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2021年2月9日

Guardian's 1000 (23)

今回もCrimeカテゴリーを中心に。Crimeは全147冊中71冊読破となるのでまだ半分行ってないけど、未訳もかなりあることを考慮するとこのカテゴリーについては半分は堅い。でもー、再読が終わってからはリスト順(=著者名のABC順)に読んでいるのに、まだDの途中。まだまだ読むのがあって嬉しいぞ。

(221) イリワッカー(ピーター・ケアリー/白水社):
「ケリー・ギャングの真実の歴史」に続いて、2冊目のピーター・ケアリー。詐欺師というか山師というか嘘だらけのハーバート・バジャリ―139歳!?の語る生涯。ComedyといえばComedy。バジャリ―を通してオーストラリアってこんな国というのがわかるようになっている。英国への反発、米国への憧れとやっぱり反発。中国の商売人と東南アジアからの出稼ぎと日本軍の兵士と、ジャパニーズ・ビジネスマン。オーストラリアらしさを出そうとしても、でも本当はアボリジニの国だったよね、的な。アメリカ的な「独立」を経ていない分、複雑なのかもしれないね。

(222) オスカーとルシンダ(ピーター・ケアリー/DHC):
3冊目のケアリーはLoveカテゴリー。厳しい父に育てられた臆病者のオスカーは牧師になるが、生活のための賭博から抜け出せない。野心家のママから遺産を受け継いだルシンダは、誇り高く周りの評判を気にしないが、でも思うとおりに生きられるわけではない。ガラスに愛着を持つルシンダと無垢で純粋にガラスを褒めるオスカーは互いに惹かれるのだが、相手の思いがわからず自分からは言い出せずにうじうじ。奥地に越していったルシンダの知り合いの牧師ハセットにガラスの教会を届けたら、自分の財産をオスカーに分けよう、と約束をするも、それが結婚を意味すると気付かないオスカーは、苦労の末に到着して、そこにいた女ミリアムに絡めとられ、失意の中で失踪。純愛ではあるのだが、さっぱりロマンチックではなく、まだるっこしい。

(223) ミス・ブランディッシの蘭(ジェームズ・ハドリー・チェイス/創元推理文庫):
大富豪のお嬢様ミス・ブランディッシとその婚約者は軽率にも超高価な首飾りをナイトクラブに着けていった帰り道に強盗3人組(ちんぴらギャング、と登場人物紹介に書いてある)に襲われる。首飾りだけが目当てだった筈がうっかり婚約者を殺してしまい、困ってお嬢様を連れてアジトに帰る。美人で保護欲をそそるらしいお嬢様。どうなるかと思いきや、ちんぴらではない真正ギャングに横取りされてしまう。チンピラ達はその場で殺され埋められる。真正ギャングはチンピラの振りをして身代金を回収、お嬢様は返す予定だったのに、ギャングのボス(正確には陰のボスの息子)が恋着してしまう。お金はロンダリングしてよその町に移動し、お店を開店。お嬢様は麻薬漬けにして拘束。そこにようやく私立探偵が登場し、案外手際よく(怪我もするけど)真相を見抜いてお嬢様を救出するのだった。犯罪小説ではあるが推理する余地はないし、あまり面白いとも思わない。救出はしてもスカッとはしないし。そもそも題名の「蘭」ってどこに出て来たんだ?と思ったら、原題はNo Orchids for...えーっ!訳者あとがきによると「蘭はない」まで訳すと長すぎるということだったらしい。だからって。ぶつぶつ。

(224) 白衣の女(ウィルキー・コリンズ/岩波文庫):
岩波文庫だけど普通にミステリー。「白衣の女」って看護婦さんみたいだけど単に白い衣装の女。各人の日記や記録で構成。犯罪に至る過程から始まるけど、どういう犯罪がどう起こるのかは伏線がはっきりしてて想像付きやすい。推理小説としてはイマイチだけど、元祖だからな。被害者の姉のオールドミス、マリアンが魅力的。最後はボクの親友を紹介して安直なハッピーエンド、なんてことにならない所は好感持てる。

(225) 影なき狙撃者(リチャード・コンドン/ハヤカワNV):
朝鮮戦争下、騙されて捕虜になった一団にソ連は催眠術により超優秀なスナイパーを確保、米国の英雄にまつりあげる。上昇志向の強いお嬢様なママにコンプレックスを抱える彼は催眠術下の殺人をこなすが、唯一の友人(戦友)を救おうとしたことで仕掛けが壊れ始める。ちょっと荒唐無稽過ぎかな。主要人物も極端すぎる性格に思える。

(226) 殺人の詩学(アマンダ・クロス/三省堂):
女教授ケイトが探偵役となるシリーズの第三弾だそうだが。ケイト殆ど探偵してません。当時は自立した女性が珍しくてカッコ良かったのだそうだけど、今読むと全然古い型の女。推理小説としてもちょっと。一番疑わしい人がやっぱり犯人で、しかし動機がないと思っていたら、殺すつもりも害するつもりもなかった、って。いやいや。アスピリンが重要な役割を担うんだけど、これアスピリン中毒?2錠で?アレルギーにしては症状が変。変だからエレベーターの停止が致命的となったことにしたのかなと思うが、そもそも停止自体が意味不明。嫌がらせなら他にすることある気がするし、故障が起きれば業者が呼ばれて悪戯がバレるでしょう、普通。被害者が「しまった、アスピリンだ!」と言い残すのもなんだかな。そもそも頭痛薬をイギリスからお取り寄せは如何なものか。アメリカでは違う名前で売られているのを知らないだけじゃないのか?頭痛薬の飲み過ぎは頭痛の元なんだぞ。表紙の粗筋紹介には証拠の全てがケイトを指していると書いてあるが、そうは思わないし。みんなもあまりそうとは思ってなさそうだし。大学紛争の様子は少し面白いが、あまりちゃんとは描かれていない。原題のPoeticは、各所にオーデンの詩が引用されてるからだと思うが、Justiceは殺人ではないし、詩学でもないと思う。いろいろ気に入らない。ぶつぶつ。

