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2020年10月11日

新シリーズ開始:ハヤカワepi文庫シリーズ

やっとハヤカワepiシリーズを書き始めます!全部で100タイトル弱。Guardian’s他で既に3分の1が収載済なので案外早く終わっちゃうかも。一覧はこちら
第一弾は、Guardian’sで読んでみて面白かったグレアム・グリーンの固め読み結果になってます。ちなみに先頭の番号は、ハヤカワepi文庫についている通し番号です。

(28) おとなしいアメリカ人(グレアム・グリーン):
ベトナム戦争直前のサイゴン。英国人ジャーナリストはアメリカ青年に美女フォンを奪われるが、青年は殺されてしまう。日本帝国撤退後にアジア独立の機運が高まったのは知ってたけどこんな感じだったのか。旧宗主国フランスはなんだか分が悪い。そこにアメリカが乗り込んでくる。相手がコミュニストだかららしい。アメリカ青年本人は素直で真面目ないいやつなのだが、やってることは怪しい。各国ジャーナリスト達もフランス軍も結構怪しいし、麻薬漬けの現地人もやっぱり怪しい。確かになんでアメリカが参加したのか。そんなにコミュニストが怖い?どんな利権があるんだと思うよねーやっぱり。

(75) 国境の向こう側(グレアム・グリーン):
短編が16。表題作は前書きによると途中で投げちゃったものらしく尻切れトンボ。「最後の言葉」は1984的ディストピア小説で、記憶を失った老人が最後にはちゃんと?ローマ教皇として葬り去られる。信仰も忘れたけれど、やっと安寧を得られると思わず主を称える様子に、狼狽する国家元首。ありそう。「エッフェル塔を盗んだ男」イギリス人のパリ嫌いって感じで笑える。「中尉が最後に死んだ」落下傘で降りてきたドイツ軍が酔いどれ親父に退治されてしまう。なんか哀れ。レストランを格付けするのは実は諜報活動の隠れ蓑って笑える。これもフランス嫌いな感じ?

(32) 事件の核心(グレアム・グリーン):
アフリカ植民地で警察副署長を勤めるスコービーはなんだか不運。仕事はマンネリだし妻は煩わしいし友達もいない。妻の旅行中に若い未亡人とうっかり恋仲になるが、カトリック教徒としては姦通に悩む。どうしてこんなことにと思っている内に妻は帰宅するし昇進も決まる。でも全然幸せになれない。恋人も捨てられないし妻の期待も裏切れない。信じられると思っていた少年召使も信じられなくなる。悩んだ末に心臓の薬を大事に取っておいてこっそり一気飲み。残された妻と神父さんは、彼は神を愛していたのだ、と話し合う。神だけを愛していたと。うーむ。救いよりも罰を与える神様。ていうか、救いよりも罰が欲しいと思うのが信仰なのか。事件の核心はいつも切ない。

(31) 二十一の短編(グレアム・グリーン):
短編が21。「特別任務」特別秘書の仕事は身を清くして免償を得ることなんだけど実は。ありそう。懲りずに次の秘書を探すのが笑える。「ばかしあい」は老詐欺師二人がそうと知らずに互いの子供の玉の輿を狙う。当の二人は事実を知った上で乗る。ハッピーエンドでいいね(笑)。腹鳴がすごすぎる「能なしのメイリング」。まとめて読むと同じように見えちゃうのが難。

(38) ヒューマン・ファクター(グレアム・グリーン):
地味で真面目な諜報員モーリスは実は二重スパイ。情報漏洩に気づいた組織はしかし同僚のデイヴィスを抹殺してしまう。このまま辞めればわからないけど、でも。最後の仕事をすることで自分の立場を明かし、東側へ逃亡する。残された黒人妻と息子と再会できるのか、幸せになれるのか、でもいったいどこで?

(30) 負けた者がみな貰う(グレアム・グリーン):
丸谷才一訳。社長が招待してくれた筈の結婚記念豪華バカンス。ところが社長は現れず。滞在費を支払うために大博打。忘れちゃダメじゃん、社長。後味も良いユーモア小説。

(73) 見えない日本の紳士たち(グレアム・グリーン):
表題作を含めて短編が16。色恋の軽い話が多い。レストランにいた日本の紳士たちが「見えない」表題作はあまり面白くない。新婚夫婦を巡る「ご主人を拝借」はちょっと面白い。一番好きなのは、別れた女があちこちに顔を出す「過去からの声」かな。これは怖い。でも笑える。

(35)ブライトンロック、(1)第三の男、(29)権力と栄光はGuardian’sで収載済

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