タイプミスではないですよ。「向」精神薬と「抗」精神病薬、という概念があるのだ。同じではないけど違うわけでもない。これは悩むよね、普通。話をややこしくしているのは、それぞれに広義の定義と、狭義の定義があるからだと思う。
まずは広義の方。
「広義の向精神薬」は、Wikiによると、psycoactive drugsまたはpsycotropicsに当たるもの。脳の働きに作用するものの総称。この定義はわかりやすい。なんで「向」という字を当てたのかはわからないけど、activeという感じを出そうとしたんだろうか。
「広義の抗精神病薬」は、同じくWikiによると、antipsychoticsで、広義の向精神薬の一種で主に統合失調症や躁状態の治療に承認されている精神科の薬である。こっちはわかりにくい。
ポイント1:「広義の向精神薬」は、「広義の抗精神病薬」を含む概念である。
ポイント2:「抗精神病薬」は、「承認されている」薬である。
つまり、「広義の向精神薬」は精神科の薬として承認されていない、麻薬やハーブの類も含むけど、「広義の抗精神病薬」にはそれは含まない。あくまでも承認された精神系統の薬、ってことだ。精神病に効く薬だから、「抗」精神病薬。(抗精神薬という言葉はありません。念のため)
ここまでは分かってみると、なるほどね、なのだが。
続いて狭義の方。
「狭義の向精神薬」は、麻薬及び向精神薬取締法で規定されている薬物。麻薬と並んでいることで想像が付くと思うけど、「広義の向精神薬」に含まれる「広義の抗精神病薬」の中で、依存性が高くて乱用が懸念されるものが規定されている。規定された薬物は、処方制限(最大30日までとか)があったり、保管規定(鍵をかける場所にしまうとか)があったりする。旧来型の睡眠薬や抗不安薬はほぼここに入る(全部ではない)。
ギョーカイ人はたぶん向精神薬=狭義の向精神薬と考える、と思う。これは法律の名前が良くないよ。アメリカでは規制物質法(Controlled substances act)。これならギョーカイ人も「麻薬」とか「向精神薬」とか言わずに「規制薬物」っていうだろうし、なんで「麻薬」に大麻は含まれてないんだ?とか抗精神病薬とは何が違うんだ?とか悩まなくて済むだろうに。ぶつぶつ。
「狭義の抗精神病薬」とは、主に統合失調症の治療に使われる薬。
・・・だったら「抗統合失調症薬」というべきではないか?それよりも、抗うつ薬でも抗てんかん薬も抗不安薬でも、その他抗○○薬でもない、精神科の薬が「抗精神病薬」、という定義の方が納得できる。
ま、統合失調症自体が、双極性障害でもてんかんでも、その他○○でもない精神の病気、って感じの定義だからなー。
結果をまとめると、
「広義の向精神薬」 ⊇ 「広義の抗精神病薬」 ⊇ 「狭義の向精神薬」
かつ、「狭義の向精神薬」と「狭義の抗精神病薬」とは一つも一致しない。
ややこしすぎだろ。。。
次回はそんな抗精神病薬(狭義)について。これがまた意味不明に分類されるんだよ・・・(泣)
0 件のコメント:
コメントを投稿