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2020年12月31日

2020年総括

2020年のニュース第一位は世界中で一致しちゃってるだろうな。ま、そう言わずに総括してみる。

2020世の中的ニュース

ここはどうしたって新型コロナになるよね。2020年のニュースってことで来年以降は振り返ることが出来るといいんだけど。

2020 AJニュース&2020ラッキーだったこと

去年秋から自由診療に移ったんだけど、冬から春にかけてずるずると悪化の一途をたどり、治療終了も覚悟したのだった。3月末に最後の賭けのつもりでお薬を変えてみたら、これが案外劇的に効いて小康状態に逆戻り。ラッキー!まそうはいっても、先月からマーカーはじわじわと再び上がり始めているので、来年はどうなることやら。来年もやれるとこまでやるつもりではある。

2020アンラッキーだったこと

そんなわけで春にはすっかり元気いっぱいだったのに、新型コロナのせいでどこにも行けないし、頼みの図書館まで完全閉鎖!こんなことさえなければ旅行にでも行けたし友達にも会えたのにぃぃ。新型コロナのバカヤロー!

2020ベスト食べ物

あまり外出できなかったこともあって、今年もベスト食べ物は該当なし。それなりには美味しいものも食べてはいるんだけどさ。年の終わりに振り返ってこれ!と思えるようなものがない。新型コロナのバカヤロー!!

2020ベストお買い物

ベストお買い物は、悩んだけど久々に新調した置時計で。無印良品の公園の時計ミニ白。手元で使っていた置時計(いまひとつ気に入っていなかった)を、なくても平気だよねと断捨離したらやっぱり不便。洗面所で使っていた旅行用の目覚まし時計(写真の右側)で代用していたら、今度はこいつの調子が悪くなり。
無印良品で見掛けた公園の時計なら、テレビ台に置いてもいつも座っている場所から見えるのではないかと考えて(前の置時計は針が良く読めなくて手元の机に置いていた)購入。置いてみたら思ったほど視認性が高くなくて、目覚ましから微妙に改善された程度なのだが、ま、ここはむしろメガネを変えるべき時期だという気がする(笑)。

2020ベストMade In Japan

Made In Japanて言えるのか?という気もするが、手作りマイマスクをここにおきたい。以前、台北に旅行に行った時に、カラフルな布マスクがあってカワイイ!と思ったのだが、当時の日本はマスクといえば白一色。それに当時台北ではバイク乗りの排煙除けに使われていたようだったので、布マスクって感染予防にはどうよと思ったし。その後お店でもカラフルなマスクが売られるようになり、でも一般的とは言い難かった。お洒落な人向けって感じで。
ところが新型コロナのバカヤローのおかげで、布マスクでも一定の効果はある(そもそも不織布マスクでも他人への感染を弱める効果しかない)ことになり、街でも一気にカラフルな布マスクが増えた。だったら私も作ってみる―!と一時期はマスク作りがマイブームとなったのだった。
市販のガーゼマスクは、洗うとしわしわになり小さくなってアイロンが面倒なのだが、マイマスクはノーアイロンで大丈夫。夜洗って朝までに乾く。不織布マスクは捨てる時に罪悪感が漂うし、ゴミ袋を二重にするのも罪悪感を増すが、布マスクはそれよりずっとサステナブルで大満足。コロナのバカヤローにも良かった点はある。

2020ベスト読書

2019年秋から開始のGuardianリストは昨年中は再読が殆どだったが、今年に入って初読が増え、「読まなくてもいいかも」率が上昇している。でも気に入った本も数多くある。どれにしようか悩ましいけど、「忘れられた巨人」(カズオ・イシグロ)で。基本はファンタジーなのだが、戦後処理とはどうあるべきかを考えさせられる。イギリスっぽい感じも好きだし、ロマンチックな部分も好き。

2020年12月26日

クリスマス プディング

 「クリスマス・プディング」という食べ物があることは知っていたけど、食べたことも見たこともなかった。自分で作らない限り、本場に行かないと食べられないんだろうと思っていたのに、近所のKALDIで売ってるじゃありませんか。よしよし。クリスマスを待って食べようと楽しみにしていたら、たまたま読み始めた「オスカーとルシンダ」にクリスマス・プディングが重要な意味を持って登場。ますます食べるのが楽しみ!

