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2019年12月13日

Guardian’s 1000(13)

2019年中に150冊行けるかなと思ったんだけど、あれやこれやでなかなか進まず。ま、別に急ぐ必要もないんだけど。今回はSF&Fantasy。軽く読める本が多いんだけど10分冊があって時間がかかったのさ。
それと、再読優先で読んできたのに、前には図書館にあった「銀河帝国攻防史(1)」がなくなっていて借りられず。(1)じゃないのはあるんだけど、ぶつぶつ。古本屋とかでいい値段で見つけるまであきらめることにした。

(121) アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(フィリップ・K・ディック/ハヤカワ文庫):
再読。映画のブレードランナーを見るより先に読んだ。当時は素直にSFとして読んだけど再読すると重い話だな。「共感」を「人類」の根拠にするんだけど、共感能力の低い人間てのはいるし(器質的にも環境要因でも)、アンドロイドが共感を獲得するのも時間の問題だろうと思う。結局、「人間」て何?「君臨すべき人類」「守られるべき人類」って何?ってことよね。人類を超えたマルチチュードの観点には動植物だけじゃなく、アンドロイドも入るんだろうか。いいけどさ、入っても。

(122) 充たされざる者(カズオ・イシグロ/ハヤカワepi文庫):
初読。SF&Fていうか不条理?リサイタルに訪れたピアニストは、強引な街の人々に振り回される、が、本人の言うことも信頼できないので、ええっと・・・?な小説。邦題より英題のThe Unconsoledの方が、宙ぶらりんな感じがしてイイと思う。このまま映画になったら結末に納得がいかなそう(笑)。

(123) ナルニア国物語(C・S・ルイス/光文社古典新訳):
先日光文社古典新訳シリーズの方で収載。読まなくてもいいけど、「ライオンと魔女」位は読んでおいて損はない。何しろ有名な物語だからな。

(124) ねじまき鳥クロニクル(村上春樹/新潮文庫):
ひさしぶりの再読。大筋は覚えていたが、シナモン君の存在をすっかり忘れていて3巻目でようやくあっそうだったのかと思った。なんでこんな絵になる存在を忘れるのかなー(笑)。前に書いたかもだけど、クミコさんはピンクのティッシュと花柄のトイペが嫌い、というのが私には一番印象的でした。村上春樹ワールド全開で私は好きです。

(125) 1984年(ジョージ・オーウェル/ハヤカワepi文庫):
新訳で再読。こんな話だった(そりゃそうだ)。買って持っていた位気に入っていたのだが、今読むと社会思想で縛るあたりがなんか古いな。こういうやり方でなくても支配できてしまっている今を考えるとちょっとねー。

(126) ハリー・ポッターと賢者の石(J・K・ローリング/静山社文庫):
大騒ぎになって割と早い時期に読んだ。当時図書館では半年待ちだったけど、知り合いが貸してくれた。確かに面白いけどそんなに騒ぐほどか?と思った。その後勉強のためにと、原書を買って読み始めたものの・・・オノマトペぽい単語が多すぎで早々に挫折(笑)。
映画化決まった時には、みんな似てるー!!と感心した。人間は小説より早く歳を取ってしまうので辛いなと思ったけど、映画版も全シリーズ一応は見た。結局1巻目のこれが一番好き。
お子様には断然おすすめ。大人は今更読まなくていいと思うけど、ある程度以降の年代はたぶん殆ど読んでいるので、話が通じると言う意味では読んでおいて損はない。

(127) フランケンシュタイン(シェリー/光文社古典新訳):
名前を間違えている人が多いと思う。怪物の名前じゃないのよ。

(128) ジーキル博士とハイド氏(スティーブンスン/光文社古典新訳):
これってSF&Fなのか?記述に難点はあるが多重人格者を扱っているだけのような。

(129) 指輪物語(トールキン/評論社):
子供の頃は1巻目で挫折。大人になって友達に勧められて頑張って読んだ。冒険が始まるまでの前置きが長すぎると思う。ここさえ過ぎれば楽に読めるんだけど。今回は20年ぶり位の再読だけど、やっぱり1巻目がつらかった。結論から言うと前置きはかなり飛ばしても困らないので、投げ出してしまう子供には冒険が始まるところから読むことをお勧め。

(130) タイムマシン(ウェルズ/光文社古典新訳):
文句なくSF。当時は画期的だったと思うのだが、今となっては悲観的未来論。

2019年11月11日

光文社古典新訳シリーズ(22)

1か月に2タイトルでほぼ予定通りに進んでいる光文社古典新訳。今回のおススメはリラダン!

