血清タンパク質は、アルブミンとグロブリンの2種類と前回書いた。硫酸アンモニアに混ぜて沈殿するかどうかで、沈殿するのがアルブミン、しないのがグロブリン、と分けているからで。「グロブリン」と言っても実際にはいろんな「グロブリン」がある。今の既定では4つ。
有名&重要なのがγグロブリンの一種である「免疫グロブリン」。以前、リンパ球の時に免疫(獲得免疫)についてちらっと書いたけど、抗原(ばい菌の出す毒素とか、なんか「悪い」ような気がするやつ)を見つけたリンパ球(正確にはヘルパーT細胞)から指示を受けて、リンパ球(正確にはBリンパ球から変身した形質細胞)が抗体(抗原とくっついて悪さをできなくするやつ)を作る。この「抗体」=免疫グロブリン(immunoGlobulin、Ig)です。Igにもいくつか種類があって、花粉を悪いやつだと思って花粉症を引き起こしたりするIgEが最近注目を集めてますね。他にもIgGとかIgAとかある。
血液検査では、グロブリンの値は直接は測らない。総タンパク質とアルブミンの2種類を測定して、総タンパク質からアルブミンを引いたものがグロブリン、と計算で求める。
検査値は「総タンパク、アルブミン、アルブミンとグロブリン(総タンパク ー アルブミンの計算値)の比率(A/G比)」の三基準。やっぱり「総タンパク、アルブミン、両者の比率」でも良かった気がするんですけど。「グロブリン」と言う言葉を入れたかったらしい。
A/G比は正常(基準値は1~2位)だけど、総タンパクが低い→タンパク質をちゃんと取ってない(低栄養)やネフローゼ(腎臓が壊れてタンパク質が尿中に出て行ってしまう)とかを疑う。
総タンパクは正常(基準値は6~8g/dl位)だけどA/G比が高い(アルブミンが多いかグロブリンが少ない)→アルブミンを生成する肝臓が頑張りすぎているかも。
総タンパクは正常だけどA/G比が低い(アルブミンが少ないかグロブリンが多い)→アルブミンを生成する肝臓が壊れているか、免疫が働き過ぎているかも。
アルブミンが多い時は、グロブリンは変わらない=総タンパクも多くなっていることが多いんだけど。グロブリンが多い場合は、どのグロブリンが多いのかを特定していくことになる。
グロブリン関係では、TTT(チモール混濁試験、Thymol Turbidity Test)、ZTT(硫酸亜鉛混濁試験、Zinc sulfate Turbidity Test)というのもある。どちらもグロブリン(ZTTでは特に免疫グロブリン)が多いと混濁が強くなる。AJはこれは測定されてない。人間ドックでは測ったことあるけど。これだけ見てもねーな値であるらしい。察するに、アルブミンやグロブリンの値を直接測るのが難しかった時代の検査値なのではないか。違うかな。
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