こんな感じの食べ物。パッケージでわかるように英国ウォーカー製です。プラスチックボウルに入ってたのをレンジで温めて食す。「オスカーとルシンダ」では、厳しい父の元、清貧な生活を送るオスカーに同情した女中さんがこっそりクリスマスプディングを作って食べさせてくれるのだが、すぐ父に見つかって無理矢理吐き出させられる。「プディングは悪魔の果実だ、と父はいった。オスカーはプディングを食べたが、悪魔の果実にはとうてい思えなかった。」ここから父子のボタンの掛け違いが広がっていく。

オスカーはプディングにも感心していたが(レーズンを食べたのは初めてだった)、上にたっぷりかけられたカスタードソースに強く魅せられていた。右写真の状態でちょっと食べてみてすごく甘かったので、これにカスタードを足したらベタベタに甘くなると思ったのだが、「家庭でできる和洋菓子」にもカスタードをかけるものだと書いてある。迷ったけど砂糖控えめでカスタードソースを作った。クリスマスぽくして記念写真。

んー、想像通りの激甘!!決してまずくはありませんが、イギリスらしい美味しさです(褒めてない)。レーズンやオレンジピール等のフルーツたっぷり、シナモンとナツメグ?(Mixed spiceと書いてあって詳細不明)他スパイスたっぷり、甘味もたっぷりで英国趣味の「リッチな味」ではある。が、くどい。無駄に豪華なところが悪魔の果実なのかな。「和洋菓子」には、ブランデーやマディラ酒などのお酒をかけると美味しいと書いてあるが、ちょっと試してみる気がしない。1/4も食べるともういいや、という気持ちになった。これってこの大きさで一人分ではなく一家族分なのかな?そうのような気がする。困りながらパッケージを眺めていると、「クリーム、カスタード、アイスクリームと一緒に食べると美味しい」と書いてあるのに気が付いた。

アイスクリームはイイような気がする、と翌日エクセルカップのバニラを買ってきて再トライしてみると、すっかり食べやすくなった!もしクリスマス・プディングを食べてみたいなら、アイスクリームをお供にするのがお薦めです!が、まぁ無理に試さなくてもいいと思うよ(笑)。

ちなみに、クリスマス・プディングはまず「ミンスミート」を作るところから始まります。クリスマスの1か月以上前にミンスミートを作って、容器に入れて時々かき混ぜたりして発酵!させる。それをクリスマス近くなってから取り出し、粉と卵を足して蒸して、また2-3日休ませて、当日にもう1回蒸してカスタードソースをかけて食べる。と「和洋菓子」に書いてある。なるほど。「ミンスミート」という言葉も知っていたけど、挽肉が入っているんだと思ってたよ!元々は入っていたけど(今でも入っている場合もあるらしい)、今では獣脂が代わりに入っているんだって。確かに「和洋菓子」のレシピでも「ケンネ脂100g」を使うと書いてある。どこに売ってるんだか。ハードル高い。

2020年12月25日

Happy Holidays

エンジニアだった頃、外国の取引先からクリスマスカードをもらったことがあった。年賀状の代わりということなんでしょうね。アメリカの会社だったけどHappy Holidays!と書いてあって、そうか、世界には「クリスマス」がおめでたくない人たちだっているもんね、と感心したのだった。日本人の殆どはキリスト教徒ではないけど、メリークリスマスで全く問題ないんだよなーと思ったが、自分でも時折、Merry Christmasの代わりにHappy Holidaysを使ったみたこともあった。 

そして今年。Happy Holidaysと書きかけて、全然ホリデーじゃないじゃん!と気が付いた。12/23が祝日じゃなくなるとむしろこっちの方が違和感が強いなぁ。となるとWinter Greetingsとか言わないとなのか。冬の季節のご挨拶だと、なんかお歳暮みたいだな。いいけど。

2020年12月22日

思い出の本と食べ物:あしながおじさん

 以前光文社古典新訳であしながおじさんを再読した際に、「解説に『美味しそうなファッジと言うお菓子に云々』と書いてあるが、そこまで読んでやっとあれファッジだったのか!と気がついた。子供の頃からキャラメルだと思ってたし、今読んでもキャラメルにしか読めなかった。訳文も『あめ』になってるし。」と書いた。AJの早合点でした。「あめ」は「あめ」で正しくて、ファッジは別の箇所で触れられていたのだ。ごめんなさい!


