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2010年11月28日

光文社古典新訳シリーズ(8)

現時点でまだ読んでないのが20冊位あるんだけど、とりあえず近所の図書館で手に入るものを読み終わってしまったので、今後は休み休みになると思う光文社古典新訳シリーズ。

(71) ダロウェイ夫人(ウルフ):これがバージニア・ウルフか。初めて読んだ。いつの間にか主語が入れ替わる今風な文章。英語で読んでみたいかも(読んだら意味不明だろう)。俗物的でどこにもいそうで、でも不思議な魅力を持つダロウェイ夫人が最後に勝ち、負け犬は遠吠え。ううむ。現実的。

(72) 道徳の系譜学(ニーチェ):最近流行のニーチェ。カントに較べると読みやすいがしかし。どこが系譜学なのか良くわかんない・・・欧州人にとってキリスト教から離れるのはとても大変なんだと思った。

(73) レーニン(トロツキー):前にトロツキーって頭いい人なんだな、と書いたんだけど、これを読んで立ち位置が判った気がする。マルクス主義を唱えていたインテリゲンチャさん達は基本政治「学者」で、でもレーニンは最初から指導者を目指してたんだね。誰もが農民や労働者より100倍も右だった、というくだりが秀逸。たぶん指導者としてだけのレーニンを受け継いだのがスターリンで、だからトロツキーはスターリン嫌いなんだ。。

(74) 経済学・哲学草稿(マルクス):若きマルクスの中途半端原稿。社会主義と哲学って近かったのだな。私有財産をなくせば不平等がなくなると思っていたことが良く判るが、今思えばそうではないのだった。妻帯については私有財産とは違う、上手くいえないけど違うんだもん!と生来は保守的なところも見せる。確かにその後を考えると「100倍も右」な人物だと思う。

(75) 盗まれた細菌/初めての飛行機(ウェルズ):SFに近いショートショート。みんなちゃんとオチがある。中でも「初めての飛行機」は笑える。でもウェルズって言ったらタイムマシンでしょ普通。何でこれ?

(76) 白魔(マッケン):妖精の国イギリス(ていうかウェールズ?)な短編集。少し怪奇小説ぽい感じも。どれも終わりがふわっと謎に包まれている。

(77) ガラスの鍵(ハメット):これって古典??今発表されても違和感ない、いわゆるハードボイルドな推理小説。ガラスで出来た鍵が壊れてしまって、という夢の話が暗示的でうまい。

(78) 若者はみな悲しい(フィッツジェラルド):若者短編集。NYぽい。短い分グレートギャッビー程の深さはない。アメリカのお金持ちとはこういうものなのかな。「お坊ちゃん」と「冬の夢」「常識」良かった。人は変わるし愛も変わる。恋愛って賞味期限あるんだよなー。

(79) ワーニャ伯父さん/三人姉妹(チェーホフ):かもめと桜の園は読んだことあるけどこれは初めて。確かにどちらも夢がない。閉塞感でいっぱい。生きていくことの悲哀は極貧より貴族の方がより感じるものなのかも。ふと太宰を思い出す。

読むべきシリーズを持っていると図書館で悩む時間が少ない割に当たりが多いと判ったので、他にもシリーズ準備中。読書は楽しい!

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