(211) 未来のイヴ(ヴィリエ・ド・リラダン):理想の恋人アンドロイドを開発するエジソン。100年以上前の本とは思えません。技術的な話はともかく、恋とは何なのか、を考えさせられる。恋は相手が必要ではあるけど結局一人のものだから、アンドロイド相手でも成立はすると思う。だが、理想の恋人が相手だから理想の恋なのかっていうと、それはどうかなぁ・・・これは案外喫緊の課題だったりなんかして。ギョーカイ人必読!

(212) 鏡の前のチェス盤(ポンテンベッリ):鏡の向こうの世界を白の王様と散歩する。設定はアリスに似ているけど中身はだいぶ違う。ファンタジーではあるが不条理ていうか。「マネキン」は「トルソー」の方がいいような気がする。キリコ的な乾いた明るさ?イタリア的なのかなぁ?

(213) 脂肪の塊/ロンドリ姉妹(モーパッサン):フランス風味の短編集。「女の一生」よりもこっちの方が好きだな。「脂肪の塊」って本当はふっくらグラマーカワイ子ちゃんの意味合いなのだそうだ。娼婦の塊ちゃんがセクハラ(パワハラ?)を受ける話。ロンドリ姉妹はイタリアっぽいしフランスぽい。

(214) ナルニア国物語(C・S・ルイス):面白いとは思うのだが。子供の頃に読んだけどたぶん1回読んだきり。たぶんなんだか説教臭く感じたのかなぁ。今読んでみると明らかにキリスト教臭が強い。異教の神タシュは正反対の存在と言う割には、異教徒でも正しい行いをするものはアスランの信者である、と読みようによっては心が広い牽強付会。背景を深く考えない子供時代に読むべき冒険物語。食べ物の記述が多いのは嬉しいけどね。

(215) 傾城の恋/封鎖(張愛玲):日本占領下の上海と香港。「傾城の恋」は城を傾ける君主の恋ではなく、城が傾くさなかの恋。「封鎖」はさらに刹那的。戦時中だからの恋はあるよね。返還前の香港の早く早くという加速度を思い出した。

(216) カンタヴィルの幽霊/スフィンクス(ワイルド):カンタヴィルの幽霊がイギリス/アメリカぽくて面白かった。あとは普通かも。ワイルドのお友達による作品付き。

(217) 三つの物語(フローベール):「素朴なひと」「聖ジュリアン伝」「ヘロディアス」の3編。どう繋がるのか?と思ってたら宗教繋がりなんだって。成程。中では「素朴なひと」が好きかな。ジュリアンは最後に神の救いがあるとはいえ運命が過酷すぎる。ヘロディアスがサロメなのはだいぶ進んでから気が付いた。ファム・ファタルはサロメではなくサロメのお母さんだったか。ありそう。「宗教戦争」の原因は、宗教ではなく政治(個人の欲望)という解説に納得。

(218) 八月の光(フォークナー):「響きと怒り」に較べると全然読みやすい。主要人物の背景も時系列じゃないけど語られてるし。あぁそこで繋がるんだ、な場所もあるけど。黒人はキッチリ差別されている時代、真っ白じゃない人(アングロサクソンじゃないスペイン系を含む)は微妙に差別されて生きづらい。白くても未婚の母も生きづらい。全体に暗いが最後は救いもある。やっぱり女は強いってことよ。

(219) 怪談(ラフカディオ・ハーン):読み直す1冊の再読。印象は変わらないけど心持ち訳文ぽくなっているかも。原注が付いているのもイイ。前読んだときはそうかこれ日本語で書かれたんじゃなかったんだったと後で思ったもんな。ハーンはロティを読んで日本に憧れたんだって。びっくり。いろんな読まれ方をするものだ。雪女伝説はこの怪談が元になっている由。さもありなん。

