、セニラン)。
長時間は、オキサゾラム(セレナール)、クロキサゾラム(セパゾン)、ジアゼパム(セルシン)
超長時間が、ロフラゼプ(メイラックス)。んー。主なものだけでもたくさんあるな・・・

「睡眠薬じゃないやつ」と書いたけど、抗不安薬は眠くならないというわけでもない。眠くなることがあるけど、眠くなり方(睡眠増強作用)がより少なくて、鎮静効果が多いやつが「抗不安薬」になる。

睡眠薬(3)で、昔の睡眠薬は依存性が高かったけど今のは安全、と書いた。ただし今のにも依存性がないわけではなくて、バルビツール系に比べれば格段にマシ、ということだ。
抗不安薬は、精神科(心療内科含む)でしか処方されない気がするけど、精神科では気軽に処方されているような…気がするなぁ。依存症や副作用の可能性があるから飲まない方がいい、と言うのは簡単だけど、不安で不安でつらい!という人に我慢しなさいとか不安の元凶を取り除く努力をしなさいと言って済ませるのもいかがなものか。それは不安のつらさを理解してないから言えることなんじゃないか。依存症や副作用が出ない可能性もかなりの高率であるわけで・・・

とはいえ、お薬を飲まずに済めば、それに越したことはないとは思う。どんな薬についても、そうは思う私なのだった。

さて、抗不安薬はさっさと片付けたぞ(これでいいのかね)。次は問題の抗うつ薬だ。これが種類が多くて全く・・・

2016年10月10日

もう10月も1/3が終わり・・・

もう30度超えは心配しなくていいだろう、と最後まで残しておいた扇風機を片付けて、夏のお帽子もサンダルも洗った。代わりに、もこもこベストと冬のお帽子をスタンバイ。もうすぐ冬だねぇ(違うって)。

あとは麦茶が1パックと、素麺が一把。今週末までには片付けられるだろう。麦茶が終わったらココアを買ってこよう。素麺が終わったら冷蔵庫の氷も捨てちゃっていいな。

でも・・・編み物を始める前に、縫いかけのあれとこれを終わらせなくちゃ。月掃除もたまる一方だし、あああ、あれもこれも終わらないうちにまた1年が過ぎていくよう・・・!!

プレッツェル(食品番号:15099)

プレッツェルって知ってる。欧米で見たことあるよ、ハートというか8の字を変形したみたいなパンみたいなやつでしょ?あれってビスケットとは言わんだろ?日本ではあまりメジャーでもないし?と思う人が多いような気がする。でも日本でもメジャーなプレッツェルがあるんだよー。

グリコのプリッツ!
プリッツがプレッツェルだと私が気が付いたのは10年位前。当時の仕事仲間の米国人から、お土産にあげたご当地プリッツについて「プレッツ美味しかった!」と言われた時だった。
プレッツってプリッツのこと?そういえばPRETZって綴りだった。あれってプレッツェルの仲間なのか?
プリッツの箱を良く見てみたら「プレッツェル類」と書いてある!
プリッツならビスケットの仲間でもおかしくないよね。

 と、思ったのだが、食品成分表の定義を読んで驚愕。
「新たに収載した『プレッツェル』は、生地を押しだして紐を結んだ形や棒状に成型し、アルカリ浴に浸漬した後、食塩を振りかけて、焼いたものである」。あれー!元祖プリッツじゃ食塩がふりかけてないよー、サラダプリッツにしとけばよかったー!!
 
プレッツェルはドイツ生まれ。上の写真に写ってる(プリッツの後方)のもドイツ製で、成城石井で買った。塩味が強くてビールが進みそうだ。甘味は薄くて塩味を除けば、ほとんど乾パンみたいな味。このタイプはWikiによると「スナック菓子タイプ」。アメリカのやつを最近日本のスーパーでも時々見かけるようになった。チョコ掛けのとかもある。ドイツでは甘いのはないんだろうと思いきや、Salz-Brezelnと書いてあるから、甘くないのも売っているらしい(ドイツでは「プ」レッツェルではなく「ブ」レッツェルなんだね)。
英語表記もSalted Prezel。でもイタリア語表記はBrezelだからイタリアでは甘いのが売られてないのかな・・
ちなみにプリッツみたいな棒状のプレッツェルもドイツが発祥の地だとwikiに書いてあるけど、ドイツ語サイトに写真は出ていない。本文は・・読んでない(笑)。