「あめ」と言ってたのは、左の挿絵が付いている箇所で、クリスマス休暇に帰省せずに大学寮に居残っている生徒たちが、食堂を借りて先生たちに振舞うお菓子を作る場面。正確には「糖蜜キャンディ(molasses candy)」。キャラメルというより「あめ」ですね。いわゆるイングリッシュ・トフィー?作った本人達も、もらった先生達の口もベタベタになったと書いてあったのでキャラメルを想像したんだけど。飴を作っても作る現場はベタベタするが、食べる方はベタベタしないような・・・意図せずキャラメルぽくなっちゃったのかな?同じ材料でも煮詰める時に高温にするとカリっとした飴(トフィー)になって、低温だとキャラメルぽくなる(タフィ)ものらしい。

「ファッジ」の方は、食堂調理の場面とは全く別の手紙で出てきている。本物のクリームとバターの塊を三個も使って作るので美味しく出来るだろうから、おじさんにお裾分けできないのが残念だ、とのこと。あと女子会ランチのメニューにも登場していた。読み直しても全然気づいてなかった(苦笑)。 

こんな間違いをしたのはちょっと背景があってさ。作者のウェブスターはヴァッサー・カレッジの出身と解説に書いてあって、その名を冠したファッジ(Vassar fudge)があるのをAJは知っていたのだ。女子大毎に自慢のレシピがあると聞いた。それで、あーあれは大学レシピを学ぶ会でもあったのねと早合点したのだった。

前置きが長くなった。ファッジとはこんな食べ物です。

本格イギリス風、ハロゲート生まれと書いてある。KALDIで買った。パッケージ写真はキャラメルみたいだけど、実体はもっと粉っぽい。食べると口の中でほろほろ崩れて、やたらに甘い!キャラメル味だけど食感は全然違います。Wikiによると「砂糖の結晶が大きいから」だそうな。濃厚な甘さだけど、口の中はサッパリしているので何個でも食べられる。でも甘いことは甘い・・・

ちなみにVassar fudgeはチョコレートが入って更にリッチなことになっています。ナッツを入れたりドライフルーツを入れたり、いろいろバリエーションがあるらしいです。どっちにしても濃密な甘さに変わりはなさそう。

2020年12月18日

Guardian’s 1000 (22)

今回もCrimeカテゴリを多めに。推理小説って賞味期間が短いというか図書館からいなくなるのが早いことに気づいた。SFも早めだが推理小説ほどじゃない。

(211) グッドマン・イン・アフリカ(ウィリアム・ボイド/ハヤカワ文庫):
訳者あとがきにもあるけど、グリーンぽい。アイスクリーム戦争と同じ人だけど、こちらはユーモアたっぷり。在アフリカ英国外交官のモーガンは、理不尽な周囲に振り回されるGood Man。ま、本人もかなり自分勝手なんだけど。言い寄られてると思った上司の娘にはあっさり振られるし、雇人たちは言うこと聞かないし、恋人は思い通りにならない上に性病持ちだし、上司はとぴっきり無能でワガママ。堅物の医師は正義漢なのだが哀しい最期を遂げてしまう。映画化されているそうだ。描きようによってはしんみりすると思うが、例えばMr.ビーンが主人公を演じたら笑いっぱなしになること間違いなし。

(212) 夜中に犬に起こった奇妙な事件(マーク・ハッドン/ハヤカワepi文庫):
Comedyカテゴリだがこれはユーモア小説ではないと思う・・・自閉症?なクリストファーがいろんな困難と闘いながら、でも一人で頑張っていく話。無理解な人もいるし、理解しようとする人もいる。子供思いのパパやママでも傷つけてしまうこともある。知らない人の親切をはねのけてしまうこともあるし、警官とか従うべき人に従えなくて大ごとになることもある。クリストファーも自分なりに頑張る。我慢もするがやりたいことはちゃんと伝える。そしてだんだんに道が開けていく。個性だからね、と受け入れることは口で言うほど簡単じゃない。でも受け入れられる私でありたい、とは思う。一番大変なのは本人なんだしね。

