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2016年9月6日

ハードビスケット(食品番号:15097)

まず食品成分表の定義から。
「『ビスケット』は、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、粉乳、膨剤等を混合した生地を焼いたものである。『ハードビスケット』は、原材料を混合して練った生地を折りたたみ、シート状に圧延し、型抜きをして焼いたものである。生地に含まれる水分や膨剤から発生したガスが揮散し易いように、針穴を付ける。」

日本人が「ビスケット」として思い浮かべるのは、この手の食べ物だと思う。「ハードビスケット」という名前のお菓子を100円ショップで見つけたので、よしよし、と買ってきました。
小ぶりな点を除けば、典型的なマリービスケット。

マリービスケットについては前に調査して、その時は「マリー」がだれだかわからなかったんだけど、いつの間にか英語版Wikiにマリービスケットのページが出来ていて、答が書いてあった!Wikiさんいつもありがとう。エジンバラ侯爵夫人のマリアさんだそうな。

「ハード」ビスケットがあるからには、「ソフト」ビスケットもある。ソフトビスケットについては次回書く予定だけど、定義だけを先に書いてしまうと、
「『ソフトビスケット』は、砂糖、油脂等を混合し、鶏卵、水に溶かした食塩、膨剤を加えて乳化させ、さらに小麦粉を加えて混合した生地を成型し、焼いたものである」
違い①ソフトは原材料を混ぜる順番が記載されているけど、ハードは規定されていない
違い②ハードはシート状に圧延し型抜きすると規定されているけど、ソフトは規定されていない
違い③ハードには針穴の記載があるけどソフトにはない
①は出来上がりから判断できないので、②と③が判断基準となる。つまり、ハードビスケットとはマリーみたいなビスケットのことで、その他大勢はソフトビスケットに分類されてしまう?

食品成分表はさらに変なことを書いている。
「四訂成分表では、ビスケット類の表示に関する公正競争規約に基づく同規約施行規則における『手作り風で、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以上のもの』の規定に合致するものを、『クッキー』として収載していた。しかし、『クッキー』は、ソフトビスケットの範疇(はんちゅう)に入るものであるため、ソフトビスケットにまとめた。」
つまり、前の版では、「ハードビスケット」「ソフトビスケット」の他に「クッキー」という項目があったわけだ。そりゃわかりにくいよ。

日本では、「公正競争規約・・云々」により、手作り風がクッキー、工場風がビスケット、と使い分けられているのだが(実態としてあまり使い分けになっていないんだけど)、ビスケットは英語でクッキーは米語、というのが世界的な理解だと思う。ちなみにアメリカでは単にビスケットというと、ケンタッキーのホットビスケットみたいなものをイメージする。もちろん、マリービスケットのことをマリークッキーと呼ぶわけではなく、クッキーのことをビスケットとも言うのは理解されている。

ビスケット発祥の地は不明とwikiに書いてあるけど、biscuitという言葉自体はフランスから入ってきたと思われる。フランス語では同じつづりで「ビスキュイ」と読む。二度焼いた、という意味。
一度焼きの普通のパンより硬くて水分が少ない=長持ちする=糧食向き。非常食の乾パンが元祖ビスケットなのだった。乾パンはしかし、食品成分表上は、ビスケットには含まれない。 型抜きされてるし、針穴もあるけど。乾パンは「パン類」に分類されているのだ。甘くないからね。

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