冒頭に書いたように、パン型のプレッツェルもある。こちらも塩味が標準だと思うけど、甘いのもある。アンティ・アンズのシナモンシュガーが好きだったんだけど、大手町から撤退してしまってその後食べてない。噛みごたえはあるけど、硬くはなくて美味しかった。焼き立てが美味しいので、イートインがあるところで食べるのがお勧めだよん。

抗不安薬 (1)不安障害

睡眠薬は不眠症のお薬、これはわかりやすい。イメージもしやすい。
でも抗不安薬は不安障害の薬って言われても、わかったようなわからないような・・・

まず不安障害とは何か。英語ではAnxiety disorder。直訳だね。
中国語は焦慮症。うまい!!うまく不安になれない、不安にうまく対応できない、過剰に対応してしまう感じが表現できている気がする。

不安障害にはいろんな種類がある。
恐怖症:特定の事象や状況に対する著しい恐怖。AJは蛇が苦手で「蛇」と考えただけでドキドキしてしまうのだが、あれがもっと「著しく」なると、ヘビ恐怖症として認めてもらえるんだろう。
パニック障害:動悸、息苦しさや吐き気、眩暈などの身体的症状(パニック発作)を伴うもの。
強迫性障害:不合理な考え(強迫)が繰り返し頭に浮かんで不安になるもの。不安を解消しようと繰り返し同じ行動(強迫行動)をとることがある。AJは鍵を閉めたか不安になりやすいのだが、でも1回確かめに戻れば気が済むから、「不合理」には入れてもらえないな。
外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害:大変な経験をした後で、長くイラついたり、怖い思いを再体験したり、人格解離すること。
厚生省サイトの分類には他にもいくつかあるけど、分類方法は複数あって、まだ変わるようだから覚えても意味ないんだろう(おいおい)。だいたいこんなのが入る、というところで。

大事なのは、不安や恐怖を感じること自体は「正常」なのであり、それが高じて日常生活に支障をきたすようになるのが「病気」ということだな。
蛇の何が怖いんだろう?と自分でも思ってるけど、怖いものは怖いんだから、「怖くないよ!」なんて言われても何にもならんのだ。日常生活に支障が出るほど怖かったら、それは困るだろうなぁ。「怖い」センサーの感度が高すぎるんだな。

とにかく、そういう不安障害に使われるのが、抗不安薬、と思うではないか。
間違ってはいないのだがしかし。
次回に続く。

2016年10月7日

睡眠薬(3) その他

その昔、睡眠薬といったらバルビタールを代表格とするバルビツール酸系を指したものだった。今はほとんど使われてないと思う。
推理小説や映画その他で、いつも飲んでいる睡眠薬をまとめ飲みして自殺を図るとか、いつも飲んでない配偶者に飲ませて昏睡させるとか、に用いられていたのがこの類。飲んだらやめられなくなる(依存性がある)危険性もあって、使い方が難しい薬だったのだね。
睡眠薬=怖い、というイメージは、バルビツール酸系の薬によって育てられたのだった。今よく使われている睡眠薬は、そんな怖さはありません。もちろん副作用がないわけじゃないけど、普通の薬並み(笑)。

逆に新しいタイプの睡眠薬もある。神経刺激全般を抑制してぼんやりさせる感じが今までの睡眠薬だったわけだけど、睡眠のメカニズムに着目して、眠くなる/起きにくくなるもの。

ひとつはメラトニン受容体アゴニストのラメルテオン(ロゼレム)。人間には体内時計なるものがあって、だいたい24時間のリズムを刻んでいるんだけど、「眠りましょう」のチャイムとなるのがメラトニン。メラトニンを出やすくすれば、もっと眠くなるわけだ、というわけで開発されました。お薬をやめてもリバウンドが出にくいという特徴を持ちます。
個人的にはロゼレムの箱が好きー。いかにも不眠症の薬、というパッケージなんだよー。医療用医薬品は一般消費者の目に触れるものじゃないから、製品名と会社名を書いとけばいいんだろ、的な箱がほとんどなのだが、ロゼレムは絵入りで覚えやすいんだよー。(絵がなくても覚えろって)

もうひとつが数年前に登場したオレキシン受容体アンタゴニストのスボレキサント(ベルソムラ)。こちらは「起きましょう」チャイムのオレキシンが出にくくなるようにすることで眠れるようにする。中途覚醒型不眠に向いていますね。

従来型の睡眠薬に比べると、効きが弱い!と言ってる患者さんが多いように感じるが、これで効けばこっちの方がいいのかもしれない。純粋に「睡眠薬」と言えるのは新しいタイプのようにも思う。とはいえもちろん、新しい薬がいつも優れているとはいえないわけだけど。

