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2020年6月2日

Guardian’s 1000 (17)

図書館の再開を受けて大急ぎで読書も再開。いつまた自粛モードに入るかわからないので、リクエストも多めにしとかなくちゃ。ぶつぶつ。
今回からカテゴリーを気にせず、10冊ずつアップしていきます。

(161) シェリ(コレット/光文社古典新訳):
友達の息子と恋愛関係になってしまう元高級娼婦のアラフィフ美魔女レア。「危険なふたり」はシェリが若い女と結婚することで崩壊する。崩壊は必然だし、シェリの執着や迷いはよくある話なんだけど、思い切るレアがカッコイイ。強がりじゃなくて場数なんだよね。そして実話ベースなのがスゴイ。実際には友達の息子ではなく、義理の息子!さすが美魔女・・・

(162) LAコンフィデンシャル(ジェイムズ・エルロイ/文春文庫):
LA市警を舞台とした推理小説。犯人は何となくわかってしまうのだが、そういう背景だったか。敵味方入り乱れるのがスリリング。恋模様?もアメリカぽく映画化されて当然の作品。続き気になる―。

前に読んだブライトン・ロックが面白かったので、グレアム・グリーンを固め読み。なんで今まで読んでなかったんだろう?読みやすくて面白いのに。

(163) 拳銃売ります(グレアム・グリーン/早川書房):
犯罪小説。兎唇(って差別用語なのか!)のレイブンは子供のころから誰も信じられず冷酷な殺人者への道を歩んできた。が、自分を友達だと言ってくれる女性に出会い、迷いながらも信じたのに、彼女は刑事の恋人だった・・・レイブンに同情心を感じながらも結局、恋人との結婚話に幸福感に浸るアン。救いのない結末だけど、こんなだよなぁ。映画化したくなる気持ちわかるなぁ。

(164) 恐怖省(グレアム・グリーン/早川書房):
犯罪小説というより不条理なんだけど、あり得る感じが怖い。第二次世界大戦中のロンドン。親ナチス派の暗躍?殺人犯とフツーの人は見わけが付くのか。フツーの人に潜む狂気っていうか。戦時中って明らかに非常時なんだが、日常と非常時の境なんてない。他人事じゃなく読みたい。

(165) 第三の男(グレアム・グリーン/早川書房):
映画で有名だが、もともと映画のために書かれたのだそうだ。映画一応見たんだけど、音楽しか思い出せない。粗悪ペニシリンを密売していた友人とうっかり詐欺師となった作家。しかしウイーンってこんな状態だったのか。占領下だからの状況ってあるよね。と書いている間もチターの旋律が頭を離れない。

(166) 情事の終わり(グレアム・グリーン/新潮文庫):
これも映画化されたな。知人の妻と不倫。熱愛は過ぎたが終わったような終わってないような。次の恋愛疑惑を持ちながら再開して微妙に再燃するも彼女は突然病に倒れてしまい、残された夫と彼女を偲ぶことに。恋の終わりってこんなことあるよな。でもそれだけじゃないのは、宗教の存在。神を信じるかどうか、そしてカソリックなのかどうか。結婚とは、葬儀とは、どうあるべきなのかが宗派で違う。日本人にはピンと来なくても、欧米人には大事なことなんだろうね。

(167) ハバナの男(グレアム・グリーン/早川書房):
ハバナ在住の英国人が諜報活動を無理やり気味に依頼されて、テキトーなレポートを書いて報酬を受け取る。掃除機をスケッチするのが秀逸。結末はセーフな感じだけど、被害者も出てるしComedyカテゴリでいいのか少し疑問。案外こういうフェイクなレポートってあるんだろうな。広告料欲しさにフェイクニュースを作るのもこの延長線上よね。騙される方も問題あるけど、笑ってていいのか。

(168) 叔母との旅(グレアム・グリーン/早川書房):
銀行を退職した面白みのない僕が、母の葬式にやってきた叔母に振り回される。突拍子もない話にうっそーと思いつつも案外本当だったりして仰天。ロマンチックで破天荒なオーガスタ叔母さん素敵。ラスト、黒人の元恋人は死ななくてもいいと思うが、概ねユーモア小説で読んで楽しい。

(169) 大転落(イーヴリン・ウォー/岩波文庫):
ウォーの初作品だそうな。素直にユーモア小説。牧師を目指す真面目な一青年ペニーフェザー君は、お貴族様クラブの悪戯に巻き込まれ、無実の素行不良で放校処分。教師として田舎の学校に就職するも、周りは変わったやつばかり。教え子とその母親に目を付けられ結婚寸前まで行くも、彼女の代わりに出掛けた港で奴隷貿易の罪で逮捕され服役。刑務所では案外心静かな生活を楽しむが、結局「死んだ」ことになって同姓同名の別人として最初の牧師学校に逆戻り。原題のFall and Declineはローマ帝国衰亡史をもじったものだそうで。「大転落」はどうかと思うけど、フツーの善人がお貴族様のご都合で転落してしまうってことかな。でも最後に戻れるし、ポール君に変わりがないのがAJ好み。身分の隔絶がイギリスっぽい。

(170) われら(ザミャーチン/光文社古典新訳):
1984的なディストピア小説。スゴイのはスターリン独裁前のソ連で書かれたということ(出版はさすがに無理だったらしい)。その割にソ連ぽい感じは薄く(「恩人」はいるけど「党」はいない)中世ヨーロッパを映してるようにも見える。でも個人名全くないのは新しいかも。科学万能なのもらしい。今でいうと北朝鮮ぽいかも。

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