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2020年5月13日

ガリバルジ―

「家庭でできる和洋菓子」への投稿も久しぶりだな。
Guardian’s 1000で読書中の「恐怖省(G・グリーン)」にガリバルジーが登場して、あっそうそうこれ調べなくちゃと思い出したのだった。ちなみに登場シーンは以下のように、記憶喪失気味の主人公が、第二次世界大戦中の英国がイタリアと戦争中であることについてびっくりするくだり。

「イタリーが」思わず彼は大きな声を出した。 何ということだ、イタリーとは、彼の二人の独身の叔母が、毎年絵を描きにゆく所ではないか。それから、国立美術館にある、文芸復興期以前の絵のことも彼は覚えていた。それから、カポレトー(イタリーの村、一次大戦の時の古戦場)やガリバルジ―(イタリーの愛国者)。彼の名をとったビスケットもある。それから、旅行案内のトマス・クック社。
出典:「恐怖省」グレアム・グリーン全集9 訳:野崎 孝 ハヤカワ書房

和洋菓子に出ていたガリバルジ―はイタリアのお菓子だったのね、と読んだ時点では思った。でも調べてみたら違った。

和洋菓子の見出しは「ガリバルジ―(干しぶどうをはさんだもの)」となっている。載っている写真は東ハト オールレーズンに似てるし、卵やBPが入る材料もそれっぽい。検索してもそんな風に書いてある。
ってことで久しぶりに買ったオールレーズン。甘さは控えめで、パンみたいなやわらかさのあるビスケットです。
二つの名前から邪推できるのは、オリジナルは干し葡萄以外のものが入っていたのではないか、ということ。しかし、wikiのガリバルジ―には(曖昧検索の頁に項目だけ上がっている)、「レーズンを小麦粉の生地に挟んで焼いた、堅パンによく似たお菓子」とレーズン限定。英語版wikiには「Garibaldi biscuit」の項目もあって、こっちもレーズンだ。写真も堅パンぽいなー。でも項目内にはArnottのFull O’fruitも同じと書いてあるぞ。あれなら堅パンよりオールレーズンで大丈夫だな。
察するに、和洋菓子もオールレーズンもFull O’fruit経由でこのビスケットを知ったのではないか。それでいろんなフルーツが入るべきところだけど、これは干し葡萄だけなんだよね、な名前になったんじゃないかな。
ちなみに正確にいうと、オリジナルはsultana raisin(一般的なレーズン)ではなくcurrant raisinだそうな。干し葡萄には違いないけど。

材料の疑問は晴れた。次の疑問はなんでガリバルディ将軍がお菓子の名前になったのか。まぁお菓子の名前なんて割と適当に付けられるんだけどさ。
そもそもこのお菓子はイタリアのお菓子ではないのだ。イギリスのお菓子。ガリバルディ将軍の訪英を記念して作られたのが元祖であるらしい。wikiの記事を読んだだけなら、お菓子の考案者がたまたまイタリアに縁があったとか、ガリバルディ将軍の戦績に興味を持っていたとか思えるんだけど、冒頭のグリーンの小説を鑑みると、将軍の名は、社会情勢に特に興味のない子供にも知られていたとわかる。んー、イタリア国内ならわかるけどなんでイギリス?

ガリバルディ将軍はイタリア統一に功績のあった将軍だそうだ。wikiをよく読んでみる。が、イギリスが応援したくなる理由がやっぱりわからないなー。将軍は南仏出身だそうで、フランスはイタリア統一戦争に結構関わっていることがわかった。でもイギリスは影が薄いぞ。フランスが味方になったらイギリスは敵に回りそうなもんだよなぁ(笑)。イタリア統一の敵だったオーストリア帝国が嫌いだったのかなぁ?イタリア王朝がイギリス王家と血縁関係があるってこともなさそうだし。なんでなんだろ?統一王国仲間が増えたのが嬉しかったのかなあ??

謎は謎のままだが、ネットをさすらっている内に見覚えのある風景に出会った。それはミラノのスフォルツァ城を背景にしたガリバルディ将軍の銅像。ミラノ行った時に同じ構図で記念写真撮ったよ!あれってガリバルディ将軍だったのか。なんかご縁を感じるわ。

久しぶりに食べたオールレーズンにイタリアの面影・・は感じませんけどね。

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