ページ

2012年10月28日

過去メモ(3:シリーズ以外 高校生)

永すぎた春(三島由紀夫):つまんない。コバルト文庫的。金閣寺を書いたのと同じ人とは思えん。つた子さんとか吉沢君とか面白かったのに。全体の筋がなってなーい。(ハッピーエンドが気に入らなかったらしい)
菜穂子(堀辰雄):あんまりおもしろくない。ロマンチック過ぎる。何とか文庫に較べればとても爽やかなのだけど(ハーレクインのことかな?)、しかしロマンチックしかない。もっと言いたいことはないのか!ラストは悪くないんだけどなんだかねー。
黒い雨(井伏鱒二):引きずり込まれて読みました。うまいねぇ。憤りでも愚痴でもない、ただひたすら生きていく人の美しさよね。胸にぐさりと来ないのは、僕が戦争に遠いからなんでしょう。だけど戦争の悲惨さを過去の遺物としてではなく、僕らの身の回りに見出せそうな、そんな気がしているのです。ではね。(ではねって何・・・)
クリスマスカロル(ディケンズ):童話童話した話だけど童話ではないので細かい道具立てはしっかりしています。感動的な物語なのだけど、新潮文庫の訳はいまいちだ。なんか回りくどいし固い。(たぶん童話にしては堅いという意味だと思う)
砂の女(安部公房):さすが世界に認められた作品。他の公房さんの作品よりずっと判りやすいっていうか即物的。しかし終わり方がいい!こんなこと他の一体だれが考えつくかね。崩れても崩れても、哀しいとか切ないとかそんなこととっくに乗り越えて、ただ砂をかき分ける男。黙々と生きる女。女の生活感と男の革命の夢と。これが人生なんだねぇ。穴の外の一握りの男たちも決して支配者ではない。みんな生きているだけ。何のために?ただ埋もれていかないために。何のために?なんのために?何のためでもなく、ただ生き続ける、暮らし続ける、ただの連続。
クロイツェル・ソナタ(トルストイ):感激。復活がなんだ!アンナカレーニナがなんだ!これがトルストイの最高傑作!(3冊しか読んでないけど)。無邪気な恋なんてありえないんだ。ほんとにそう思う(こんなことこんな時点で考えてたのか・・)。『ふたりはベートォヴェンのクロイツェルソナタを弾いたのです』と彼は続けた。『あなたは最初のプレストをご存知ですか?!』と彼は叫んだ。『ララ! ラララ!・・・恐ろしい曲ですね、あのソナタは。特にこの部分が』
水中都市(安部公房): 短編が7つ。「水中都市」と「棒」と「盲腸」が面白い。「なわ」と「鉛の卵」は、ラストはいいと思う。「透視図法」は好きじゃない。 「闖入者」は「友達」の方がいいと思った。
焼けたトタン屋根の上のねこ(T・ウィリアムズ):ブリック君サイコー。どうしてこのクールなラストを変えてしまう演出が存在するのか理解できない!
ばらの刺青(T・ウィリアムズ):・・・いやらしい文。わかるけど・・いやらしいよ。(そんなにイヤラシイ話ではない気がするんだけど)
異邦人(カミュ): 三無主義もここまで来ると絵になる。クールの域を外れてもう全く感覚がないんだよね。

どういう脈絡があって読んでたのかサッパリ。受験の頃に、「名作」を少し読まなきゃとか言って(実際は受験勉強がイヤで読書に逃避しただけなんだけど)読んだような。トルストイとかカミュはその線だと思うけど、自分勝手な読み方をしているから身になってないな。ま、読書は自分勝手でいいんだけどさ。受験勉強の足しにはなってないよ。

0 件のコメント: