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2010年5月10日

下手の横好き

実は縫い物とか編み物とか好き、というと驚かれることが多いのだが、驚くほどのことはなくて、下手の横好きというヤツ。家庭科はずっと苦手科目で、ミシンなんか高校になってもキレイに縫えませんでした。でも学校のミシン(当時の)と違って、ウチのミシンは低速でゆっくり縫えるし、水平釜だから糸が絡まることもなし。単純な運針ならちゃんと出来るようになったもんねー。とはいえ、当時のミシンでも9割の皆さんは苦もなく使っていたわけで、はっきり言って私が極端に不器用なのである。そんな不器用なのに、手芸は子供の頃から大好き。まさに下手の横好き。

さてこれからが本題ですが、「下手の横好き」って何が「横」?

普通の人は縦にできる何かを下手な人は何だか横にしてしまうので横が好きに見える、蝶結びが縦結びになるようなこと?でもそれじゃ単に不器用なヤツという意味にしかなってないな。この「横」って何だろう。
そんなこと気にするのは私だけじゃないよね?とGoogleしてみると、やっぱりこの「横」を気にして質問している人がいる。よしよし。Yahoo!知恵袋によると、下手な人ほど横から口出ししたがるので、「横好き」とのこと。・・・ううむ。筋は通っているのだが、何だか利用シーンと違うなぁ。「下手の横好き」は、他人に対して使うこともあるけど、むしろ自分のことを「下手の横好きですが」と使う場面が多く、横から口出しする程、上手じゃないことを自覚した使い方だと思うけどなぁ・・・

そこで素直に「横」を引いてみる。手持ちの広辞苑の5つ目の意味として「正しくないこと。また無理にすること」とある。ふうむ、これだな。横車とか横恋慕とかの系統。下手なのを判っているんだから諦めるのが正しいあり方なのに、下手だと判っていても諦めずに好きでいるってことだ。

横が正しくないなら縦は正しいのかとついでに広辞苑を引いてみると、これがそうでもないのだよ。縦(じゅう)の意味の二つ目は「ほしいままにすること。」例として操縦、放縦が出ている。縦と横って対の言葉だけど、考えてみると反対の意味ではないもんな・・・(そういう問題?)

さて漢和辞典を引き始めると今度は「横」という字が気になる。木が黄色いと何で横?黄色い木ってイチョウ?キハダ? こちらの答えは単純でした。福武漢和辞典によると、横木(戸を閉めるかんぬき)をあらわす「オウ/コウ」という言葉が先にあって、それに対して木を表す木偏と音を表す「黄」の字を足しただけで、別に横木が黄色かったわけではないとのこと。そうかいくら中国でも最初にあったのは文字じゃなく言葉なんだった。

ついでに中国語辞典で「下手の横好き」を引いてみると「横」入ってない。下手だけどすごく好き、と書いてあるだけ。「横恋慕」も横入ってないが、「横車」は「蛮横」という訳があって横が入っている。横暴とか横行とかは漢語のようです。うーむ。言葉って面白い。

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