さて、睡眠薬はとりあえず終わり。問題は次だよな・・まずは睡眠薬に近い抗不安薬から。ううう。

2016年10月5日

睡眠薬(2) BZと非BZ

2016年現在、睡眠薬として使われているのはおそらく、「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」で9割以上を占めるんじゃないかな。

と書くと、「ベンゾジアゼピン系」と「ベンゾジアゼピン系じゃないもの」 を足したら10割になるんじゃないのか、と思いませんか?
私もそう思ったんだよ。でもね、「非ベンゾジアゼピン系」というのは、「ベンゾジアゼピン系じゃないもの全て」ではなく、「ベンゾジアゼピンに似た効き方をするのに、構造的にはベンゾジアゼピン系じゃないもの」を指すんだよ。
なんてわかりにくい名前なんだ!日本語に限らず英語でもnon-benzodiazepinとそのままです。何か違う名前つけるべきじゃないかな、ぶつぶつ。

覚えやすいのは3つしかない非ベンゾジアゼピン系の方。ゾルピデム酒石酸塩(製品名:マイスリー)とゾピクロン(アモバン)、 エスゾピクロン(ルネスタ)。3つとも超短時間型。副作用も少なく、単に眠れないというとこの薬が処方される筈。特に半減期が2時間程度と短いゾルピデム。内科とか他科からでも良く処方されてる。使いやすいんだろうね。副作用や依存性・耐性も少ない。ま、他の睡眠薬と比べて、ってことだけど。
ポイントは眠る直前に飲むこと。超短時間型ですぐ効くんだから、お薬飲んでからお風呂に入って、あれしてこれして・・は良くない(記憶してないことがある)。お布団に入ってお薬を飲む、位の気構えで飲むこと。

ベンゾジアゼピン系の方は、「ゼパム」で終わるやつと「ゾラム」で終わるやつがあって、名前だけでは短時間なのか長時間なのかわからない・・・一つ一つ覚えるしか(泣)

 トリアゾラム(ハルシオン)は非BZと同じ超短時間型。
短時間型がブロチゾラム(レンドルミン)、エチゾラム(デパス)、ロルメタゼパム(エバミール・ロラメット)とリルマザホン(リスミー)。あれ、リルマザホンはゼパムもゾラムもつかないぞ・・・
(注:エチゾラムは「ゾラム」がつくけど、ベンゾジアゼピン系じゃなかったー!似たようなものだけど、チエノジアゼピン系。BZ系とは言えないけど、非BZとも言わない。わかりにくすぎだ!!)
中間時間型は、ニトラゼパム(ベンザリン・ネルボン)、フルニトラゼパム(ロヒプノール・サイレース)、エスタゾラム(ユーロジン)。
長時間型は、クアゼパム(ドラール)、ハロキサゾラム(ソメリン)、フルラゼパム(ベノジール・ダルメート)。

ベンゾジアゼピン系は睡眠薬じゃないやつもいるので、余計にごっちゃになりやすいんだよ、ぶつぶつ。でも地道に覚えるしかないよな、ぶつぶつ・・・

薬理作用的には、GABA-A受容体に作用して・・・ええと要するに、中枢神経の働きを邪魔するんだな。ソワソワわくわく/ドキドキくよくよ、といった脳の働きをぼんやりしたものにすることで、もともとある(ハズの)眠いようという傾向に拍車がかかる。

旅行に行くと、枕が変わるし、旅の友の鼾で眠れないことがあるから、睡眠薬を持っていくの、せっかく旅行に行くのに昼間に爆睡してたらつまんないじゃない?と言っていた方がいた。 その使い方は理想的だな、と思った。AJ自身はいつでもどこでも眠いので、睡眠薬は飲んだことないんだけどさ(笑)。

2016年10月2日

睡眠薬(1)

 メンタル関係の薬でとっつきやすいのは睡眠薬と思ったんだけど、これがねぇ。。。ま、とにかく始めてみるか。

睡眠薬。英語ではhypnotic。これもギリシャ語由来の言葉なので、欧州どこでも通じそう。中国語は安眠薬。うまい!睡眠薬よりも安眠薬の方が、正しい表現だと思う。もっとも、hypnoticの方は、眠りを意味するhypnosから来ているので、同じように訳そうとするなら睡眠薬の方が素直ではある。


