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2012年1月9日

光文社古典新訳シリーズ(10)

すっかりペースが落ちていますが細々を読み続けている古典新訳シリーズ。やっと100タイトルまで来ました。今回のイチ押しはブレヒト。

(91) 母アンナの子連れ従軍記(ブレヒト): 戯曲。肝っ玉商人、度胸アンナは戦地で商売するが、子供を一人ずつ結局みんな戦争に取られてしまう。商売は戦争だが戦争は商売なんだな。戦争を否定するのは簡単だが、と考え込んでもしまう。しかし戦争はイヤだ!イヤだがしかし・・・1618~48の30年戦争下の神聖ローマ帝国が舞台。そんなことやってて海の時代に取り残されたのか、ドイツ。

(92) アガタ(デュラス)・声(コクトー):異なる作家による戯曲二つ。どちらも別れをテーマにしたものではあるけど。独り芝居の声の方がドラマチックで判りやすいのだが、ケータイ世代にはわからないだろうし、ケータイじゃ電話のコードを首に巻くこともできないな・・・。デュラスは好きで一時期固め読みしたけど、これは今一つデュラスぽくないと思う。

(93) 青い麦(コレット):昔読んだかも。16歳と15歳の幼馴染がありふれた恋人になるまで。若さゆえの純粋さとか無邪気さは、残酷さでもあるし俗悪さでもある。

(94) 女の一生(モーパッサン):これも読んだかも。予定調和的。これ面白いのか??

(95) マウントドレイゴ卿/パーティーの前(モーム):どれも結末は想像付くのだが、表題作2つはダメ押しが利いている。特にパーティーの前。個人的にはジェインが好き。こういうのあるある。

(96) アウルクリーク橋の出来事/豹の眼(ビアス):悪魔の辞典の人ってこんなのも書いてたのか。都会的じゃないO・ヘンリーってところ。軍隊/田舎物かつ幽霊ものが多いショートショート。

(97) 幻想の未来/文化への不満(フロイト):タイトルにないモーセの話が一番面白かった。ニーチェでもそう思ったけど、宗教の呪縛って大変なんだな。そして日本人にもなんか宗教ぽいものはあるんだ。聖書みたいのがないだけで・・・神様って必要なものなんだな。

(98) 花のノートルダム(ジュネ):同性愛小説。赤裸々、なんだろうたぶん。異性愛は赤裸々でもいいけどそうじゃないのはダメとは言えないもんね。ジーンジニーがジャンジュネの英語読みだって私も知らなかった。ディヴィーヌ、カッコイイ

(99) 梁塵秘抄(後白河法皇):これも電車では読みにくい表現が多かった。現代語訳は歌謡曲調というか物まね調というか、ちょっとやりすぎと思う。「今様」が当時は歌謡曲のようなものであったと言いたいのは判ったけど、ちょっとね・・・歌謡曲とお座敷小唄は少し違うし、今様も少し違うと思う・・・

(100) 歎異抄(唯円):上と同じ訳者による現代語(関西弁)訳。これ読みやすい。なるほど阿弥陀経ってそういうものだったのか。何にも要求しない宗教ていうのも結構すごいかも。

今年も読むぞー

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