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2018年11月24日

ゼロ年代の50冊(2)

恐ろしくアカデミックな本が含まれるゼロ年代の50冊。さすが朝日新聞。読みにくい上に超厚い本が多くてなかなか進めないんですけど。ぶつぶつ。

(6) 木村蒹葭堂のサロン(中村真一郎/新潮社):幕末浪花の商人かつ文化人かつ画人の木村蒹葭堂が作ったコレクションとサロン。大阪っぽい。蕪村は大阪ではなく摂津なんだそうだ。ふーん。大阪は商都だったのがよくわかって面白いのだが、厚すぎるし内容が専門的過ぎてついていけないよう。

(7) 東京骨灰紀行(小沢信男/ちくま文庫):東京のお墓とか慰霊碑とかを巡る紀行。知っている場所が多かったこともあり、なるほどーと興味深かった。執筆当時の風景は既に失われつつあり、さらに変わっていくのだろう。著者は日本橋の生まれだそうだ。

(8) 孤独なボウリング(ロバート・D・パットナム/柏書房):副題は「米国コミュニティの崩壊と再生」。社会関係資本が鍵。豊富なデータで裏打ちされており、論文にしては読みやすいし、重要な問題提起だとは思うんだけど・・・量が多すぎ&例証がローカル過ぎ。例えば題名の「孤独なボウリング」の反対概念は、友達や職場仲間とのボウリングではなく、「地域のボウリングリーグ」に参加すること。米国人か米国文化に詳しい人ならいいのだろうけど全くピンとこないよう。一般人はこれを解説した本、或いはこれを元に日本の現状を分析した本を読むのがいいような気がする。

(9) トランスクリティーク(定本 柄谷行人集3/岩波書店):これも厚い&アカデミックで最初は辛かったが、後半は面白くなった。貨幣のフェティシズム。アソシエーションの可能性。資本主義=ネーション=ステートの三位一体。マルクスよりエンゲルスが分かりやすく感じたのはそういうことだったのか。放り出したままのカントも頑張って読まなくちゃと言う気になれたぞ。しかし一番びっくりしたのは、お気に入りパン屋の店名「シニフィアン・シニフィエ」が哲学(言語学)用語だったこと!

(10) 釋迢空ノート(富岡多恵子/岩波書店):「死者の書」(M075)の折口信夫の話だった。こういう背景があった(かもしれない)のか。なるほどと思う反面、本人が秘匿してたなら知りたくなかった気もする。否定する意味ではなくて。

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