で、睡眠薬を必要とするのは、眠れない=不眠症の人たち、ですね。
不眠症の方は、英語ではinsomnia、中国語では失眠。これも中国語の方がうまい。「不眠」ていうと全然眠ってない=完全徹夜って感じするけど、実際の不眠症は必ずしもそうではない。あるべき眠りが出来てないので、「失眠」は正しい表現だと思う。

不眠症にはいくつかパターンがあって(というか、いくつかパターンに分けることになっていて)、それに応じたお薬を飲むことになる。

1) 入眠困難型:寝つきが悪いタイプ。寝付いてさえしまえば朝までちゃんと眠れる。明日の遠足に興奮して眠れない子供、みたいなやつ。
2) 中途覚醒型:寝つきはそれなりにいいのだが、何時間か眠ると目が覚めてしまうタイプ。また眠ることはできるんだけど、また起きてしまう。朝までぐっすり眠ることができない。
3) 早朝覚醒型:寝つきは良いのだが、朝早く起きてしまうタイプ。目が覚めたらもう眠れない。ただし睡眠時間が足りているわけではないので昼間に眠い。年寄りはこれが普通(笑)。

入眠困難型は、飲んですぐ眠くなればそれでいいので、短時間(あるいは超短時間)効くタイプの睡眠薬を、中途覚醒と早朝覚醒は短時間効いても意味ないので、長時間(あるいは中間)作用型の睡眠薬を処方することになる。ここまでは考える余地もないんだけどさ。

何が短時間で何が長時間かは、お薬ごとに覚えるしかない・・・同じような名前(=同じような化学構造)でも、超短時間だったり長時間だったりする。やだー!。そして同じような名前でも、適用も禁忌も微妙に違う。やだー!! でも文句を言わずに地道に覚えるしかないんだなこれが・・・

睡眠薬は、怖い薬と思っている人もいるけど、昔に比べれば依存症や中毒も減って、そう怖い薬ではなくなってきています。ま、飲まずに済めばその方がいいとは思うけどね。睡眠がなぜ必要なのか、まだ正確にはわかっていないけど、必要なのは間違いない。「食べない」よりも「眠らない」の方が、生命の危険は大きいことが分かっている。良い眠りというのは大事なことではあるのだ。

とはいえあまり拘りすぎるのもねー。特に年を取ってくると、若い時のようにはぐっすり眠れないのが当たり前なのであって、それを眠れない!眠れない!お薬飲まなきゃ!!となるのは、良くないと思うよ。朝っぱらからラジオ深夜便でも聞いて、午後には日向ぼっこしながらウトウト・・・というのが正しい年寄りの在り方でしょう。

第1回は愚痴と説教で終わってしまった。次回は真面目にお薬の分類と代表選手について書きたいと思います。

クッキーはクッキーでも

クッキーと言われて思い浮かべるのは、httpクッキー!ていう人多いんだろうね(笑)
知り合いのDさんから、httpクッキーはなぜクッキーというのか?とご質問をいただきました。

結論を先に言うと「理由はない」らしい。

httpクッキーの権威であるRFCには何も書いてなくて、いきなり「クッキー」で始まってしまうけど、出典とされているネットスケープ社(懐かしいなぁ!)のクッキー仕様にはこう書いてある。
 The state object is called a cookie, for no compelling reason.
理由がないって言われてもねぇ。付けた当初は何か理由があった筈で、あー、この仕組にクッキーっていい名前だよね、と思ったから採用された筈でしょ。単にカワイイとか甘いもの好きだからという理由ではなかったはず。

wiki(英語サイト)には、httpクッキーの原型はUNIXの"magic cookie"であると書いてある。ここまでは事実なのだろうが、"magic cookie"の由来がフォーチュンクッキーみたいにメッセージが埋め込んであるから、という説明には、要出典マークが付けられており、疑問の余地がある。

フォーチュンクッキーはアメリカ以外では通用しないでしょ。ま、当時のUNIX/インタネットはアメリカ主導だったからそこはいいとしても、フォーチュンクッキーを原型にしていたら、httpクッキーは最初からもっとセキュアなものとしてスタートしてたんじゃないか。メッセージがクッキーに「埋め込まれて」なくて、トッピングされてるものをフォーチュンクッキーとは言わないだろ、たぶん。

食べ物好きのAJが、httpクッキーに出会った時(既にメジャーな技術でしたが)に思っていたのは(ついさっきまでそれが事実だと思い込んでたんだけど)、httpクッキーは、簡易な認証鍵として使えるので、「鍵(キー)は鍵でもクッキー!なんちって」というダジャレだと思っていました。
違うらしい。誰もそんなこと書いてない・・・orz