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2015年7月19日

「読み直す1冊」シリーズ(9)

読書は進んでいたのだが、アップするのをすっかりサボっていた。書かないと忘れちゃうよー(泣)
というわけで今回は一気に15冊。

(51) 思ひ出(北原白秋/安藤元雄:岩波文庫):タイトル名では本が見つからなくて順番が前後しました。北原白秋の詩集。「北原白秋詩集」の上下巻を借りてきたら、上巻にあった。この時代ならではのハイカラでロマンチックな詩。有名な「邪宗門」ってダンテから取ったんだね。白秋=童謡のイメージだったけどだいぶ違う。一番気に入ったのはカステラの詩。『カステラの縁の渋さよな。褐色の渋さよな。』・・・結局食べ物か。

(52) 日和下駄(永井荷風/野口冨士男:岩波文庫):同じく永井荷風エッセイ集みたいのの上巻にあった。東京の風景について書いた連載らしい。すごくいい。もう既に失われた風景だけど、いいところを付いてると思った。緑の濃いところが日本的。神社仏閣は借景あってこそ。東京は富士山が必要。イルミネーションで喜んでいてはダメ。うーむ。耳が痛いなぁ。ご当地深川の点景も嬉しい。元八幡って昔からあったのか。

(53) 澁江抽斎(森鴎外:岩波文庫):鴎外。いつから面白くなるんだ?と思ってたら主人公が死んだ・・これドキュメンタリーなのね。最初に言ってよ。本人より奥さんが魅力的だ。時代が映されているんだろうけど、ドラマチックな人生だ。

(54) 牛女(小川未明/東雅夫:筑摩文庫):「幻視の系譜」という幻想小説集に収載されたのを読んだ。小川未明。幻想小説というよりやっぱり童話っぽい。これは感心しなかったけど、初めて読んだ「蜜のあわれ」(室生犀星)が面白すぎ。金魚ちゃん。猫町(萩原朔太郎)も好きな話。ファンタジーはこうでなくては。

(55) ドリトル先生アフリカゆき(ロフティング/河合祥一郎:角川文庫): 子供の頃にも一応読んだと思うので2回目かな?あまり面白いと思わない・・何がいけないのか?冒険になってないからか?

(56) 冥途(内田百閒:岩波文庫): 幻想文学風。夢の話を書いている感じ。不条理なのだが本人が不条理だと思ってないのが夢ぽい。内田百閒てこんな小説を書く人だったのかー。エッセイしか読んでなかった。

(57) シッダルータ(ヘッセ/手塚富雄:角川文庫):2度目だと思う。高校生か大学生の頃に読んだ。お釈迦様の話だと思ってた。全然別人だったー!!悟りは愛の向こうにあるんだな。その辺がキリスト教ぽいのかも。

(58) テレーズデスケルウ(モーリアック/遠藤周作:講談社文芸文庫):つまらない夫に嫁いだ才媛。恋を知らない自分にいらだち、何となく夫を殺そうとするが殺意があるわけでも。閉塞感が強い。パリじゃないフランス人ってこんななのかもな。イタリアとは違うんだよな。

(59) 人類の星の時間(ツヴァイク/片山敏彦:みすずライブラリー):単行本。歴史に残る特殊な瞬間を集めたもの。一時の判断や偶然(必然)が歴史を大きく変えるのが人類の星の時間。トルストイとスコットは一瞬か?まぁいいけど。ゲーテのマリエンバートは読まないといかんな。それが星の時間かどうかはともかく。

(60) 夜明け前(島崎藤村:新潮文庫):初めてだったー。明治維新てこんなだったんだろうなと思える。馬籠って田舎じゃなかったんだな。木曽街道って中山道だった。甲州街道かと思ってたので、新宿ではなくて板橋に泊まってびっくり。狂ってしまう最後は哀れ。でもこの症状は認知症ではないかと思う。

(61) 孤島の鬼(江戸川乱歩/落合教幸:春陽堂江戸川乱歩文庫):怪奇小説。特殊な訓練を受けた子供が犯人と言う前半は掟破りだと思うけど推理小説風。冒険怪奇小説となる後半は、横溝正史風。

(62) 響きと怒り(フォークナー/高橋正雄:講談社文芸文庫): 白痴のベンジー視点の1章さっぱりわからず。2章で少し、3章でやっと背景がわかって4章でやっと何が書いてあるのかわかった。難しすぎ。没落する定めの哀しい一家の物語。Sound and Fury は、クエンティンとクエンティン??

(63) 牧師館の殺人(A・クリスティ/田村隆一:ハヤカワミステリ文庫):3回目か4回目くらい。クリスティのミスマープルの第一作。この年になってみると、ミスマープルってカワイイのな。少し前には良く有ったのであろうイギリスの風景。

(64) 測量船(三好達治/北川透:講談社文芸文庫):三好達治詩集?詩集という言葉ではくくれないもの。有名な『太郎を眠らせ太郎の屋根に・・』(雪)も、鴉の話もいいけど、「約束はみんな壊れたね」が気に入った。これいつ読んだんだ私?デジャブ感のある文章。うまいとしかいいようが。

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