さて1回目。非常に重たいのが多くてなかなか進まないから、5冊(文庫本としては8冊)読んだところでアップしておくことにしました。
(1) 唐詩選(前野直彬:岩波文庫 ワイド版):その昔、漢文の時間にならった詩がいくつか。唐の時代の詩ではあるが、実際に書かれた(選ばれた)のはずいぶん後の宋の時代になってから。「良い詩」の判断基準は、何より一定のルール(韻を踏むとか)に則っていることなのだそうで。中国より日本で人気があるらしい。ルールに則っている方が、学校とかで教えるには向くもんね。日本人にとって漢詩は、詩としてより、語学としての教養という面が大きいわけだし。岩波文庫は説明も充実していて読んでいて面白かった。
(2) 古今和歌集(佐伯梅友:岩波文庫 ワイド版):唐詩選に続けて読んだので、同じころの日本はなんて軟弱なんだろうと(笑)。恋歌がほとんど。あと花とか。左遷された身を寂しく歌うことはあっても、俺を重用しないのは見る目がないと言う人はいない。さすが日本人(苦笑)。女性の歌が結構あるのが、唐詩選とのえらい違い。また、個人的には物名が気に入った。読みが同じだけど意味が違うものを織り込んだ歌。おやじギャグ的と言えばそれまでだけど・・・いやいや格調高いって。
(3) 伊勢物語(大津有一:岩波文庫 ワイド版):伊勢物語って業平の歌に勝手に(たぶん)ストーリーを付けた外伝なんだね。日本人ってまじロマンス好き。前後に関連を持たせた並べ方が確かに古今和歌集に似ている。こういう下地があって、源氏物語ができていくんだなぁ。
(4) 百人一首(鈴木日出雄:ちくま文庫):百人一首は学生の頃全部覚えた。知ってるんだけどなと思いながら読んだんだけど、かなり間違って覚えていたことが判明(笑)。例えば、「しかぞすむ」は「鹿ぞ住む」だと思ってたし、「うかりける」は「受かりける」だと思ってた。「逢坂」は大阪だと思ってたし、「ならの小川」はもちろん奈良だと思ってたし・・・ちくま文庫は、1首が見開き1ページに入っていて、とても読みやすかった。年表が付いていたのもマル。あと地図が付いていたら完璧なんだけど(そんなわがままな)。
(5) 枕草子(清少納言:講談社学術文庫):枕草子の本はたくさんあるけれど、実は全訳は少ないとご存知でしたか?何冊か借りて、これでもないあれでもない・・・やっと見つけたのが学術文庫の全三冊。これ大あたり。脚注の他に解説も付いて絵もところどころあって判りやすい。絵がカラーだともっといいんだけど(またわがままな)。ご興味のある方は是非、この文庫本で読んでみてください。無駄に小さいものが好きな私は、「何も何も小さきものはみなうつくし」という清少納言に前から親近感を持っていたんだけど、全編読んでみるとお友達にはなりたくないかも(笑)。成り上がりセレブのタレント本て感じ?でも、ワタシは常に正しいの!そう思って何がいけないのよ!的な開き直りは嫌いじゃありません。間違っていても自分に正直でありたい。当時もみんなそう思いながら読んでたんじゃないかな。