(220) 方丈記(鴨長明):若人の100冊再読。これ訳す意味あるのか?原文でも結構読めるんだけど。原文も載っているし、和歌も付いているし、地図とか解説が充実しているのはありがたい。愚痴っぽいよと前にも書いたけど訳者(蜂飼耳)前書きでもそう書いてあって笑った。達観してるところではなく、達観してない所を読むべきだと。なるほど。

2019年11月9日

Guardian’s 1000(12)

今回はWar and Travel。前の10冊は7割が▼という結果になって自分でも驚いたけど、今回の10冊は▼3冊で普通。中では、イタロ・カルヴィーノの「見えない都市」が気に入りました。

(111) アイスクリーム戦争(ウイリアム・ボイド/早稲田出版):
アイスクリームほぼ出てこない・・・
第一次世界大戦で戦うイギリス軍とドイツ軍@アフリカ植民地。こんなところでも戦争してたのか。巻き込まれて気の毒な現地アフリカ人。軍人一家のらしい兄とらしくない弟。銃後&戦地の恋情。アイスクリームのようにだらだら溶けてしまう戦争に意味があるのか。まぁどんな戦争も意味や価値があるかは疑問なのだが、注目もされず歴史的にも埋もれてしまう戦争にどれほどたくさんの命が直接/間接に損なわれてしまうか考えさせられる。イギリスやドイツのらしい描写も好き。題名はちょっとね。アイスクリーム出て来るかと期待したじゃないかー

(112) 見えない都市(イタロ・カルヴィーノ/河出文庫):
マルコポーロがフビライ帝に語る様々な都市。前半はシュールながらもファンタジーぽいが、だんだん身につまされる話が多くなる。どこでもないけど、どこでもあるような。
前半の「精緻な都市」のシリーズが割と好き。一番好きなのは水廻り施設だけが残る妖精の国アリュメット。都市以外にも語るべきものがあるのでは、と思う反面、都市以外も都市に依存してたりするので、そもそもそういう社会の在り方ってどうよ、ということなのだろうなぁ。いろいろ考えさせられるが、単にファンタジーとしても好き。

(113) 西遊記(呉承恩/岩波文庫):
子供の頃に童話で読んだきりだった。2005年新訳で再読。
童話の原作はもっと有難い(説教臭い/仏教ぽい)ものかと思ってた。全然違う。水滸伝な語り口。ノリは虫プロの孫悟空(悟空の大冒険)で、教訓よりギャグ優先。
そもそも、仏様たちはなんで西域までお経を取りに行かせたいのか、苦労する意味あるのかコンセプトが破綻してるし、聖典がある西域を敬っているようでも中華思想が透けて見える。だいたい文庫本10冊長すぎ。重複してみえるエピソードも多い。章の数に意味を持たせている(数秘術的な)らしいのだが、長すぎなんだよ。これが中国文学代表でいいのか。ぶつぶつ。
実際には玄奘大変だったんだろうし、同時代の人達にはエライ!スゴイ!と思われていたのだろうが、時代を経るに従って、単に面白ければいい物語になってしまったような。いいけど。
英語題名は"Monkey"なのね・・・ま、西方と言われたら西欧だと思っちゃうだろうし、いいけどさ。
新訳は新しすぎる位の訳。注も解説も丁寧で読むならこれをお勧めします。

(114) 誰がために鐘は鳴る(ヘミングウェイ/新潮文庫):
再読。スペイン内戦に介入する国際義勇兵団のアメリカ兵。スペイン娘と初めての恋に落ちるも任務のために命を落とす。悲しい最期。何のための戦いなのか勝って何があるというのか。
「普通のキリスト教徒国」からみるとスペインは独特なのらしい。ピレネー超えるとアフリカってやつ?確かに言語は近くてもなんか精神的に違う感じするよね。アジアの中の日本みたいに?スペインの内戦は第二次世界大戦後もまだ続くのだが、雰囲気をつかむためにも読んでおいた方がいいと思う1冊。

