ページ

2019年9月14日

Guardian’s 1000(10)

Family and self から既読5冊と再読1冊+初読4冊。結構時間がかかるね。

(91) 碾臼(M・ドラブル/河出文庫):
再読。誰にも迷惑をかけない自立した女性がうっかり妊娠して勢いで出産、周りに助けられたりしながら、でもやっぱり自分のことは自分で守らなくちゃ。1回目はちょうどそんな時期に読んだので、女ってやっぱり子供を産んでなんぼってことよね・・・と負け犬の遠吠えだったなぁ。

(92) 若い芸術家の肖像(ジェイムズ・ジョイス/集英社文庫):
初めて。ジョイスは難解と聞いてたけど普通じゃんか。やっぱり丸谷才一の翻訳がいいんだね。まずは訳注をほとんど読まずに1回、註を読みながら2回目を読んだ。自伝的小説の元祖なんだって。3歳の幼児語に始まり、20歳になるまで。文才があって頭も良く、自尊心・自立心が強い、アイルランド青年。尊大だけど純粋でカッコイイ。ディーダラスはギリシャ神話のダイダロス=イカロスの父。神話では偉大な芸術家の父と考えナシの息子だが、これはダメダメな父と芸術家になりゆく息子の話。アイルランドならではの政治話が背景。それもこれも豊富な訳注と、親切かつ読み物としても楽しい訳者解説でしっかり理解。いい本だ。

(93) ユリシーズ(ジェイムズ・ジョイス/集英社):
同じく初読。こっちは文句なく難解。面白くはあるんだけど。特に文体がガンガン変わる後半はついていくのが大変。饒舌で猥雑で悪趣味で、でも笑えるし深みもあるんだけど、長すぎなのと理解に必要な知識が多すぎる。親切な註があるので助かるけど、相当な読書好きでないとお勧めしかねるよ。

(94) われらの狂気を生き延びる道を教えよ(大江健三郎/新潮文庫):
大江は結構読んだつもりなんだけどこれは初読。何でベスト千にこれかな、いいけど。1969年出版。いつものテーマ。父-自分-息子と続く「われらの狂気」が思い込みで、それぞれの「われらの狂気」があるだけだと気付く連作。中では裏表のab面で構成される「父よ、あなたはどこに行くのか?」が面白いと思った。外国の詩の引用で父=神を想像しちゃうけど、父=天皇を想像するべきなのだそうだ。なるほど。そういう時代だったよね。

(95) ライ麦畑でつかまえて(サリンジャー/白泉Uブックス):
読み直す1冊で済み。ベスト千に入って当然の一冊。

(96) 父と子(ツルゲーネフ/新潮文庫):
若人の100冊で済み。ツルゲーネフはこれと「初恋」(Loveカテゴリー)の2冊がベスト千入り。妥当なところか。

(97) カラーパープル(A・ウォーカー/集英社文庫):
初読。黒人のアメリカ。前半は暗くて気が滅入るが、だんだんに強い女性が登場して事態が好転、主人公も強くなっていく。特にラストは希望があってAJ好み。成長物語でもあるけど、State of the Nationな気もする。

(98) ドリアン・グレイの肖像(ワイルド/光文社古典新訳):
これ好き。

(99) ダロウェイ夫人(ウルフ/光文社古典新訳):
独特な文体で面白いなと思った。

(100) 灯台へ(ウルフ/岩波文庫):
こちらは初読。2004年訳で読んだ。第二部の「時は行く」でものすごく時間が進んで、第一部と三部はゆっくり。不思議な感じ。新しい女性のようでも良妻賢母のママの影響は逃れがたく。そういう時代だったよね。

曇ときどき雨

初回は入院までして始まった今回の点滴治療だったが、結果的にマーカーが下がらず。こんなことは今までなかったのだが、まぁでも5年以上続けてきているので、そろそろそうゆう時期なんだろうなぁ。
そんなこんなで宙づり状態。ときどき悲観的/自棄気味の気分になったりして。
しかし愚痴を言っても始まらんしな。今を大事にしないとね。