(213) 青白い炎(ナボコフ/岩波文庫):
2014年新訳で。不思議な読み味の本。光文社古典で3冊読んだけどこれが一番好きかも。Comedyではないと思う。強いて言えばTravel?でも逃避行が主題でもないしな。不条理ぽいのだがファンタジーぽいところもあり、わかりにくい本ではあるが難解ではない。殺された老詩人が書いた英語の「青白い炎」という名前の詩集(ていうか詩篇?原文付き)を中心に、隣家に住んでいた外国語教授(=語り手)が前書きと註釈を付けて出版という構成なのだが、いわゆる信頼できない語り手というやつ。前書きもかなり註釈は殆ど、老詩人よりも自分のドラマチックな前半生が描かれている。それが詩の主題になっているかというと・・・詩の中に暗殺者の名前が隠されていると主張するが強引すぎるような。そもそもアンタは誰なの?とにかく不思議な本なのだ。研究書を書きたくなる気持ちはよくわかる。卒論には良くても読書感想文には向きませんので念のため。

(214) ニューヨーク三部作(ポール・オースター):
Guardian'sでは1タイトル扱いになっているのだが、実際にはそれなりの長さの小説が3つ。どれも推理小説とは言い難いのだが味わいがある。三部作というだけあって続けて読むべき作品群。
ガラスの街(新潮文庫):推理小説じゃない。犯罪小説ですらない。でも「私立探偵」は出て来る。私立探偵ポール・オースター宛の間違い電話を受けてしまった推理小説作家のクイン。依頼者は子供の頃に自分を幽閉した父が出獄してくるのを恐れている青年。探偵のフリをして駅で父親を見つけて尾行し、知らない他人を装って話をしたりするが、老人に巻かれてしまう。老人とも依頼人とも連絡が取れなくなり、困って電話帳のポールオースターを訪ねたら、探偵ではなくこちらも小説家。気になって路上で依頼人宅を見張り続けるクイン。1か月で持ち金が尽きてアパートに戻ると、部屋は解約されて別の人が住んでいる!持ち物も失って小説を書く気も失せて・・・クインはどこにいってしまったのでしょうか。推理小説じゃないけど面白い。ニューヨークぽい。
幽霊たち(新潮文庫):更に推理小説じゃない。事件も起きない。でも私立探偵は出て来る。私立探偵ブルーは怪しいホワイト氏から依頼されてブラック氏を終日見張る。しかしブラック氏はほとんど外出せず窓辺で何か書いている。尾行も殆どなくてつまらないブルー。ホワイト氏の正体を知ろうとするがうまく行かない。変装してブラック氏に接触するもらちが明かない。恩師のブラウンは当てにならず、彼女からも捨てられて、自分を見失っていく。とうとうブラック氏と対決してみると書いていたのはなんと自分の物語!
鍵のかかった部屋(白水Uブックス):全然推理小説じゃない。私立探偵クインも脇役としてしか出てこない。幼馴染ファンショーの妻から残された原稿を託される文筆家の私。良い作品なので出版することになる。ファンショーは生死不明だが生きていないと思うと妻は言う。魅力的な妻に恋してしまい、結婚して一緒に暮らし始める。ファンショーの作品は話題となり印税も入り、自分で書いたのでは?とみんなに言われる。学校を出てからは音信不通だったファンショーの一生を手紙とかインタビューで再構成して本にしようと調べ始めるが、調査にのめりこんで自分がファンショーなのか?ファンショーは何者なのか?パリまで行くけど答えは出ない。インタビュー本は諦めて幸せに暮らそうとするところに、ファンショーからお手紙。鍵のかかった部屋から出てこないファンショーから最後の原稿を託されてしまう。自分が作り上げたファンショー作品を鮮やかにひっくり返す内容。しかし電車で原稿を一枚一枚破り捨てて、僕は自分の生活に戻るのだった。