(115) ビルマの日々(ジョージ・オーウェル/晶文社):
イギリス統治下のインドの統治下のビルマで過ごすイギリス人達。現地人との反目や交流。インド人や中国人など「第三国」な人たち。イギリス紳士はどうあるべきか。
常に中途半端なフローリーは恋をしてもうまくいかず、最後は飼い犬を道連れに自殺。あまり戦争でも旅行でもないが反乱はあるな。著者はビルマにいたことがあるそうで、ビルマっぽく書けている、ような気がする。ただし読んで行きたくなるとは思えないけど。

(116) 若き獅子たち(アーウィン・ショウ/ちくま文庫):
ショウは夏服を着た女たちの印象が強かったのだが、最初の長編であるこれはずっと重たい。
第二次世界大戦のドイツ兵とアメリカ兵。戦争なんて関係なかった若者達が戦争に巻き込まれて戦士になっていく。アメリカでも生きづらいユダヤ系。「いかにも」な軍人もいれば有能な軍人もいる。そういう意味ではどこでも一緒かも。しかし生命が軽すぎる。戦争って何なのか、何のための戦争なのか、悩ましい所。後から参戦したお金持ちのアメリカと貧乏なドイツ(もっと貧乏な日本)。パリ解放目前で物語は終わる。希望があるような気のせいだったような。

(117) 戦争と平和(トルストイ/岩波文庫):
若人の100冊で済み。これはベスト千でも納得の1冊。

(118) 80日間世界一周(ヴェルヌ/光文社古典新訳):
これってベスト千なのかね。

(119) 地底旅行(ヴェルヌ/光文社古典新訳):
これは好みではないなー

(120) カンディード(ヴォルテール/光文社古典新訳):
これも好みじゃないなー

2019年10月30日

思い出の本と食べ物:メグレ警視

先日Guardian’s1000でも登場したのだが、ジョルジュ・シムノンのメグレ警視シリーズは昔夢中になって読んだ。推理小説全般なんでも読んでいたけど、特にこれがお気に入りだったのはたぶん、食事についての記述が多いからじゃないかな。パリに憧れていたのも、メグレシリーズを通して食べ物が美味しそうという点に惹かれていたのかもしれない。

メグレ警視は時々ハムサンドとビールを昼食にします。サンドイッチって仕事しながらオフィスで食べるには便利だもんね。日本人感覚では、仕事中にビール!?なのだが、フランス人にはワインはお酒でもビールは清涼飲料水なんでしょうね。お酒に強いメグレにとっては特に。
当時の私は学食でハムの入った三角サンドを買って、ビールはないけど主食はメグレ警視と一緒~♪と悦に入っていました。

憧れのパリに行ったのはそれから10年以上過ぎたころ。 カフェでハムサンドを見つけて、さっそく注文してみたら・・・三角じゃない!四角でもない。

フランスでパンと言ったら当然「フランスパン」なのであり、ハムサンドもフランスパンに挟んであるのでした。びっくり。
全然一緒じゃなかった!と思いながら食べた。フランスパンは堅めで結構あごが疲れました。

右写真はパリで食べたものではなく、メゾンカイザーで買って来たもの。ハムとチーズのサンドイッチです。せっかくだからグラスビールも添えて。カメラを用意している間に泡がだいぶ消えちゃったけど(泣)。

もうひとつパリ旅行でメグレ関係の思い出がある。
レストランで夕食時に、メグレ警視が時々飲んでいたカルヴァドス(リンゴのブランデー)をドリンクメニューに見つけて一杯注文したら、ウェイター氏に、これはシードルとは別のものだぞ、強くて無理だぞ、と反対されたのだった。
それなりにお酒も強かった私は、カルヴァドスで間違ってないもん!シードルなんか東京でも飲めるもん!と抵抗し、出してもらったのだったが・・・確かに強かった。一口舐めてうーむ、と言っていたら、ウェイター氏がほらね、とチェイサーを用意してくれた。強かったけどリンゴの甘い匂いがした。

2019年10月8日

Guardian’s 1000(11)

