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2010年5月16日

弥勒の月 (あさのあつこ)

以前、宮部みゆきのブレーブストーリーを読んだ時に、こういう話はあさのあつこに任せとけばいいのに、と思ったのだったが、先日「弥勒の月」を読んで、こういう話は宮部みゆきに任せとけばいいのにと思った(笑)。
宮部みゆきはストーリーテラーで、人物設定も少年の成長物語という主題も別に問題ないんだけど、ブレーブストーリーで描かれたファンタジーワールドに何だかリアリティがなかった。ファンタジーにリアリティは要らないだろうと言われそうだけど、ファンタジーこそリアリティが要るんだよ。異世界が今ひとつ遊園地みたいで、無理にファンタジーにせずにただのパラレルワールドにした方が良かったように思った。
「弥勒の月」の方は舞台が江戸なんだけど、登場人物が江戸弁を喋っていてもちっとも江戸には見えない(江戸を見たことがあるわけじゃないけど)。宮部みゆきや畠中恵の江戸ものには感じない違和感がある。別に時代考証が破綻している訳じゃないのに何でだろ?と読み返してみた。たぶんスピードかな。あさのあつこの主人公は大体いつも疾走している感じがある。この作品でも3人の主要人物がそれぞれに相当な速度で走っている。江戸時代の人間は走らないと決め付けちゃいけないけど、どことなくのんびりしたイメージがあって、それが違和感の元のような気がする。登場人物は魅力的なので、舞台を現代にして読みたかったなぁ・・・

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