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2016年8月12日

アドレナリン受容体

前回、交感神経を「アドレナリン作動性神経」、副交感神経を「コリン作動性神経」と呼んだ方がわかりやすい、というところまで書いた。
実は「アドレナリン作動性神経」は、正確には「アドレナリン」だけで作動するわけじゃなくて、ノルアドレナリンでも作動するので、「カテコールアミン作動性神経」の方がより正確な記述になる。でもさー、「カテコールアミン」じゃ何だかわかんないじゃない。「アドレナリン」の方が、ファイトいっぱーつ!て感じするでしょ。
表題も正確には「カテコールアミン受容体」であるべきだ。でもギョーカイ的には「アドレナリン受容体」と呼んでいるのだ。これはAJの造語じゃありませんからね。

アドレナリン作動性ってどういう意味かっていうと、アドレナリン(正確にはその類)を、神経伝達物質として使っている、という意味です。
神経系の興奮は、基本的には電気信号(電位の変化)で伝わっていく。そこに「物質」が関与するのはだな、全部を電気信号で伝えるわけじゃなくて、神経細胞間の中継に「物質」を使うんだよ。IT系の人たちの方がははん、と思うかもしれない。
電位の変化で伝えると、距離によっては減衰するし、無秩序に伝わったり、ぐるぐる回りが心配になる。でも途中で「物質による伝達」に乗り換えることで、思う方向にだけフィルタできるし、複数方向に増殖だってできる。ま、乗り換えによるタイムロスは覚悟しないといけないけどさ。

一方向に、つまり前段にある神経の先っぽからはアドレナリンが分泌され、後段の神経の先っぽにはアドレナリン受容体が待ち構えている。そういう神経のことを「交感神経」と呼ぶのだった。

でね、アドレナリン受容体は、微妙な形の違いで分けられることが分かってきた。というか、同じようにアドレナリン受容体をブロックする筈なのに、ある物質は血圧を下げるけど心臓には効かない、ある物質はその逆、ある物質は両方・・・という事態になって、分類することになった、という方が当たってるかもしれない。分類は現在さらに細かくなっている。将来的にはもっと細かくなるのかもね。現在の分類をwikiからコピペすると、
  • α1(α1A、α1B、α1D) - 血管収縮、瞳孔散大、立毛、前立腺収縮などに関与
  • α2(α2A、α2B、α2C) - 血小板凝集、脂肪分解抑制のほか様々な神経系作用に関与
  • β1 - 心臓に主に存在し、心収縮力増大、子宮平滑筋弛緩、脂肪分解活性化に関与
  • β2 - 気管支や血管、また心臓のペースメーカ部位にも存在し、気管支平滑筋の拡張、血管平滑筋の拡張(筋肉と肝臓)、子宮の平滑筋等、各種平滑筋を弛緩させ、および糖代謝の活性化に関与
  • β3 - 脂肪細胞、消化管、肝臓や骨格筋に存在する他、アドレナリン作動性神経のシナプス後膜にもその存在が予想されている。基礎代謝に影響を与えているとも言われている。
やれやれ、これでようやく次回は降圧剤の話題に戻れるぞ。お薬としては、α受容体だけブロックするもの、β受容体だけブロックするもの、αβ両方に効くものがあるし、またα受容体の更にα1だけ、β1だけとか選択的にブロックするものがあります。狙って効かせたい場合もあるし、複数の効果を狙いたい(あるいはマイルドを狙う)時もあるってことね。詳細は次回。やれやれ・・・

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