今回はCrimeから。初読が1冊と再読9冊。

(101) アンドロメダ病原体(マイクル・クライトン/ハヤカワ文庫):
クライトンはER(テレビ番組のER救急救命室)からのファンで、小説も何冊か読んだけど、ベスト千の2冊はどちらも未読。
しかしこれなんでcrime?SFならわかるんだけど。宇宙空間で微生物(生物と言えるかという話は置いといて)が猛毒化して地球に帰ってくる。予め熟慮されたと思っていた対策が逆効果だったり、病原体ってこんなという先入観を裏切られてどうしていいかわかんなかったり。一番そうだよねぇと思ったのは、なんでこんなことに気づかなかったんだろう!なミスが起こりうること。あるある。
しかし一番びっくりしたのは、著者名がマイケルじゃなくて「マイクル」クライトンだったこと。えーっ!!普通Michaelはマイケルだろ!確かにマイクルの方が原音には近いだろうけどさ。

(102) 見知らぬ乗客(P・ハイスミス/河出書房):
見知らぬ乗客との交換殺人。頼んでないのにやらざるを得なくなり、見知らぬ人だから意味がある筈なのに、いつの間にか友達だったことになってしまい何やってんだか。推理の余地はなくても読んでいてドキドキのスリラー。

(103) リプリー(P・ハイスミス/河出書房):
アラン・ドロンで有名な「太陽がいっぱい」の原作。原題の「リプリー」で再刊したのは、映画が「リプリー」で再作されたからだったのね。
生まれつきの詐欺師リプリー。悪いやつなのに何故か感情移入してしまい、ばれちゃうのか捕まっちゃうのかハラハラしてしまう。上手いとしか言いようがありません。

(104) 警官嫌い(エド・マクベイン/ハヤカワ文庫):
87分署シリーズ第一弾。再読。警官を狙った連続殺人。私服なのに何故狙われた?三度目の正直。ニューヨークぽい話だ。まぁこういうニューヨークを知ってるわけじゃないけど。

(105) ダウンタウン・シスター(サラ・パレツキー/ハヤカワ文庫):
最近は読まなくなったけどこのシリーズも大好き。女探偵V.I.もカッコイイのだが、彼女を支える周りの男性/女性陣もカッコイイのだ。
本作の米語題名はBlood shot。えっ!デビュー作の「サマータイム・ブルース」からずっとカタカナ題名だったのだが邦題だとは思ってなかった。ほとんど邦題だったのね。確かにこの方が売れそうな感じはする。ちなみに本作に関しては英語題名が別にあって"Toxic Shock"。うーん違う意味の医療用語と重なってるし、ネタバレ気味だよ。

(106) ブラックリスト(サラ・パレツキー/ハヤカワ文庫):
9.11を受けて書かれたもの。「ブラック」には二重の意味があったりする。V.I.も歳を取った筈なのに、ガンガン体力勝負の冒険三昧。そこは現実味がちょっと足らないような。

(107) 誰の死体?(ドロシー・L・セイヤーズ/創元推理文庫):
ピーター卿デビュー作。日本ではなぜか知名度が低いんだけど海外では有名で、例えば「ダウンタウンシスター」でもピーター卿の執事みたいに有能な助手がいればいいのに、とV.I.がぼやく場面がある。
お貴族様探偵という設定は、日本ではまるっきり現実味がない(テレビではあるけど)ないもんなぁ。ま、英国でもどれほど現実的かってのはあるけど。それでも裕福でカッコイイだけじゃなく、可愛げのあるピーター卿は魅力的です。

(108) 殺人は広告する(ドロシー・L・セイヤーズ/創元推理文庫):
ピーター卿が広告会社でサラリーマン生活!バレそうになっても開き直って難を逃れる。殺人方法よりも取引場所を決めるトリックがうまい。著者は業界にいたことがあるのだそうだ。

(109) メグレを射った男(ジョルジュ・シムノン/河出書房新書):
メグレ警視は大好きで高校から大学にかけて全シリーズ読んだ。今回はS54年の初刊本を再読。
パリ以外が舞台になるものも多いけど、アームチェア・ディテクティブは珍しい趣向。なんでこれがベスト千かね?個人的にはパリっぽいやつの方が好き。それと「射った」って日本語としてどうよ。(凶器は弓とかじゃなく普通にピストルです)。

(110) 笑う警官(M・シューヴァル、P・ヴァ―ルー/角川文庫):
2013年新訳で再読。ストックホルムってこんな感じなのかな。こんな感じだったというべきなんだろうな。これじゃあまり行きたい気がしないぞ(笑)。再読だけどサッパリ覚えてなかった。伏線は張られていてああそうだったという感じ。現実味のあるミステリーではある。

