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2012年12月30日

光文社古典新訳シリーズ(11)

なんと前回報告してから1年近く経っているのかー。びっくりー。追いつき気味だったのに引き離されるわけだよなー。

(101) 悪霊(ドストエフスキー): 最初はタラタラしたが1冊目の最後から面白くなって一気に読んだ。が、救いのない物語だな。レーニンとかトロツキーとか読んだ後なので、時代背景(事件が起こるのはこの後だけど)は理解できる。政争って案外個人の好き嫌いなのなー。犯罪を描いたものとしては、カラマゾフの方が面白かった。

(102) 永続革命論(トロツキー): スターリンに追われたトロツキーが自説の正しさを滔々と述べるもの。革命は永続しないと意味がない。そうか。世界中が共産主義にならないと革命の意味ってなかったのかー。確かにー。

(103) うたかたの日々(ヴィアン): 安部公房的シュールな世界だがうんと華やか。それぞれに不幸な二組のカップルの話なのだが・・・実に華やかだ。パルトル(=サルトル)は判ったがシュイシュ兵(=スイス兵)は訳注がないと背景を想像するのも無理。フランス人が読むと面白い(面白かった)んだろうなー。マルチタレントな人ってここまでできるのなー。

(104) カメラ・オブスクーラ(ナボコフ):ファムファタールにより破滅に追い込まれる空っぽの中年男の話。「ロリータ」の作者だそうな。さっぱりロシアぽくない。

(105) 高慢と偏見(オースティン):2009年に固め読みで読んだんだけど、古典新訳入りしたので念のため読んでみた。印象全く変わらず。少し会話(特にジェーンとの)が現代ぽいのかもだけど。しかし何で男性は「ミスター○○」なんだろ。原作がそうなんだとは思うが名前がわからないね。旦那様のことも名前では呼ばないのが普通だったのかね。ま日本もそうだけど・・・

(106) 詐欺師フェリークス・クルルの告白(マン):トーマスマンって、ベニスに死すはいいけど後はあんまり好きじゃなかったんだよ、と思いながら読み始めたのだったが・・・これ面白い!太陽がいっぱいの殺人なし版。パリもポルトガルもフランクフルトもその街らしさが出ていて、うまい!これリプリーみたいに続きないのかなー、あったら読みたい!

(107) 市民政府論(ロック):リバタリアンの元祖だそうで。小さい政府(最低限政府)というのはこういうものだという話。うーむ。そうかもしれないがそうでない気もする。どうだろう?

(108) 人口論(マルサス): 素直に面白かった。極端な青年の極論、というあとがきに全面的に賛成。でも判りやすいし、そうともいうねと思えるところもあり、引用しやすいと思う。簡単な科学で言えば確かに物事は釣り合うところに向かっていくはずなのだが、実際は案外そうでもないのだよなー。何でなのかは解明されていないのだ。なんでなのかねー。

(109) プロタゴラス(プラトン): 若き(と言っても30代)のソクラテス像。ソフィストのやり方でソフィストをやりこめているだけのような・・・でもイキイキしてていい。プラトンはソクラテス先生が好きだったということがよく判る。

(110) メノン(プラトン):美青年かつ勇敢だけど実は空っぽ(プロタゴラスの弟子)のメノンを導こうとするソクラテス。あまりうまくいかない。政治家の正しさは「単なるカン」か。確かにそうだよなー。わかっていないということをわかっているというのは大事なのだ。わからないままだけど進んでいる感じも大事なんだよなー。

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