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2019年5月9日

ゼロ年代の50冊(8)

本当は文庫4冊が2タイトルあるのに、とりあえず飛ばして10タイトル。20分冊は半分を読み終わってやれやれ。残り10タイトルにはなったけど、枕厚も多いのでいつまでかかるか自信なし。

(36) 白山の水 鏡花をめぐる(川村二郎/講談社学芸文庫):鏡花ファンにはお勧め。土地と文学。金沢~北陸中心だけど、深川含めて他の鏡花の舞台も出て来る。鏡花に興味ないとちょっと。

(37) エクソフォニー(多和田葉子/岩波):高校生でドイツ語を習い始め、ドイツの大学に留学して、ドイツ語(と日本語)作家になった著者の言語を巡るエッセイ。「エクソフォニー」は母語の外に出ること。移民でもバイリンガルでもなくて。複数文化の狭間で書くこと。言葉だけじゃなく思想もなまる。なまりが個人。言語には、見た目や響き、リズムといった文体がある。「官能的」という単語は何が官能的なのか?確かに。「官」も「能」も単独では全然官能的じゃないのにね。

(38) わたしを離さないで(カズオ・イシグロ/早川epi文庫):粗筋を知らずに読んだらもっと感動したかも。映画化される前に読みたかったな。メインテーマは、1人の男を巡る女2人の青春、で珍しくはないのだが、背景がねー。せつなすぎ。原題のNeverLetMeGoは曲名なのだが、アレだろうと思って読んでたのと違った。曲はフィクションなのだそうな。邦題も悪くないけど、NeverLetMeGoとは少し違う気がする。翻訳は難しいな。

(39) 伊勢神宮(井上章一/講談社):伊勢神宮は神代の昔から伝わる建物なのか。建築史は結構恣意的だという話。建築界の人達にはカンジ悪い異説なのらしい。部外者であるAJには「ふーん」な感じ。本人は事実に沿ったつもりでも、案外恣意的ということはあるよね。常に恣意的なAJに言われる筋合いはないが。

(40) 建築家 安藤忠雄(安藤忠雄/新潮社):建築関連の話もあるが、概ね「私の履歴書」。安藤忠雄ファン必読。モノクロの写真が秀逸で装丁も安藤っぽい。

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