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2010年3月7日

海辺のカフカ(村上春樹)

1Q84がベストセラーになっている今頃になってカフカかよ!と言われそうですが、今頃読んだのだった(笑)。カフカの時も結構売れて話題になっていたけど、今頃読んでも面白い。私がこの前に読んだのは、ねじまき鳥クロニクルでしたが、あれよりもある意味読みやすく一般的で、でも春樹ワールドは失われることなく、初期のファンでも納得して読める1冊になっています。なんてったってキーワードのひとつが「風の音を聞け」だもん。「風の歌を聴け」(デビュー作)でしょ、と突っ込みをいれたくなってしまう。

一般的な理由のひとつは、15歳の少年が成長していく物語、と言うことなのですが、さすが村上春樹と思えるのは、物語の終わりには少年は成長はしてるとしても、事態は全く解決してないということ。謎は謎のママ残るし、田村カフカ君はこれからどうなってしまうんでしょう、と心配になる(笑)。でも世の中なんてこんなものではある。世界中で一番タフになる必要はないにしても、そうでないと生きていきにくい時代なのかも。
あーそうそうと笑ったのが、50歳過ぎのおばさんの中に15歳の少女がうずくまっているという表現。いくら15歳の少女の幻を先に見ても、15歳の少年にはそれが見えるとは思えないけど、でもおじさん・おばさんになっても、おじいさん・おばあさんになっても、少年少女が中に埋まっているものなんだよなぁ。
私が一番気に入った登場人物は、フツーの人である星野青年。春樹ワールドでフツーの人が好意的に描かれるのって珍しい気がする。星野青年が気に入ったクラシックを私も聴いてみたくなりました。大島青年や佐伯さんも素敵だけどなぁ。きっと先方からは世間一般の人として冷たくあしらわれるだろうなぁ。

もし読んでない方は(みんなとっくに読んだか)是非読みましょう。安心してお勧め(ただしお子様除く)。あらすじや人物説明はWikiに詳しいです。

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