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2013年8月2日

美食家判定器

先日ヨーロッパ旅行から帰ってきたDさんが、夕食時、レストランのボリュームに参ったと嘆いておられた。

私はちょうど松丸文庫の中から、サヴァランの「美味礼賛」を読んでいたところで、健啖家であることがグルメの前提条件と書いてある。確かに、美味しい料理を前にして、もう食べられない・・・というのは食材にも料理人にも失礼だとは思うけどね、しかし、欧米人のボリュームを前提に語られてもなぁ・・・

掲題の「美食家判定器」というのは、美味しいこと請け合いで、これを食べて感動できないようなら、味音痴だから美味しいものを食べるに値しない、という献立表なのですが、レベルが3つある。

=== 第一レベル(中産程度) ===
- 仔牛のフィレ肉(脂身をピケする)をそのだし汁の中で煮込んだもの
- リヨンの栗を詰めた七面鳥
- よく脂ののった鳩、ベーコンを巻いて、ちょうどよく焼いたもの
- ウッフ・ア・ラ・ネージュ(デザート)
- シュークルートにソーセージを添え、ストラスブールの燻製ベーコンをのせたもの

欧米ボリュームで出てきたら一皿も完食できませんが、懐石料理風に五寸皿に数切れずつ載って出てくるのだったら、付け合せのお野菜やスープも含めて美味しく食べられる気がする。のですが、

=== 第二レベル(有産程度) ===
- 牛フィレ肉(真中が桃色の)に脂身をピケ捨てだし汁で煮たもの
- コルニション(もろきゅうり)を細かく刻みこんだソースを添えた鹿肉
- ゆでたままのひらめ
- 海辺の牧場で飼育された羊のもも肉、プロバンス風
- トリュフを詰めた七面鳥
- はしりのえんどう

こうなると食べる前に見るだけでお腹いっぱい・・・懐石料理風だとしても、牛と鹿と羊と鳥をなんで一度の食事で食べなくちゃいけないんだ感が漂う。

=== 第三レベル(金持ち程度) ===
- まんまるになるほどペリゴール産トリュフを詰め込んだ飼鳥肉
- フォアグラ(ストラスブール産)の大型パテ、バスチヨン型
- ライン大鯉料理、シャンボール風豪華飾り付け
- トリュフ詰めのうずら料理(骨髄の入ったブラウンソースをかけて、バジリコ入りのバターを塗ったトーストの上に乗せる)
- ブロシェ(淡水魚)に詰め物をし、油を塗って焼いたものに、ザリガニのクリームをかけたもの
- 雉肉の蒸し焼き、脂身をピケしてサントアリアンス風トーストの上にのせたもの
- 直径約1.5cmの新アスパラガス100本のオスマゾームソースあえ
- ピラミッド型に盛り付けたメレンゲ

もうメニュー読むだけで既にお腹いっぱい・・・
数切れを食べるのだとしても、フランス料理らしく手が込んで重たそうなこのコースのどの皿よりも、第一/第二レベルの方から選択したい、と思う私はグルメからしみじみと遠い。


海外旅行先で日本料理を食べたいと思うことはさっぱりないので、日本料理の普及にも興味のない私ですが、「美味しいものをちょっとだけ食べる」という文化はもっと普及してほしいなぁ。旅行先でローカル料理を懐石ボリュームで食べられたらどんなに嬉しいだろう。

今後、中国人旅行者がどんどん増えれば、そういうレストランが増える気もするが、中国人に限って、どこに行っても中華料理しか食べないような気も・・・

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