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2016年1月17日

「読み直す1冊」シリーズ(11)

(75) 死者の書(折口信夫/東雅夫:ちくま文庫):短編集(幻妖の水脈)だったが「死者の書」が一番面白かった。神憑りな中将姫は王子様のために曼荼羅を織ったのでした。山の描写がなんか奈良っぽい。

(76) 異邦人(カミュ/窪田啓作:新潮文庫):3度目位だと思うんだけど・・・こんな話だったか?行きがかりでアラビア人!を殺してしまうムルソーの無感動な日々。個人主義と言われるフランスでもママの死を悼まないと宇宙人扱いなのか。ううむ。

(77) 我が名はアラム(サローヤン/三浦朱門:福武文庫):アメリカにおけるアルメニア移民アラム少年の日々。風と共に去りぬとはえらい違い。アルメニア人は「肌が黒い」らしい。有色人種はみんな一緒くた。アメリカって一言にいっても中身はいろいろなんだよな。決して過去の話ではないと思える今日この頃。

(78) さまよえる湖(ヘディン/福田宏年:岩波文庫):紀行というか冒険記。題名ほどロマンチックでない。これ題名の勝利だと思う。ドイツ語では「さまよう」と言う意図はなく単に「移動する」てことなんだって。「移動する湖」では、まんまで読む気がしませんよ。学術書みたいじゃんか。読んでいる間中、NHKの名作シルクロードのテーマ音楽が頭の中で鳴り響いていました。新疆ウイグル自治区ってここかー。探検当時もムスリムが多くて文化が違って、だから今でも落ち着かないのね。決して過去の話ではないと思える今日この頃。

(79) マレー蘭印紀行(金子光晴:中公文庫):う、うまい(当たり前)。ありふれた写真や動画より、研ぎ澄まされた文章の方が風景の本質を捉えていたりするんだろう。当時のマレーってこんなだったよね、と思える。帝国列強の中でカモにされている日本。それで軍国主義に向かうのだろうが、どうせ勝ち目はないのだった。案外今も一緒かも。TPPとか。決して過去の話ではないと思える今日この頃。

(80) 銀河鉄道の夜(宮沢賢治:新潮文庫):3回目くらい?新潮文庫の同じ表紙で読んだ覚えがあるのに、こんな話だったか??大雑把にしか覚えていない。銀河鉄道、暗いけど魅力的ではある。オッペルと象は教科書で読んだのを良く覚えてる。ケロロ軍曹じゃなくて、カイロ隊長が面白かった。全体に外国ぽいというかバタ臭い。

(81) 山月記(中島敦:文春文庫):虎になってしまう山月記と李陵は読んだ。面白いけど宮城谷中国史の方が読みやすい。中島敦は言葉が難しいからだと思う。これは中国史じゃなくて読み物なのね。スチーブンソンのNZ療養記が面白かった。これ初めてだと思う。たぶん前は新潮文庫で読んだからこれは入ってなかったんだろう。植民地ってこうだったのか。そうなんだろうな。

(82) 八木重吉詩集(八木重吉/鈴木亨:白鳳社):キリスト教徒のそれっぽい詩もあるが、哲学的な詩も多い。やさしい文章でしみじみと深い。時々子煩悩なのもイイ。

(83) お伽草子(太宰治:新潮文庫): 久しぶりに読んだ。これ好きー。お伽草紙も面白いけど、菊の精の話も哀しくていいし、白鳥から人に戻るやつも救いがあって好き。こういう話も、もっともっと書いてほしかったです。

(84) モオツアルト(小林秀雄:新潮文庫):これ「新潮文庫の100冊」とかで読んだ筈だけど・・・さっぱり記憶なし。 モオツアルトってそんなに特別なのかー。琳派について書いた文章がいいなと思った。雪舟の絵は見てみたくなった。批評家というのはすべてにセンスがある人なのだな。単に文句をつける人じゃなくて。

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