ページ

2019年2月8日

肝炎ウイルス検査 (HBs/HCV)

ちょっと毛色が違うので一緒くたに書くか少し悩んだのだが、まぁ肝臓系の検査項目には違いないやと思って書いてしまうことにした。これはしょっちゅう測る項目ではなく、たまの検診とか肝炎が疑われる場合に測るような項目。

肝炎(=肝臓の炎症)にはいろんな原因があるけど、この項目の対象はウイルスを原因とする肝炎。ウイルス性肝炎にもいろいろあって、日本で多いのはA型、B型、C型の3つ。そして血液検査の項目はB型とC型。

と、思ってたけど、調べてみたらBやC以外も検査は出来るんだな。なんでAは検査しないんだろ?A型肝炎は急性症状が出るから定期検査で見る必要ないのか。そうかも。

ちなみにA型は経口感染(食物から感染)で、衛生環境の良くない地域ほど感染しやすい。が、日本でも毎年一定数は患者が出ている。急性肝炎症状が出るものの、ひどくなる(劇症肝炎)ことは少なく、治った時には強力な免疫(HA抗体、Hepatitis A=A型肝炎抗体)を獲得出来ているので、二度とかからなくて済む。

本題に戻って、先にC型肝炎の検査から。
C型は血液からの感染。ウイルスが知られてなかった昔は、輸血や血液製剤経由の感染があったけど、今となっては感染者周囲での針刺し事故や針の使い回しなど限られた状況での感染しか考えられない。長い間をかけて慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんと進み、自覚症状が出た頃には手遅れ、になりやすい。
検診ではHCV (Hepatitis C Virus=C型肝炎ウイルス)抗体の有無を検査する。抗体がある=C型肝炎にかかっている可能性が高いので、精密検査に進まなくてはならない。C型肝炎には良く効くお薬があるけど恐ろしく高い。でも専門の医療費助成制度がある。
覚えにくいのは、なぜかC型だけHC抗体ではなくHCV抗体ってVが付くところ。なんでだろ、みんなウイルス性なのに。HCVだとHIVの仲間な気がしてしまうぞ。HIVは、I型肝炎ウイルス、ではなくてHuman Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス=いわゆるエイズ)のこと。ウイルス性肝炎はV抜きで徹底すればいいのに。ぶつぶつ。

さて、次はB型肝炎。
B型肝炎も経口ではなく血液や体液を経由して感染する。ウイルスが知られていなかった昔に、医療現場で感染が広がったのはC型と同じだけど、B型は集団予防接種時の注射器の使い回しが原因とされている=感染者が多い。「B型肝炎訴訟」って聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。他に垂直感染(母子感染)もある。(今は出生時に感染ブロックするので罹患はしない)
B型はC型と違って、何もしなくても治ってしまうことが多いし、症状もさっぱり出ない場合が多い。とはいえ、A型のように急性肝炎になる場合もあるし、何よりC型のように慢性肝炎から肝臓がんに進む場合もあるので、甘く見てはいけない。

さて、B型が面倒なのは、ウイルス検査の型がいろいろあるからなのよ。
一番ポピュラーなのが「HBs抗体」の検査。HBはHepatitis B(B型肝炎)の略で、"s"はsurface。HBs抗体が陰性であれば、B型肝炎に罹っていないと断言できる。
AJはHBs抗体陽性。一昨年、転院した病院で「ワクチンを受けましたか?」と聞かれたのでびっくりしたのだったが、過去のデータを調べてみたら、前の病院でも人間ドックでもHBs抗体陽性の結果が出ていた。今まで指摘されてなかっただけだった。
なんでかというと、HBs抗体陽性=「B型肝炎に感染したことがある」というだけで、今も感染しているとは言えないのだ。AJの年代ではHBs抗体を持っている人は多いらしく、他の病院ではたぶん抗体だけだろ、と思ったのかも。
HBs抗体陽性の場合、見るべきなのがHBs抗原の検査。HBs抗原がある=B型肝炎ウイルスが今現在存在するということなので、これは治療しなくてはならない。AJはこちらは陰性。知らない間に掛かって、知らない間に治ってたらしい。やれやれ。
つまりHBs検査陽性って言っても、HBs抗体なのかHBs抗原なのかで問題度は全然違うわけで注意が必要。 もっとも、若者はHBs抗体陽性だけでもなんでー!と心配していいかも。

B型肝炎ウイルス検査としては他に、HBc抗体/抗原の検査もある。こちらはHBsと似てるんだけど、ワクチン接種の場合はHBs抗体は出来るけどHBc抗体は出来ないという違いがある。更にHBe抗体/抗原の検査では、B型肝炎ウイルス量=感染力がわかる。この辺は、ワクチン接種した時とか、B型肝炎感染中!となった時にしか調べないんだと思う。少なくともAJは受けたことない。

0 件のコメント: