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2013年9月23日

「読み直す1冊」シリーズ(5)

(21) 聊斎志異(蒲松齢/増田渉:平凡社ライブラリー):中国版雨月物語。最初、中国語併記版(NHK出版)があるのを見つけて借りてきたのだが、抜粋しすぎでつまらなかった。犬がワンワンと吠えるのがわかって面白かったけど。日本のと似たような怪異譚が多いのは、たぶん中国の話が伝わってきているんだろうな。キツネが女性(美人)に化ける話が多い。中国にはお稲荷さんはないと思うのだが、キツネはどこに住んでいるんだろう?

(22) 東海道中膝栗毛(十返舎一九/麻生磯次:岩波文庫):学校でだったか部分的には読んだことがある。「そろそろ旅に」を読んだから十返舎一九の肖像は思い浮かぶ。しかし、こんな話だったのか。パタパタと楽しいトラブルのある旅を弥次喜多道中、と言ったりするけど、女二人旅の形容詞にはしない方がいいなと思った(笑)。紀行文としての内容は1割以下。ほぼドタバタ漫才。それも下ネタ絡みが多い。それは当時で考えても犯罪だろーと思える話も多い。しかし騙されても馬鹿にされても、「ハハハ・・・」と笑い飛ばしてしまうところが、江戸っ子の粋というものらしく。救いようがないが爽やかではある。

(23) 歳時記(角川学芸出版:角川ソフィア文庫):春夏秋冬+新年の5冊で、新年号には何故かお雑煮アンケートが付いていて感動・・・。新しい季語もあるが、私でもわからない季語も多い。若者にはさっぱり?なものが多いと思うね。現代感覚では、春は3月~5月で、基本的には現代感覚に沿った分類になってるんだけど、昔からある季語は、春=旧暦の1月~3月を引きずっており、例えば七夕は秋の季語だったりして非常にわかりにくいことになっている。季語とか行事とかは旧暦でそろえた方がいいと思うな。季語というルールがあっても運用が曖昧なのがまた日本らしくはあるけど。

(24) 美味礼賛(ブリヤ・サバラン/関根秀雄:岩波文庫):既に何度が言及してきましたが、これ面白かった!グルメな貴族様が美味しくて贅沢な食べ物について書いただけの本かと思ってたけど違った。医学的見地/経済学的見地からの観察も鋭く、実務家でお茶目な苦労人、サヴァラン好きになっちゃった(笑)。 健啖家ではあるが、「立派な押し出し」と思える範囲にキープするために、炭水化物ダイエット+腰に紐を巻いたなんて告白するところなんか実に可愛げがある。フランス人だなー。

(25) 大尉の娘(プーシキン/神西清:岩波文庫):大尉の娘を引っ掛けて・・みたいな話かと思った。意外に純愛。プガーチョフの乱(実話)を描いたものだそうだ。悪人含めて魅力的な人物がたくさん。ヤなやつが独り。お子様でも安全に読める。読書感想文には向かないと思うが、ロシアな雰囲気はつかめる。

松丸文庫としては「大尉の娘」の前に「赤と黒」が入っているが、光文社古典で読んだのでパス。

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