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2011年1月23日

ボライソーシリーズ (H氏選書 その1)

仕事仲間で物知りのHさんに、お勧めの本を教えて欲しいとお願いしたら、リストが帰ってきた。そのリストにシリーズものが多く含まれていたので、これなら光文社古典文学シリーズが終わっちゃっても安心!と読み始めたのだった。

まずは28冊あったボライソーシリーズを読了。「海洋小説」と言われる分野なのだそうだ。イギリス海軍華やかなりし頃(ネルソン提督の時代)の戦争小説。物語はフィクションだけど、史実に沿って書かれてはいるので、歴史のお勉強にもなりました。年表と共に本を読むようになって、フランス革命から恐怖政治を経てナポレオンの時代になってそれから・・という大雑把な流れは頭に入ったんだけど、それを隣国イギリスから見るとこうなるのかー、と思った。ちなみに執筆はそんなに昔ではなく、1980年~2004年。
私は戦争は好きではないので、軍人も好きではなく、根っからの軍人である主人公にあまり思い入れできない。陸に上がって海を恋しがる場面がいくつもあるけど、アンタが帰りたいのは海じゃなくて、戦艦であり戦争だろ!と突っ込みを入れてしまうのだった。 指導者として理想的なのは判るけどね、でもやっぱり戦争はイヤだなぁ。何の理由もないけど疑う余地なくフランス人は敵、てのはどうかと思うなぁ・・・・

と思いつつ。しかし勉強になったこと。
1) フランスって海軍強かったんだ。:考えてみると世界中にフランスの植民地はあるんだから、強かったんだよね。しかし全然海軍という印象がない。スペインとかオランダは海っぽいけど、フランス海軍ねぇ・・・
2) イギリス人は船が好き。:本人は海が好きだと思っているようだが、海じゃなくて船が好きなんだと思う。舟じゃなくて船。自動車や機関車が好きなように、メカとしての船。海は実は嫌いなんじゃないかと思う時がある。
3) イギリス人は牛が好き。:船に乗っても相変わらずビーフイーター。いくら煮込んであっても、何ヶ月も経ったら腐ってるだろと思うけど、それでも魚という選択肢は全くないらしい。スペイン船に乗ると魚臭い!と顔をしかめる。スペイン人は魚食べるだろうからなぁ。
4) イギリス人はフランスが嫌い。:この時代のフランスは、太陽王がいたかと思うとアメリカ独立に加担したり、フランス革命を起こして各国に影響を与えた後は、ナポレオンが急浮上して全ヨーロッパを敵に回し・・・どの国にとっても迷惑な国だったろうと思う。特にイギリスは100年以上前から、戦争しちゃ和約の繰り返し。今でもイギリス人はフランスが嫌いなのは無理もないと思える・・・
5) カリブ海の覇権ってグチャグチャ。:ボライソー君は結構カリブ海で戦う。あの島この島、取ったり取られたり。南米って何となくスペイン・ポルトガルという印象が強かったんだけど、地図を見てみると今でも各国の領土(島)がグチャグチャに入り乱れている。こんな小さい島これだけ持ってる意味あるのか?と思うがあるんだろうね。