(215) 毒入りチョコレート事件(E・C・ベントリー/創元推理文庫):
推理好きが集う犯罪研究会は、警視庁協力の元に事件の真相を推理することになる。女好きの男に届いたチョコレートをもらった夫婦が犠牲となり妻が死んでしまった事件。6人のメンバーは順番に自分の推理結果をプレゼンするのだが、みんな意見が違う。真実に近づいていく。定番の「配偶者」や、意外のボク!(も条件に当てはまる。ボクじゃないけど)。次々に新情報がもたらされ、真実に近づいていく。伏線はキレイに張られていて最後まで行く前に犯人はわかるのだが、この趣向は面白い。でも真似すると確実に「チョコレート事件ね」と言われてしまうよなー(笑)

(216) レイディ・オードリーの秘密(メアリ・E・ブラッドン/近代文藝社):
老男爵との玉の輿結婚に漕ぎつけた美貌のルーシーは実は。外国で一儲けして置いてきぼりにした妻と息子を迎えに来たジョージは、妻の死亡告知を新聞で読んで意気消沈。慰めようと伯父の館に連れ出した弁護士のロバートはしかし旧友を見失ってしまう。旧友を探している内に奥方の秘密はだんだんと暴かれる。ルーシーも非情かもしれないがジョージもひどいよね。裏切られても無理ないと著者(女性)は思っていたのが冒頭の伏線でわかる。可愛そうなルーシーは、殺人未遂は見逃されても狂人として施設に収容されてしまう。情が薄い女はそんなに悪いのか?言いたいことはあるようだが、言えてないのが残念。

(217) ネオン・レイン(ジェイムズ・リー・バーク/角川文庫):
ハードボイルド警察小説。舞台はニューオーリンズ。暴力と麻薬が蔓延する世界は暗い。どこの組織も腐敗が進む。希望がないわけじゃないけどしかし。でもアメリカの他の街より、食事を大事にしてる感じで美味しそうだな。でもとにかく暗い。

(218) 三十九階段(ジョン・バカン/創元推理文庫):
冒険小説。犯罪は一応あるのだが推理の余地はない。南アからロンドンに帰国したお気楽なお貴族様は、アパート上階の住人から助けを求められ、話半分に聞いてたのに当人(自称ジャーナリスト)は殺されてしまう。えっあの話本当だったんだ!とびっくりしながら悪者と警察を避けて逃避行。思いつきで様々な冒険をするが、親切な人もアヤシイやつもいる。最後は残された手帳の謎を解いて「39段の階段があって特定日時に満潮になる」場所を見つけて、怪しげな屋敷に入り込み、怪しそうに見えないやつらに騙されずに敵に打ち勝つ!敵はドイツ人だから撤退も計画通りに行う筈だ!って、まぁそうなんだけどさ(笑)。

(219) ケリー・ギャングの真実の歴史(ピーター・ケアリー/早川書房):
ケリー・ギャングの名で知られるオーストラリアのダーク・ヒーローの「真実の」ドキュメンタリー風。鼠小僧みたいな感じ?仲間がいる点では清水の次郎長かな。銀行とかを狙っても人は殺さない。警官は殺すが警察の横暴を知っている市民からは支持されたりするが、密告もされるし裏切りもしょっちゅう。鼠小僧みたいにメディアに持ちあげられ(鼠小僧の場合は後世の、かな)ヒーローになるが、本人は本人なりの正義を持っているけど持っているだけ。娼婦として登場する奥さんのメアリが後半は行動派でカッコイイ。女って強い!