2019年9月14日

Guardian’s 1000(10)

Family and self から既読5冊と再読1冊+初読4冊。結構時間がかかるね。

(91) 碾臼(M・ドラブル/河出文庫):
再読。誰にも迷惑をかけない自立した女性がうっかり妊娠して勢いで出産、周りに助けられたりしながら、でもやっぱり自分のことは自分で守らなくちゃ。1回目はちょうどそんな時期に読んだので、女ってやっぱり子供を産んでなんぼってことよね・・・と負け犬の遠吠えだったなぁ。

(92) 若い芸術家の肖像(ジェイムズ・ジョイス/集英社文庫):
初めて。ジョイスは難解と聞いてたけど普通じゃんか。やっぱり丸谷才一の翻訳がいいんだね。まずは訳注をほとんど読まずに1回、註を読みながら2回目を読んだ。自伝的小説の元祖なんだって。3歳の幼児語に始まり、20歳になるまで。文才があって頭も良く、自尊心・自立心が強い、アイルランド青年。尊大だけど純粋でカッコイイ。ディーダラスはギリシャ神話のダイダロス=イカロスの父。神話では偉大な芸術家の父と考えナシの息子だが、これはダメダメな父と芸術家になりゆく息子の話。アイルランドならではの政治話が背景。それもこれも豊富な訳注と、親切かつ読み物としても楽しい訳者解説でしっかり理解。いい本だ。

(93) ユリシーズ(ジェイムズ・ジョイス/集英社):
同じく初読。こっちは文句なく難解。面白くはあるんだけど。特に文体がガンガン変わる後半はついていくのが大変。饒舌で猥雑で悪趣味で、でも笑えるし深みもあるんだけど、長すぎなのと理解に必要な知識が多すぎる。親切な註があるので助かるけど、相当な読書好きでないとお勧めしかねるよ。

(94) われらの狂気を生き延びる道を教えよ(大江健三郎/新潮文庫):
大江は結構読んだつもりなんだけどこれは初読。何でベスト千にこれかな、いいけど。1969年出版。いつものテーマ。父-自分-息子と続く「われらの狂気」が思い込みで、それぞれの「われらの狂気」があるだけだと気付く連作。中では裏表のab面で構成される「父よ、あなたはどこに行くのか?」が面白いと思った。外国の詩の引用で父=神を想像しちゃうけど、父=天皇を想像するべきなのだそうだ。なるほど。そういう時代だったよね。

(95) ライ麦畑でつかまえて(サリンジャー/白泉Uブックス):
読み直す1冊で済み。ベスト千に入って当然の一冊。

(96) 父と子(ツルゲーネフ/新潮文庫):
若人の100冊で済み。ツルゲーネフはこれと「初恋」(Loveカテゴリー)の2冊がベスト千入り。妥当なところか。

(97) カラーパープル(A・ウォーカー/集英社文庫):
初読。黒人のアメリカ。前半は暗くて気が滅入るが、だんだんに強い女性が登場して事態が好転、主人公も強くなっていく。特にラストは希望があってAJ好み。成長物語でもあるけど、State of the Nationな気もする。

(98) ドリアン・グレイの肖像(ワイルド/光文社古典新訳):
これ好き。

(99) ダロウェイ夫人(ウルフ/光文社古典新訳):
独特な文体で面白いなと思った。

(100) 灯台へ(ウルフ/岩波文庫):
こちらは初読。2004年訳で読んだ。第二部の「時は行く」でものすごく時間が進んで、第一部と三部はゆっくり。不思議な感じ。新しい女性のようでも良妻賢母のママの影響は逃れがたく。そういう時代だったよね。

曇ときどき雨

初回は入院までして始まった今回の点滴治療だったが、結果的にマーカーが下がらず。こんなことは今までなかったのだが、まぁでも5年以上続けてきているので、そろそろそうゆう時期なんだろうなぁ。
そんなこんなで宙づり状態。ときどき悲観的/自棄気味の気分になったりして。
しかし愚痴を言っても始まらんしな。今を大事にしないとね。