(227) ラット・キング(マイケル・ディブディン/扶桑社ミステリー):
伊ペルージャを舞台に、大富豪誘拐事件に駆り出されるベネチア人のゼン警視。身代金を払ったのに殺されてしまう。警察が同行したせいだと言われるけど何か変。ラットキングは鼠の王だが、鼠が狭い所にくっついていると皆のしっぽがくっついて固まり、離れられなくなってしまう。でも死ぬこともなく互いにいがみ合いながらも生きていくそんな鼠の塊のことだそうで。気味悪。そんな鼠のように大富豪の子供たち+配偶者達は憎み合い、妬み合い、外部に向けては固まっている。登場人物はイタリア人ぽいのだが、食事がなんだかな。南部と北部の対立は想像付くし、ベネチアが別格でお目こぼしな感じも理解できる。アメリカ人彼女とは食べ物が折り合えない。そりゃそうだ。アメリカにはお金の他は自然しかない。そうそう。

(228) ダーティー・トリック(マイケル・ディブディン/扶桑社ミステリー):
オクスフォード出たのに流行に乗って世界を放浪している間にうっかり時流に取り残された中年男。母国に戻っても居場所がなく、外国語教師となるもジリ貧。成り上がり夫婦の財力で自分を取り戻せたような、かえって堕ちたような。でもお金がないとどうにもならない。不倫がバレそうになったところで運よく旦那が死んで結婚。お金は手にしたものの、奥さんの品性が気に入らないし、周りからも白眼視されている。上品な婦人に乗り換えようかと思っていたら妻が妊娠したと言い出した。自分はパイプカットしたのに誰の子供?まぁいいかお金貰って離婚して、と思ってたのに浮気相手が嫌味な元上司とわかってつい反撃の計画を立ててしまう。ところが当日に妻が階段からうっかり落ちて半死の状態に!浮気相手を誘拐して殺人の容疑を被せ、共犯者(素行の悪い生徒)は海外に脱出させる。無実の浮気相手はしかし状況証拠で有罪になり、妻の遺産を相続、狙っていた婦人ともいい仲になれてラッキーな日々だったが、証人が現れてまずい状況に。お金をもって海外逃亡!自分は犯罪者だけど、殺人はしていない。そして逃亡先の国と英国との犯罪者引き渡しは殺人に限られてるんだから大丈夫なんだもん。なんと!確かにこれは汚いトリック。

(229) 約束(デュレンマット/ハヤカワNV):
デュレンマットは光文社古典で短編集を読んでこれが2冊目。推理小説ではない。犯罪はあるが、犯罪を描いたものとは言えないな。探偵小説なら言えなくもないけど。腕のいい刑事のマテーイが栄転の前日、少女が惨殺される。ご両親に必ず犯人を捕まえますと約束、栄転をフイにして捜査にのめりこむ。容疑者は第一発見者の行商人。性犯罪の前科がある。みんなにお前が犯人だ!と言われる中、容疑者はあっさり自殺。凶器のカミソリも胃の中にあったチョコレートも、同じじゃないかもだけど持っていたし、それ以降犯罪は起きなくて、やっぱりあいつが犯人だったとみんな納得したんだけど。少女の友達の話を聞いたマテーイだけが別人が犯人だと考え、警察を辞めてまで個人捜査を続ける。更に被害者に似た孤児を引き取り、同じような格好をさせて囮捜査に発展!チョコレートくれる人物が現れて警察もみんなで待つが・・・犯人来ない。その後も囮捜査を続けるが孤児はいつか大人の女になり・・・。そしてある日、死にゆく老婦人が息子が真犯人だと告解する。息子は少女に会うために出掛けた途中で事故に遭ったのだと。捜査に執念を燃やす狂気のマテーイに真実を告げても全然聞いてない。あわれ。

(230) ビッグ・ノーウェア(ジェイムズ・エルロイ/文春文庫):
LAコンフィデンシャルの前夜、レッド・パージ時代のハリウッド。群像劇なのだが中では割と感じのいい方の(?)二人が死んでしまってビックリ。最後に残るのは小物に見える金欠のバズ。恋に生きる結末はちょっとかっこいいけどね、人が死に過ぎのように思う。それに都合よく整形で変身もどうだろう。でもLAだからなー。ありえるよなー。

2021年2月2日

挽茶のゼリー

挽茶というのは抹茶のこと。正確には違う場合もあるようですが、「家庭でできる和洋菓子」においては、抹茶と同じものです。今では「抹茶」の方が一般的だけど、当時は「挽茶」の方が一般的だったのかなぁ??

抹茶とお砂糖を牛乳に溶かして寒天で固める。「家庭でできる和洋菓子」には、よく混ぜてから布で濾せと書いてあったけど、面倒くさいし良く溶けたように見えたのでそのまま固めたら写真のようなことに。まぁ、二層にして抹茶味の濃淡を楽しめるようにしたのさ、と言い訳出来ないこともない。濃い抹茶味はそれなりに美味しかったので良しとします(苦笑)。