(220) 最後の物たちの国で(ポール・オースター/白水社):
こちらはオースターでもSF&Fカテゴリ。何もかもなくなっていく荒廃した世界。物がなくなるとその記憶も薄れて単語までがなくなっていく。何が理由でこんなことになったのか語られていないのだが、この「国」限定の話らしい。「政府」はあるが機能していない。取材に出掛けたまま行方不明の兄を追ってやってきた私。絶望的な毎日の中、優しい老女イザベルに出会ったり、偶然逃げ込んだ図書館に小さな避難所があって兄の後任のサムと出会って恋仲になったり。妊娠して希望を持ったころにうっかり騙されてビルから飛び降りて逃げる!ところが親切な施設に引き取られて、施設主ヴィクトリアと恋仲に。楽園は長続きしないが、サムとも再会出来て、仲間と一緒に街の外へと脱出を計画する。つまりラストには希望が残されていてAJ好み。去年ならこの絶望的な荒廃を暗いファンタジーとしてしか読めなかったかもだけど、コロナ渦の今、「社会」のもろさを実感したので他人事じゃない。ま、コロナはそこまでひどくはならないと思うけど、もっと質の悪い病が出てくる可能性もあるわけだし、地球温暖化や資源の枯渇も「遠い未来」とは限らないのだ。物はなくなっても物語はなくしてはならない、きれいごとだけど。

2020年12月5日

アリメット デ ポム

 「アリメットデポム」では「家庭でできる和洋菓子」しかヒットしない謎の名前(笑)。検索結果からすると日本語では「アリュメット・オ・ポンム」が標準名称であるらしい。概ねヤマザキのアップルパイのような形のもの。

久々にパイシートを買って作ってみました。ちょっとひしゃげてしまったけど。「アリュメット」allumetteというのはマッチ棒のことで、細かく入れた切り目をマッチ棒に見立てているのですな。せっかく作るんだからと張り切って山パンよりも細かく切れ目を入れたのに、くっついてしまって意味なし。 

さて先の段落で「日本語では」と書いたのは、フランス語でもこう呼ばれているのか疑問符が付くからだ。allumette (マッチ)とpomme(リンゴ)の組み合わせでは、間に入るのがdeだろうがauxだろうが、フランス語記述は圧倒的にフレンチフライばっかり!

フランス語でpommeはリンゴで、ジャガイモはpomme de terre(大地のリンゴ)なのだが、大抵はどっちもpommeと呼ばれるのよね。マッチ切りにしたリンゴもしくはジャガイモて言ったら、そりゃフレンチフライを思い浮かべるのは当然な気がする。もっとも菓子パンのallumetteもフランス語wikiに記述があるので存在しないわけではないらしい。

ちなみにフレンチフライも菓子パンも「マッチ」には太すぎる気がする。でも日本語の「拍子木切」も拍子木ほどデカいわけじゃないしな。角棒型というだけでサイズは気にすべきじゃなかったんだな。

2020年12月4日

ハヤカワepi文庫シリーズ (3) 

ハヤカワepi文庫シリーズの第三弾は、トニ・モリスンとコ―マック・マッカーシーの固め読み結果となっております。グリーンやイシグロと違って、二人とも私の好みとは言えないのだが、読んで損はない本が多いよ。

(56) 越境(コ―マック・マッカーシー):
ニューメキシコからメキシコへ馬でふらっと行ってしまうビリー。放浪から帰ると父と母は殺され、弟はよその家に引き取られている。弟を連れ出して盗まれた馬たちを取り戻しにまたメキシコへ。うまく取り戻せたと思いきや復讐されてしまう。バラバラになって逃げて帰るも弟が戻らないので再度メキシコへ。瀕死の傷だらけの弟を助けると、前の旅で別れた少女を連れ戻してほしいという。連れ戻したら二人で出て行ってしまい・・・仕方ないからまたアメリカに戻って入隊しようとするも健康上の理由で断られ、そうこうしている内に弟が死んだと言われてまたまたメキシコへ。埋葬されていた遺骸を掘り出してアメリカに連れ帰る。相変わらず暗い小説だ。闘う少年たちも匿ってくれる大人たちも強いし健気なんだけど、全体的に暗くてAJ好みではないんだよ。アメリカっぽいとは思うんだけどさ。

(58) 平原の町(コ―マック・マッカーシー):
「すべての美しい馬」のジョン・グレイディと「越境」のビリーが出会う。老いたビリーが描かれるエピローグは現代。禅問答的。相変わらず暗くて好みではない。

