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2017年8月24日

薬の外郎 内容編(1)

お薬の外郎は、今では仁丹みたいに銀箔が貼られているけど、昔はクレオソートみたいな丸薬だった。お菓子の外郎は黒糖味の黒みがかった色が、お薬に似ているから外郎と呼ばれる、という説もあるという話は、お菓子の外郎にも書いた。それはどうかなと思う。だって、外郎薬じゃなくても、大抵の丸薬は同じような色をしてるもの。「くすりもち」とかいう名前なら納得だけど。
外郎家が売っていたからお薬の名前もお菓子の名前も「外郎」になってしまったと考えるのが妥当だと思う。黒砂糖は明国経由でしか入らない珍しい色/味でもあっただろうけど。

お菓子の外郎の正しい名前は分からなくなってしまったけど、お薬の方は残っている。
外郎売の口上にも入ってるんだけど、その名は「透頂香(とうちんこう)」。

「香」?って思いませんかね。
これ本来は飲む薬ではなく、wiki(ういろう(薬品))によると冠の匂い消しだったのだそうで。
生薬は精油を含むものが多いから、香料と重なる部分は確かに多いんだよね。そして胃腸の不調や炎症の類は、香料の「すっとする」感じで治る(ような気がする)ことが多いし。
そして練香は丸薬に限りなく似ている。頼りのwikiに画像がないぞ。ええとね、丸い黒い粒で、こんな感じ(日本香道)。これをたぶん焚いて冠に匂いを移すんだと思う。

誰かがお香の筈の透頂香をうっかり飲んでみたんだろうか?弥次喜多じゃあるまいし。それとも日本では最初からお香ではなく、お薬として売り込まれたのか?
ま、冠の匂い消しでは京都はともかく小田原では売れないよな。鎧兜もくさくなりそうだけど、そこでお香を焚くのは関東武士としてどうなの、って気がするもの。そして江戸の太平の世には、鎧兜も要らなくなったし、飲み薬になるとは先見の明があったね、透頂香。


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