かれこれ1年近く前になるけど、お仕事で北米の会社の人達と和食を食べに行った。話しながら、あぶらが乗りすぎのハマチの刺身に青しそを巻いて食べたら、おお!そうやって食べるのか!とみんな真似を始めた。イヤイヤこれは正しい食べ方じゃないし真似しなくっていいって!と言った(つもり)が既に遅く、食べてしまった人たちはふーん・・・という顔をしていた。中にひとり韓国ルーツのアメリカ人がいて、韓国では胡麻の葉っぱ(sesame leaf)を食べる、これに似てる、と言った。へー、胡麻の葉っぱって食べられるんだ!それおいしそう、韓国料理屋で聞いてみよう!と思ったのだった。
が、辛いのが苦手なAJは韓国料理屋に行く機会もなく、すっかり忘れた今日この頃、近所のスーパーで「えごまの葉」なるものを売っているのをみつけた。焼肉に巻いて食べると書いてある。これだ、これに違いない!わくわくと焼肉用の肉も一緒に買って帰ってきた。
見た目は青じそ。袋を開けると更に青じその匂いがする。
まずはそのまま食べてみる。・・・青じそみたいな味がする・・・。正確に言うと、同じ味では全くなくて、独特の匂いと渋みがあるんだけど、大雑把には似ている。青じそを知らない人が食べたら、区別が付かないかもしれない。焼肉に巻いてみると肉臭さが軽減されるし、エゴマの臭みや渋みも気にならなくて美味しい。調子に乗って梅干とか漬物とか巻いてみたけど、青じその代わりは無理でした。青じそ好きの方はまずは焼肉で試してみてください。
閑話休題。こんなに青じそに似ててゴマってあり?だいたいゴマ科とシソ科って近くなかったよね、とWikiでエゴマを引いてみると・・・シソ科って書いてあるじゃん!!科どころか属までシソと一緒。それは似ていて当然だ。これのどこが「ゴマ」なんだよ??
どうも、油を取る原料として先に「ゴマ」があって、同じように実から油が取れるから「エゴマ」と呼ばれることになったらしい。「エゴマ」は漢字では「荏胡麻」と書くんだけど、中国語では「荏」と一文字。広辞苑で「荏」を引くと、エゴマの旧名と書いてあって、昔は「荏」と呼ばれていたのに、いつの間にか「ゴマ」が付いたようだ。韓国語ではどうかというと、ゴマは「깨」(ッケ)、エゴマは「들깨 」(トゥルケ)。「들」だけだと野原という意味だから、たぶん「荏胡麻」と同じ構造だ。エゴマ油のことを日本語では「荏油」ともいうんだけど、韓国も同じで 「들」に油という単語を足すとエゴマ油になる。偶然の一致とは考えにくく、「荏」に「ゴマ」を付けたのは韓国(朝鮮)で、それが日本に伝わったんじゃないかな。
話は更にややこしくなるのだが、エゴマを韓国語ではケニップと言う、と書いてあることが結構ある。正確に言うと、ケニップは「エゴマ」というより「エゴマの葉っぱ」を指す言葉で、「青じそ」と「大葉」みたいな関係なんだけど、ケニップは直訳すると「ゴマの葉っぱ」なのである。何で「荏の葉っぱ」じゃなく「ゴマの葉っぱ」にするかなぁ。これ全然ゴマじゃないのに誤解を招くじゃんか。(ま、「大きい葉っぱ」よりはマシな命名かもだけど・・・)
最後に話を更にややこしくする。wikiでエゴマを検索して同じ項目の韓国語版に行くと、恐らくエゴマ種に関する植物学的ページに飛ぶことが出来るんだけど、シソを検索して同じ項目の韓国語版に行くと、なんとエゴマ(들깨)のページに飛ぶ。シソ(차조기)のページはちゃんと別にあるのに。シソまでゴマにしないでくれよ・・・
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