(55) スーラ(トニ・モリスン):
常識的な家庭に育ったネルと自立心の強い女系家族のスーラは何故か仲良し。秘密も共有する。家を出たスーラがふらっと帰ってきて、あちこちの夫に手を出しては捨てて、街の嫌われ者になる。友達だったネルも亭主を寝取られ&逃げられて敵に回る。スーラを魔女扱いすることで結束していた街は彼女の病死により崩壊していく。自分のことしか考えていないスーラはそのことを隠さない。愛とか気遣いって案外偽善だったりするもんなー。でも偽善でもあった方がよかったりするんだよなぁ。亭主がいなくなって寂しいと思っていたネルはある日、スーラを失ったことが寂しかったことに気づく。うーむ。女の友情って難しい。男の友情も難しいのかもだけど。

(59) ジャズ(トニ・モリスン):
舞台は珍しくNY。電車で踊りながら上京した若いカップルは中年になりなんだか倦怠期。ジョーは若い女に入れあげて、しかし結局拒否されて彼女を殺してしまう。殺された女ドーカスの葬式にやってきた妻のヴァイオレットは遺体に切りつけて「バイオレント」と呼ばれるようになる。ジョーもバイオレットもドーカスも、その親や祖母・叔母も、それぞれの事情を抱えて、でも希望を持ってアメリカ国内を彷徨う。NYシティはそんなみんなを惹きつける。惹きつけて離さない。なんでここにいるんだっけ?地に足のつかない都会生活。同じ毎日の繰り返し。でも救いがないわけじゃないのよ。夢の国アメリカ、とは言えなくてもさ。

(61) パラダイス(トニ・モリスン):
話が時系列で進まないので読みにくい・・・登場人物の家族図が最後にあるのに読み終わって気づいた。せめてこれが先頭にあれば、ぶつぶつ。肌の黒さゆえに黒人からも差別された黒人たちの誇り高い開拓村。差別された側の方が案外差別意識が強くなったりする。どこでも弱い者いじめはありうるのだった。はみだし者の女たちの連帯が魔女っぽいと迫害にあう。しかしその後何が起こったのか女たちはいなくなってしまう。いなくなっても、いなくなってはいない。伝統は変わっていく、それがイイことなのか悪いことなのか?変わることは悪いことではないと思う。でも変えればいいってものでもないよね。深い、のだが、ストーリーが込み入ってることもあってちょっと読みにくいなー。ビラブドの方が好き。

マッカーシーの(4)すべての美しい馬、(60)ザ・ロード、(94)ブラッド・メリディアン、トニ・モリスンの(6)青い眼が欲しい、(54)ソロモンの歌、(57)ビラブドはGuardian'sで済。

2020年12月1日

シナモンロール(クッキー)

普通シナモンロールと言えば菓子パンの類なんだけど、「家庭でできる和洋菓子」 に載っているシナモンロールはクッキーなのだ。なんとか見た目が似ているのを見つけた。こんな感じ。

写真は、ベッカライヨナタンのクルンクンというクッキーで、渦を巻いているのはシナモンではなくレーズンやプルーン等の果実系。甘酸っぱくて美味しいのだが、シナモンは使ってないのよね。

「家庭でできる和洋菓子」のはシナモンだけを巻いていて、だいぶ探したのだがそういうクッキーは見つからなかったのだ。でも『シナモンの代りに、干ぶどうを細かく切って巻いたり、ピーナッツのみじん切り、胡桃のみじん切りを巻くこともあります』と書いてあるのでこれで良かったことにする。

一般的にはこういう形は「うずまき」と呼ばれるんだけど、うずまきクッキーというとアイスボックスクッキーの一種でココアで作るのが一般的。でもこれは粉200gに対してバターは70gでアイスボックスよりも固めでしっかりした生地に思える。 そこでクルンクンの登場となったのだった。

レシピサイトで「シナモンロール」と検索すると、当然のように菓子パンのシナモンロールが大量に出て来る。でもよくよく見ると中には「シナモンロール風クッキー」もあった。なるほど、「和洋菓子」にはそうは書いてないけど、元々はシナモンロール風クッキーだったのかなぁ?シナモンロールにはレーズンを挟んであることもあるしね。参考までにKALDIで買ったシナモンロールの写真も付けとこう。クッキーのシナモンロールと似ている気は全然しないけど。ぶつぶつ。