私にとってはコバルト文庫のイメージが強かった藤本ひとみ。ところが図書館の文庫本コーナーのタイトルは洋物ぽい。パラパラと後書きを読んでみたら、少女小説から歴史物に転向したとのこと。どれどれと読んでみたその本(バスティーユの陰謀)が面白かったので、固め読みをすることに。結論から言うと、最初に読んだ本が一番面白かったんだけど(笑)、他もそこそこ面白かったので、文庫以外も含めてまとめ読みは継続の予定。
だいたいが中世~近代のパリが舞台。せいぜいヨーロッパ各国。佐藤賢一と舞台の選び方は似ているかもだけど、そこはコバルト出身ですから美青年/美少年のオンパレード(笑)。面白く読めて世界史が頭に入るのはお勧め。
・バスティーユの陰謀:フランス革命のバスティーユ襲撃までをパリジャンの視点で。感動秘話(フィクションだけど)。オチの想像は付くけど、なかなか泣かせます。お勧め。
・聖戦ヴァンデ:私の世界史年表には載ってないんですが、フランス革命後にヴァンデの反乱なるものがあったそうで。そもそも、フランス革命でいきなり民主国家になったような気がしてるけど、実際にはその後にナポレオンが出たり王政に戻ったりいろいろしてるのよね。ロベスピエールが独裁に陥っていく経緯も書かれていて、これも面白いです。お勧め。
・逆光のメディチ:ダヴィンチが少女になったつもりで語るロレンツォ豪華王と弟ジュリアーノ。なんでダヴィンチが主人公なのか良く判らないけど、ロレンツォがカッコよく描かれてて好き。(そういう理由かよ)
・ブルボンの封印:鉄火麺・・・じゃなくて鉄仮面。最後に大どんでん返し、なんだと思うけど、鉄の仮面が出てきた時点で結論が想像できてしまうのが惜しい。鉄仮面ものとしては、私は「二人のガスコン」(佐藤賢一)の方が好きだな。こっちは女性誌の漫画向き。
・暗殺者ロレンザッチョ:こちらは「銀色のフィレンツェ」(塩野七生)と同じモチーフ。視点は違うのに較べても仕方ないけど、塩野版の方が面白いし勉強にもなります。
・聖アントニウスの殺人:これは革命前夜(だったかな?)のフランスを舞台にした推理小説。最初から犯人がわかっているかと思いきや、どんでん返しつき。でも描かれている犯罪がいまひとつ現代ぽいような・・・
・聖ヨゼフ脱獄の夜:上と同じ主人公の、推理小説というより冒険小説かな。いまいち。
・大修院長ジュスティーヌ:表紙がアヤしげだったんだけど、それまで読んだのが別にアブなくなかったので深く考えずに借りてきたら全部妖しい短編集だった。コバルト作家がここまで来ちゃうのか・・・お子様は読まないように。
・鑑定医シャルル 快楽の伏流:鑑定医っていつ頃からあるのかなと思って借りたらあっさり現代ものでした。現代のフランスってこんななのかね。本場の推理小説を読んでみないと、こういうものなのか日本人の考えるフランスなのかわからず。探偵小説としてはシャルルかっこ良すぎ。
以上。二度読まないための備忘録でした。
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