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2016年5月29日

光文社古典新訳シリーズ(17)

今回は日本の古典が複数入りました。

(161) 虫めづる姫君(作者未詳):いろんな話があるけど結局虫めづる姫君が面白い。平安時代にもこんな女がいたんだろうね。しかし「続きは続巻で」ってそんな結末になってたのか。お茶目。

(162) ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか(内村鑑三):これオリジナルは英語だったのね。後書きが面白かった(おいおい)。江戸時代に生まれて欧米文化に憧れてキリスト教徒になったが、これって「正しい」キリスト教徒ではないのでは。確かに。共産主義に憧れた若者と重なる。現実は厳しい。

(163) ニ十世紀の怪物 帝国主義(幸徳秋水):大逆事件ってこういう人の話だったのか。逮捕する側からみると確かに危険すぎる思想。帝国主義は間違っていたことになっているが、善悪でなく割に合わないだけのこと。社会主義もあまり科学的でないことがわかって、どこに向かえばいいのやら。

(164) 人間の大地(サン=テグジュペリ):「夜間飛行」の視野が大きい版(笑)。最初の頃の飛行士って大変だったのな。危機に際してチームがきゅっと引き締まる感じ。わかる。信頼と絶望。戦争は愚かだ。愚かなんだがなぁ。

(165) アンティゴネ(ブレヒト):古代ギリシア劇に題材を取った、戦争と個人の話。兄を人として弔いたいだけの妹が罰せられる。これは強制収容所が下敷きにあるのかな。鷹に食われてはいないが、人として葬られてないもんね。

(166) カンディード(ヴォルテール):恋しいお姫様にキスをしたせいでドイツ貴族の館から追われて世界中を数奇な旅をするカンディード、最後は共同体での労働に目覚める。大人の青い鳥?まーこの時代のヨーロッパって戦争しかしてないもんな。

(167) 書記バートルビー/漂流船(メルヴィル):決まったことしかやらない書記の秘密。都市伝説的な。漂流船はラストが想像できてイマイチ。アメリカ人から見たスペイン貴族の謎。黒人の怖さ。アメリカっぽいなー。

(168) 狭き門(ジッド):三度目くらい。大雑把には覚えてたけど後書き読んでびっくり。これ宗教の話なのか?恋に恋する乙女の物語だと思ってた。自分は相手にふさわしくない、だってあの母の娘だし、的な。頭でっかちの恋。考えずに先に進むべきだったんだろうけど。

(169) 薔薇とハナムグリ シュルレアリスム・風刺短編集(モラヴィア):キャベツの好きなハナムグリは性的少数者か?風刺というかひねりのきいた短編集。

(170) 不思議屋/ダイヤモンドのレンズ(オブライエン):これ怪奇小説っていうかなぁ?ポーの後継者だそうだ。アメリカ的かアイルランド的か。ハンフリー公の晩餐カワイイ。ヘンリー風。不思議屋はワンダースミス。ホフマン的。乱歩ほど古臭くはない。

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