備忘録として、全巻を描かれた年代別に。

1. 『若き獅子の船出』 : 1772年。士官候補生。アメリカ独立戦争のさなか。早くも艦長候補の呼び超え高いリチャード君。
6. 『コーンウォールの若獅子』 :1773年。クリスマス、ダンサー君を連れてママの元に帰ったのに、兄ちゃんの仕事に巻き込まれ・・・割とハッピーエンド。
28. 『若き獅子の凱歌』 :1774年。候補生から士官になるところ。ダンサー君と一緒に密輸船を追う。
12. 『スペインの財宝船』 :1774年。正式に三等海尉。いつの間にかダンサー君は死んでいる。ジャマイカに沈む財宝船のお宝を見つけるも結局海に沈めてしまう。人妻と初不倫。ストックデールと出会う。
2. 『革命の海』:1776年。どんどん出世する。アメリカからカリブ海に向かうも、独立戦争はもう終結の様相。
3. 『わが指揮艦スパロー号』:1781年、初めての艦長。いきなりの勝利の連続。負けても不死身のボライソー君。へリックと初めて一緒の航海。安直な恋もする。
4. 『栄光への航海』 :1783年。反乱を起こしかけた船員を引き連れて、結局反乱に合う。フランス艦隊に一矢を報いるも、結局独立戦争は終わる。
5. 『南海に祖国の旗を』:1784年。インドでバイオラ夫人に出会う。東インド会社が国営に近づく一歩?
7. 『反逆の南太平洋』 :1789年。フランス革命を知らずに英軍と戦う仏軍であった。フィジー?にてバイオラと再会するも熱病で死なせてしまい、自分も死に掛ける。
18. 『急行せよ、カッター戦隊』 :1792年。オランダからフランスに渡るべき財宝を横取りしようとしたらスペインが横取りに来る。
8. 『激闘、リオン湾』 :1794年。フランス革命後のゴタゴタ。革命軍と反目するフランス人達と手を握るも・・・。チーニーと出会い、結婚へ。
9. 『遥かなる敵影』 :1795年。フランスと戦っている内にだんだんフランス以外も敵に。フランス沖から遥々カリブ海へ。兄ヒュー隠し子アダム登場。ヒューも登場するが死んでしまう。チーニーも馬車事故により死んでしまう。
10. 『不屈の旗艦艦長』 :1797年。フランス革命の余波は海軍の反乱になる。スペインがフランスと結び英国再び孤立。アルジェ近辺の港を巡る争い。また熱病で死に掛ける。キャサリンと出会う。
11. 『白昼の近接戦』 :1798年、ナポレオンエジプト遠征前夜。キャサリンと交際中。へリックはダルシーと結婚へ。
13. 『提督ボライソーの初陣』 :1801年。コペンハーゲン沖でデンマーク戦。ネルソン提督と一緒(でも全然出てこない)。チーニー似のベリンダに一目惚れ。無理やリ気味に口説く。
14. 『危うし、わが祖国』 :1801年。フランス沖に隠された船団を見つける。ナントで捕虜になる。脱走してへリックに見つけてもらい船団を撃破。ベリンダと結婚。
15. 『孤高の提督旗』 :1802年。ボストン経由キューバの近所。フランスに引き渡す領土を巡ってスペイン船と戦争。オールデイ死にかける。エリザベス生まれる。
16. 『姿なき宿敵』 :1803年。地中海沖でフランス軍を封じる。片目を失くしかける。ベリンダとすきま風。キーンはゼノリアに出会う。
17. 『栄光の艦隊決戦』 :1805年。カリブ海からジブラルタルへ。トラファルガの決戦の横ちょ。南米でキャサリンに再会。おかげでベリンダと別居。
19. 『最後の勝利者』:1807年。アフリカからデンマークへ。キャサリンの亭主はオリバーブラウンと決闘で死ぬ。へリックの奥さんのダルシーはコレラで死ぬ。アダムはゼノリアに横恋慕するがゼノリアはキーンと結婚。タイアック登場。
20. 『大暗礁の彼方』 :1808年。キャサリン他と一緒にケープタウンに向かう途中で遭難する。皆死んだと思われ、アダムはゼノリアにちょっかいを出してしまう。気に入らない艦長と一緒にカリブ海に向かう。フランスの(誰だっけ)を捕虜にする。
21. 『復讐のインド洋』 :1809年。捕虜にしたフランス人が交換で復活。へリックを捕虜にして片腕にしてしまう。頭に来て復讐するがおかげでへリックとは和解。ヤなやつのトレビナン(だっけ)艦長が解任されて行方不明に。ジェナーは初艦長となったのに熱病で黄色旗となり死んでしまう。
22. 『海軍大将ボライソー』 :1811年。南米に向かう途中でアメリカと開戦。アダムは捕虜になるが、オールデーの息子に助けられて脱獄。最後はカナダ沖で復讐。ゼノリアは息子が死んで自殺。
23. 『聖十字旗のもとに』 :1813年。アメリカ(の裏にいるフランス)とイギリス(今のカナダ)の戦い。エリー湖まで追っかけて戦う。アダムとへリックを除くみんなに春がやって来る。
24. 『提督ボライソーの最期』 :1815年。ナポレオンがエルバ島に流されてから復活するまで。マルタ島の近所で結局フランス(正確にはアルジェリア)との戦いで戦死。
25. 『決然たる出撃』 :1815年秋。アダムがアルジェでボライソーの仇を討つ。キャサリンはシリトーの元へ。
26. 『難攻不落、アルジェの要塞』 :1816年。またアルジェ。気が付くとみんながキャサリンに横恋慕している。出来の悪い上司に歯向かいながらも、アダムはようやく人妻じゃない女に恋をする。
27. 『無法のカリブ海』 :1816年。最後の相手はフランスではなく国内の隠れ奴隷商人=シリトーを追う。キャサリン死ぬ。アダムやっとハッピーエンド。

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